3月11日、東日本を襲った大震災と津波の被害は、アメリカでも大きく報じられて、ここNYでも在米日本人たちは一様に激しい衝撃を受けた。
テレビやネットを通して流れてくる悲惨な映像や信じがたい被害の大きさ、そして遠く離れているために日本と連絡がつかない不安。
それはちょうど911の衝撃がもう一度やって来たようなものだ。
被災者のためになにかしたい。
日本のために少しでも役立ちたい。
なにができるかわからないけれど、なにかせずにいられない。
そんな気持ちにかきたてられて動いたNYの日本人は少なくない。
今まで慈善イベントや募金活動を行ったことがない人でさえも活動し、かつてないほど日系コミュニティの取り組みが盛んだ。
そんな日系ニューヨーカーたちのさまざまな支援の形をここで紹介したい。
【母親たちが立ちあがったユニオンスクエアの集会】
—日本人の母親たちが立ちあがった。
そう地元NYのテレビニュースにも大きく取り上げられた運動を巻き起こしたのが、Japanese New Yorkers and Moms United to Support Japanだ。
主催者は直子フィッツジェラルドさん。
二人のお子さんを抱えるお母さんだ。

直子フィッツジェラルドさん。 PHOTO : Canna Sasa
震災の翌日にユニオンスクエアに出かけた直子さん一家だったが、その時にふと思いついて息子さんにハートをあしらった日の丸の旗を作って三輪車に飾ってみたところ、思いがけないほど道行くニューヨーカーたちから慰めや励ましの言葉をかけられたという。
それならもっと多くのお母さんたちと子どもが一緒に集まれば、より多くのNYの人たちに日本の惨状を知ってもらい共感してもらえるのではないか。
そう考えた直子さんはさっそく友だちにメールを回して呼びかけた。
「募金も大切ですが、私はそれ以上にこちらの日本人同士が一緒に立ち上がって日本支援を呼びかけることに意味があると思います。
みなさん自身が母親として、被災地で被害にあっている同じような子持ちの人たちの置かれた境遇を考え、胸を潰されたはずです」
フェイスブックを立ちあげ、人から人へ伝わるうちに、あれよあれよという間に規模が膨れあがって100名以上の人々が賛同を示してくれた。
そして3月17日。
ベイビーやキッズもともにママたちがみんなで白と赤を身にまとい、自前のサインや旗などを持って集まることになった。

PHOTO : Canna Sasa

PHOTO : Canna Sasa

PHOTO : Canna Sasa
この呼びかけに多くのニューヨーカーが足を止めて募金をし、地元マスコミも多く詰めかけた。
おかげで募金総額は3時間で1万1千ドルを超える結果となり、米国法人日本国際交流センター(JCIE) のJapan NGO Earthquake Relief and Recovery基金を通して寄付。
この募金額もすばらしいが、それ以上に重要だったのが、アメリカのメディアを通して「日本が支援を求めている」と注意を喚起したことだろう。
というのもアメリカでは「日本は裕福な国」という印象が強く、たとえ災害があっても「援助はいらないはずだ」と誤解しているアメリカ人も少なくないからだ。
「日本の一大事に、こちらで暮らす日本人が一致団結したことが有意義な集まりだったと思います」
と直子さんはいう。
「私が最初の一歩のメールを出したことに、賛同してくださった人たちがたくさん集まってくれた。
それをみたメディアやニューヨークのNPOの人たちが更に共感してくれて新たな活動の場を提供してくれた。
ポジティブな連鎖が続いていて嬉しいです」
既に米国の非営利団体COMMON CENTSを通してニューヨークの公立高校に訪問し、日本の状況を訴えて支援を求める機会も設けられた。
この様子は収録されており、全米800余りの学校に配られる予定だ。
このことは募金よりも長い目で見たら大切なアクションなのではないか。
たとえば多くの日本の高校生にとってニューオリンズを襲ったハリケーン・カトリーナが遠い出来事としか意識されなかったように、日本での災害といってもピンと来ない米国の高校生だって多いだろう。
だからこそアメリカの高校生たちに伝えることが大切なのだ。
そしてそのタネが誰かの心に蒔かれて育った時、十年後の世界を変えていくことだってあり得るのだ。
ふつうのお母さんが思いきって立ちあがったことで大きな波を生みだした支援活動。
始めの一歩を踏み出してくれた、その勇気に感謝をしたい。
直子さんたちの活動のアップデイトは、Japanese New Yorkers and Moms united to support Japanフェイスブックにて。
【たったひとりで始めた街頭募金】
このユニオンスクエアの集会から一気にNYでの募金活動は広がっていったが、その前からたったひとりで動き出していたのが、新妻誠一さんだ。
新妻さんはカメラマンとして日本のファッション誌で撮影するいっぽう、有名なファッション・フォトグラファーであるスティーブン・クライン(Steven Klein)のアシスタントも務めている。

