私にはサリー・O・エルコーディ(Sallie O. Elkordy)という、豪快で素敵な反ワクチン活動家の親友がいる。彼女はインディのオンライン・ラジオやケーブル・テレビでワクチンの危険性を訴える番組に主演し、ワクチン禁止を目的に、ニューヨーク市長選にも出馬している女性だ。
彼女が、この4/24日はスケジュールを空けておくように、と言ってきた。
「確定するまで言っちゃダメと言われているから、何かは言えないのだけど、特に、あなたは喜ぶことよ」と、サリー。
それが、ドキュメンタリー映画『Vaxxed: From Cover-Up to Catastrophe』が、トライベッカ映画祭でプレミア上映される日だったのだ。この作品のデビュー日の1ヶ月前になって、サリーが喜んで「このことだったのよ」と、伝えてきた。
俳優ロバート・デ・ニーロが建設したトライベッカ映画祭で、ワクチンと自閉症の関連性をCDC(アメリカ疾病対策予防センター)が隠蔽してきたことを告発するドキュメンタリーが上映されるとは!
それは、驚きだった。反ワクチンの声が表に堂々と出る機会は、あまりない世の中だから。
ロバート・デ・ニーロは2016年3月25日、この映画『VAXXED』を擁護する声明を世に発表した。
「これは僕と家族にとって、とてもパーソナルな自分事なのです。議論の場を作るためにも『Vaxxed』を上映しようと思います。
グレースと僕には、自閉症の子供がいます。僕たちは、自閉症の要因をめぐる問題は公平な議論と検証がされるべきだと信じているのです」
ところが!
そのデ・ニーロの声明が出た翌日、突如として『VAXXED』はトライベッカ映画祭での上映を中止した。
「トライベッカ映画祭チームと科学界のコミュニティと共に再検討して、この映画は私が望んだような議論の進展に貢献しないという結論にいたりました」
と、いう緊急声明が出された。

photo: United Against Vaccination/FB
「反ワクチン映画を上映すれば誤解を招く」「科学的な信憑性が低い」と、作品には非難ごうごう。
このドキュメンタリーは、世に出してはならないと、大手新聞紙などマスコミも口をそろえたのだ。
そんな物議を醸す作品を上映しようとしているトライベッカ映画祭も批判の嵐にさらされたわけだ。
予防接種の危険性が隠蔽されていることを告発する映画を、公開して良いわけがない。
ワクチン産業は、10億ドル規模のビジネスだ。
実は、トライベッカ映画祭のスポンサーである幹部が、製薬会社と関連していることが後、インターネット上で暴露された。
「大企業の都合で、表現の自由が検閲されることがあってはなりません。
トライベッカは、この映画『Vaxxed』に描かれた真実を世界がアクセスすることまでは否定できません」と、映画配給会社は発表。
なんと、急遽トライベッカ映画祭会場からほんの数ブロック離れた位置にあるニューヨークのインディペンデントの劇場アンジェリカ・フィルム・センターが、この話題作を封切ると発表した。
映画祭デビュー予定日であった4月24日よりも早い、4月1日に世界初公開が決定したのだ。

映画『『VAXXED』プレミア初上映日アンジェリカ・フィルム・センターにて、著者撮影。 左より著者の親友サリー、監督アンドリュー・ウェイクフィールド、ブライアン・フッカー博士、デル・ビッグツリー
サリーと私は、この初日に、プレミア会場へと向かった。
私が劇場に到着すると、ちょうどサリーが、ブライアン・フッカー博士に劇場前でインタビューするところだった。
このフッカー博士というのが、実は、この告発を可能にした人物である。
彼は腰の低い優しい紳士だ。
私にも優しい笑顔で接してくれた。
映画では、ブライアン・フッカー博士が録音した、彼とCDC(アメリカ疾病対策予防センター)の上級科学研究員であるウィリアム・トンプソン博士との会話がドキュメンタリーで流れる。
このトンプソン博士が内部告発者である。
彼は、彼がCDCで行った研究結果を法廷で証言したがっているのに、止められている。
それで、彼はフッカー博士に、その情報をリークしたのだ。
自分たちの研究結果が偽りのデータに書き換えられることに良心を咎めらたCDCの研究員が、フッカー博士を信用して、彼に極秘情報を流したのも頷ける。
気のいいフッカー博士は、とても戦いを挑むような性格ではない。
ただ、フッカー自身も自閉症の息子を持ち、これ以上、子供達に被害を及ぼしたくないという情熱で、CDC研究員との電話を録音し続けたのだ。
この映画の監督を務めた医師アンドリュー・ウェイクフィールドは、MMRワクチン(はしか、おたふく風邪、風疹の新三種混合ワクチン)と自閉症の関連を示す調査結果を公表して、医師の免許を奪われた人物だ。
政府機関CDC(アメリカ疾病対策予防センター)は、独自に自閉症の関連を研究したが、なんと、ウェイクフィールドと同じ結果、つまりワクチンが自閉症の原因であるというデータが出てしまったわけだ。
CDCは、どう対処したか。
10年以上も、このデータを知りながら、隠し続けたのだ。
そして、今も隠しているのだ。
CDCの障害児部門やワクチン安全性部門などの最高責任者たち、そしてCDC長官ジュリー・ガーバーディング博士が、このリサーチに関わった。
そのガーバーディング博士はなんと現在、MMRワクチンの独占製造社である世界最大の製薬会社メルクから膨大なボーナスを与えられて、メルク社ワクチン事業部社長となっている。
日本でも多数の被害が出ている子宮頸がんワクチン(ガーダシル)などの販売社である。
ワクチンの安全性を調査すべき政府機関CDCが、製薬会社と癒着し、偽りの調査データを出していたことが暴露されているので、そりゃあ、製薬会社や政府は何としてでも、この作品を公開したくないはずだ。
それも、3歳までにMMRワクチンを打った”黒人の子供たち”が236倍の自閉症発生率で一番、被害に遭いやすい対象である、というショッキングなデータまで出たのだ!
