バレンタインデーの翌日、パトリシア・フィールドの誕生日パーティがあった。
ニューヨーク・マンハッタンのミッドタウンにある素敵なレストラン・バーを貸し切りにして、友達や仕事仲間たちにドリンクやディナーをサービスするパトリシア・フィールド。
さすが、カリスマ・スタイリストの彼女だ。

彼女には何度かインタビューしているし、その10日前にも彼女が衣装担当した最新作『お買い物中毒な私!(Confessions of a Shopaholic))』の取材で会ったばかりだが、彼女は多分、あまり私のことを覚えていない。

それでも、シルバーのロングドレス姿でレストランに到着した彼女に「ハッピーバースデイ」と言うとパトリシアはぎゅっと私の手を何秒か握りしめて微笑んでくれた。
なんて優しい人。

私は初めて彼女に会ったときから、彼女が大好き。
正直で率直。思ったことは、そのまま語る姿勢が快い。

映画『プラダを着た悪魔』ではアカデミー賞にノミネート。
ファッション旋風を巻き起こしたテレビシリーズ『セックス・アンド・ザ・シティ』では2度目のエミー受賞。その映画版でもファッションが絶賛を浴びた。

そんなスーパー・スタイリストでありながら、案外、ブランドに無頓着で、ただ自分が良いと感じる服を着こなす彼女。そこが素敵。
ブランドなんて関係ない。ファッションの流行も関係なし。
有名役者のスタイリングをやるときだって、ブランドものにビンテージや安物を合わせる。

「私はトレンドなんて考えないわ」と、彼女がサラリと答えるのを、私は何度か目にしている。
そんなファッション業界のクィーンを、私はカッコイイと思う。

彼女は日本のテレビ番組『SCANDAL』のポスターや、安室奈美恵のスタイリングを手がけ、年に2〜3回は来日する親日家でもある。
「私の店には日本のキッズが働いているから」と、彼女が話してくれたのを思い出す。

彼女のトレードマークとなっている、あの鮮やかな赤色のヘアを手がけているのも、じつは日本人美容師のあゆみさんなのだ。

パトリシアの誕生日パーティで、来客を迎えたのは二人の芸者だった。
じつはパトリシアのサロンで働くあゆみさんと、パトリシアのオフィスで働く日本人女性で、ふたりはパーティの華やかな花となっていた。

パトリシア・フィールドのヘアスタイリストのあゆみさん。 日本桜をテーマにしたパーティに相応しい装いで髪も自分でアレンジした彼女はパーティで華やかな案内役を務めた。

バースデーパーティは夜9時から深夜まで。
地下のクラブのようなスペースにDJがいて、パフォーマンスがあり、パトリシアも大勢のファンに囲まれてダンスフロアーで踊った。

でも、そのクラブ・パーティの前に、彼女の一部の親友たちは、1階のダイニングで着席のディナー・パーティを楽しんだ。そこには女優ルーシー・リューなど、有名人たちもやって来た。

ディナー・パーティでのパトリシア・フィールド。 顔が男性の頭で隠れているが右後ろのテーブルで壁を背に座るのはルーシー・リューだ。

私はそのディナー・パーティの席に着き、あたりを見渡して驚いた。
そこは、みごとにオカマチャン大集合だった!
私の座っていたテーブルには、以前パトリシアのもとで働いていた人たちが集まっていた。
なんてファビラス!
セクシーでグラマーな美女だと思ったら男の声で話していたり。素敵な人たちがいっぱい。

「パトリシアは社会からはじき出されて行き場のない人たちをいつも雇ってくれるんだよ」

と、私の隣に座ったパトリシアの親友だというゲイの男性が言ってた。
私はますますパトリシアが好きになった。

そういえば、取材したときも、洋服の買い物で後悔したことはないかと聞いたときに、彼女が返してきた答えが印象的だった。

「ただの洋服だもの、なんの後悔もないわ。私は間違った大戦争を起こして国をメチャメチャにした米国大統領じゃないもの。彼(ブッシュ)こそ、後悔すべきよね」

パトリシアはこれからも、後悔ない人生を前進させていくんだろうな。
ハッピーバースデイ、パトリシア・フィールド!

バレンタインデー翌日とあって、パトリシアと筆者の髪が♥ハート形を描いてる!?

©2009 Yuka Azuma