カメラマンの新妻誠一さん
そんな彼がなぜ孤軍奮闘して募金活動を始めたか。
大震災が起きた夜、新妻さんはネットから流れてくる日本の惨状に茫然として、6時間ほどニュースを見続けていたという。
「日本の家族と電話がまったくつながらなくて、心ここにあらずという状態が続きました」
さらにつらかったのが、自分がNYにいるという事実だったという。
なぜ自分は日本人なのに、こんな状態になっている日本の外にいるのか。罪悪感に近い思いが脳裏をよぎった。
そしてメールで知人の安否を確かめているうちに、高校時代の友人がこう書いてきた。
「ニューヨークにいて、楽してんじゃねえよ」
友人だからいえる言葉ではあるにせよ、この一言は新妻さんの胸に深く突き刺さった。
そしてなにか行動せねばと、いてもたってもいられない思いに駆られて街頭募金を思いたつ。
ネットからプリントアウトした写真を数十枚段ボールに貼りつけて、3月12日の昼過ぎにはユニオンスクエアに出かけてみたが、実際に行ってみると、最初は恥ずかしくて座り込んでしまったそうだ。
それでも勇気をふりしぼり、たとえNYにいてもできることはあるはずだと、新妻さんは自分に言い聞かせて立ちあがる。
最初は恥ずかしかったものの、ドネーションをもらえたり、声をかけられたりするうちに徐々に落ち着いていって、
「日本のことを考えてくれている人々がいっぱいいるんだ」
と嬉しく感じたという。
それからは仕事のかたわら、ほとんど毎日のように時間のある限りユニオンスクエアに向かい、街頭募金に励んだ。
もちろん街頭募金をしていることで、嫌なことにもたくさん遭遇した。
『集めたお金を自分で使うんだろ』
『日本はたとえ震災があってもお金は必要ないはずだ』
そういってくるアメリカ人が必ずいる。
また日本人であっても、募金をしてくれるどころか、見て見ぬ振りで目をそらされるということがあり、淋しく感じることもしばしばあった。
それでも街頭に立つうちに「私にも手伝わせて下さい!」と声をかけてくる人もいて7人で街頭募金を行なったこともある。
「顔も名前も知らない人間が力を合わせることができるというのを経験できたのは本当に嬉しかったです」
そして募金に参加した人たちから必ず「日本のみなさんを助けるはずの街頭募金だけど、こちらが元気になり、助けられました」といわれることに感動した。
「人を助けることは、自らをも助けることになるのだなと感じました。
僕も日本を助けようとしたのに、助けられた一人だと思います」
彼の姿は、オンラインのニュースでも報道され、日本にいる友人からも連絡がきた。
「友だちから『目頭が熱くなった』とメールがあり、僕も目頭が熱くなりました。
他の知人も日本からの書き込みをしてくれて『新妻に負けてられねえなあ』との一言。
この一言にも胸が熱くなりました。」
まったく面識のない人からも「街頭募金の機会をつくっていただいてありがとう」とメールが来た。
ユニオンスクエアで募金活動をしている時に、NYPDの警官がいたので、募金活動は禁止されているのだろうかとおそるおそる尋ねてみたところ、
「違法だろうが、合法だろうが、世の中のためになっている人間をどうして取り締まらなければいけないんだい」
とその警察官は笑って20ドルを募金してくれたという。
「こんな前向きな輪ができるということを経験できたのは、本当によかったと思います。
街頭募金を通じてわかったのは、人の助けになりたいという気持ちはみんないっぱい持っているんだなということです」
日本には「隗(かい)より始めよ」というコトワザがある。
新妻さんはまさしくひとりで立ちあがった、NYの「隗」といえるだろう。
次々と多くの若者たちが街頭にたって日本のために募金を呼びかけるようになったのだから。
【ジャパニーズガールズ・パワーが結集した募金活動】
さてこうしたNYの募金運動では、じつは女性のほうが圧倒的に多いのが特徴になっている。
ふしぎとチャリティのイベントも女性が仕切るケースが多い。
JP Girls はまさにその代表的なグループ。
こちらはダンスミュージックのシンガー/ソングライターであるAKさんと、アートディレクターである日野準子さんを中心として、10人以上のガールズ・パワーが結束したグループだ。
最初は準子さんとAKさんが、
「なにか私たちにできることないかな」
「今週末2人でストリート募金でもする?」
と話していて、仲間のジャパニーズガールズたちにも声かけてみたところ、あっという間に規模が大きくなったという。
ふだんからバースデーパーティを開いたり、食事会をしたりしている友だちが集まったというところが女子らしい。