自閉症は遺伝の病気ではないのにだ。
映画には、双子の黒人の子供たちの母親が出てくる。
双子の一人はワクチン接種せず、もう一人は接種を受けた。
接種した子が自閉症になった。
彼女のインタビューは涙なしに見られなかった。
こんな医療スキャンダルを、なぜマスコミは暴露しないのか。
ワクチンの安全性を追求するはずの政府機関での仕事を、大手製薬会社の高給な仕事にありつくまでの踏み台にしか考えていない人たちを、なぜ暴露しないのか。
ワクチンの危険性の情報配給の壁となるのが、マスコミだ。
テレビ番組を見れば、スポンサーが製薬会社であることが一目瞭然だ。
それに、テレビネットワーク自体のオーナーが、製薬会社と絡んでいる。
「実は、オフカメラで僕たちに語った医者が多くいました。MMRと自閉症の関連性は実際に認めるが、製薬会社を敵にはできない、それを公表すれば”第二のウェイクフィールド医師”になってしまう、と医者の間で言われている、と告げられた。」
と、映画プロデューサーとなった医療ジャーナリストのデル・ビッグツリーが、劇場で語った。
「映画を鑑賞してもいない人たちから”観るな! 観せるな!”と、誰も観ていない未公開映画が非難され禁じられることは、初めての稀なケースだ」
と、彼。
トライベッカ映画祭は他の視点を持つ人々からも、「言論・表現の自由に対する弾圧」として責められる立場に追いやられた。
「もう、トライベッカには映画を出展しない、というフィルムメーカーまで出てきている。
ベストの映画祭の一つであるトライベッカが、この後、回復することを願っています」
と、デルは語った。
でも、ワクチン被害者の家族たちは、デ・ニーロを責めてはいない。
デ・ニーロと妻グレース・ハイタワーの間には、18歳になる自閉症の息子がいる。
自閉症の子供を持つ親の辛さは、そんな子供の世話をする身にある者たちがいちばん、よくわかっているのだ。
実は現在、どの都市でもワクチンを打たれた45人のうち1人が自閉症になっている。
世話が大変なので、彼らはあまり表には出てこないが、そんな家族を持つ人たちは驚くほど多く存在する。
親友サリーが、日々、情熱を持ってワクチン反対を訴えるのも、亡くなった彼女の妹への想いがこめられている。
自閉症で苦しんだ妹と家族。
生涯だれかに看護を頼まなくてはならない存在、認めてもらえない、その原因。
「私たちはみんな同じ思いをしているデ・ニーロに対して同情があるの。私たちはみんな彼に愛を抱いている。
彼のおかげで、この映画が話題になったのだから、彼には感謝するばかり」
と、サリーは語っていた。
自閉症の家族を持つ多くの人々が、プレミア会場に駆けつけていた。
彼らは泣きながら試写していた。
そして上映後、劇場は総立ちとなり、目の前に現れたこの作品のフィルムメーカーたちに盛大な拍手を送った。
アンジェリカ・フィルム・センター1館で、4月初週の週末3日間で興行収入 $28,339(約310万円)という好成績をあげた『VAXXED』。
マスコミは相変わらず、この映画をこき下ろしているが、彼らが何故、この映画に批判的なのかは、映画を観れば一目瞭然。
マスコミがいかに真実を報道しないかが、よく描かれている作品でもある。
今回、暴露された自閉症との関係以外に、何を隠しているのだろうか。
それは、次回に。
http://www.vaxxedthemovie.com/
「セレブの小部屋」No.90
copyright: 2016 Yuka Azuma
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