JPガールズの日野準子さん。 PHOTO : Atsuko Tanaka
そしてタイムズスクエアでは道行く人たちにメッセージを書いてもらい、グランドセントラル駅前では募金活動を打った。

道行くニューヨーカーにメッセージを書いてもらうAKさん

PHOTO : Atsuko Tanaka
ライオンズクラブも協調してくれたことから、翌週にはユニオンスクエアでの募金運動も打ち、そこでは総領事の職員も訪れてくれて一緒に犠牲者に黙祷を捧げた。

たくさんのニューヨーカーから日本へ応援メッセージが集まった。 PHOTO : Atsuko Tanaka
JPガールズの参加者のひとりであるライターの山田ひろみさんは、こうコメントを寄せてくれた。
「ひとりひとりだと小さいパワーをまとめることによって、より大きなパワーにできるんじゃないかと思って参加しました。
何かしたいけど、どうしたらいの? 自分に何ができるの? と 思っていた人たちにも機会をあたえてくれたのがJPガールズだと思っています。
ここNYでもひとりじゃないという実感と、一緒に活動することで、より励まされて日常生活もがんばれると感じます」
そして歌手であるAKさんの夫が大御所DJであることから4月5日にはクラブでのベネフィット・イベントも打ち、今後も長期的に日本を支援していく意気込みに溢れている。
まるでSEX AND THE CITYの世界そのままに、ふだんから仲良しの女の子たちが力を合わせていく支援。
そのやさしくて、たくましいガールズ・パワーに拍手を贈りたい。
【路上マニキュアで貢献したカリスマ・ネイリスト】
さらにNYらしい特徴といえば、チャリティの波がファッション界も巻き込んでいることだろう。
ファッションと貢献が一体になっているところが、さすが流行の発信地らしい。
その自分の持っているスキルで癒しを与えたひとりが、ネイリストの小出みちなさんだ。

マニキュア/ネイリストである小出みちなさん
3月14日というきわめて早い時点で、マニキュアやメイクのボランティア募金をする活動をユニオンスクエアで行っている。

みちなさんはNYを拠点として、VOGUE、HARPARS BAZAAR、ALLURE、Wといった一流モード誌で活躍しているマニキュアリスト。
ご参考までに紹介すると、こちらはみちなさんが手がけた雑誌の仕事の一点だ。
キャメロン・ディアスやレディ・ガガ、リヴ・タイラーといったセレブの撮影で、マニキュアするようなネイリストが、路上でマニキュア・ボランティアするというのは日本では考えられないことだろう。
しかしながら、それも「あり」なのが、NYなのだ。
みちなさんも「自分ができること」をすぐに実行するあたりがすばらしい。
「被災者の方を思ったら、ただ祈るだけでは歯がゆく、NYにいることで何もできないとあきらめるんじゃなくて、微力でも今自分にできることをしたいと思いました」
そして友人であるメイクアップアーティストのなおえさん、ヘアのせいじくん、マッサージセラピストのわかこさんらも協力して、ビューティのサービスを提供しながら任意の募金を受けつけることにした。

道端でフリーのマニキュア・サービスを。 PHOTO : Canna Sasa

ネイルやメイク、パフォーマンスで募金を集めたPray for Japanの参加メンバーたち。 PHOTO : Canna Sasa
さらに鶴を折ったり、ジュエリーデザイナーがブレスレットを作ったり、ダンサーやシンガーがパフォーマンスをしてくれるなど、寒いなかを一致団結して奉仕。
「最初は少し恥ずかしい気持ちもありました。でもみんなで一緒に行動をすると楽しくなってきて “would u like to get free nail done!!!” と叫びはじめていました。
特にアメリカ人の人たちが顔に「日本の国旗を」と書いて欲しいとリクエストしてくれて、日本を応援してくれたことが嬉しかった。
今回の震災は本当に悲しく、自然の脅威の前では人間の無力さを実感させられました。
でも日本国民だけでなく世界中の人たちが日本を愛していること、日本の国民の心が一つになっていることを再度確認し、再建に全面的に協力してくれていることを嬉しく思いました」
ボランティアというのは、与える行為だけではなく、行うひとが多くのことを受けとる行為なのだろう。
「継続的になにか自分にできることを少しでも、小さくてもいいのでやり続けたい」
という彼女を心から応援したい。
【人気モデルの岡本タオさんは、サンプルセールでボランティアを】
ファッション界のなかでもチャリティ・サンプルセールをすぐに打って話題を集めたのが、人気ブランドの3.1フィリップ・リム。
1時間半待ちの列ができたほどの話題を集めたが、そこにヘルプとしてボランティアに参加したのが、モデルの岡本多緒さんだ。

3.1フィリップ・リムの会場でボランティアするTaoさん
TAOといえば一流モデルとしてNYコレクションの数々のランウェイに立ち、日本を代表するモデルとして知られている。
そんな売れっ子モデルが商品の整理やレジを手伝ったりするということが驚きだが、気取らずにボランティア参加する姿勢が美しい。

デザイナーのフィリップ・リム氏とTaoさん PHOTO : Michina Koide
「こっちに戻ってきてNYにいる沢山の世界各国の人が日本のことを応援してくれているのを見てとても励まされました。
私も微力ですが、自分に出来ることをさせてもらっています。
この日は友人であるフィリップのセールを手伝わせていただきました。
みんなの気持ちが被災地まで届くといいなと思います」
TAOさんのエールは必ずや日本に届くだろう。
【104ものブランドが寄贈した最大級のチャリティ・サンプルセール】
そしてもっとも大きなイベントとして話題を集めたのが、4月2~3日に行われた「Fashion Girls for Japan」のチャリティ・サンプルセールだ。
アレキサンダー・ワン、アルツザラ、VPL、タクーン、プロエンザ・スクーラー、ラグ・アンド・ボーン、マーク・バイ・マーク・ジェイコブス、ダイアン・フォン・ファステンバーグ、クリス・ベンツ、トム・ブラウン、デレク・ラムなどなど。
NYを代表する人気デザイナーたちが一同に会して、それぞれワンラック分のサンプルを寄贈。
その収益を寄付に回すという大がかりなもの。
もともとは50ほどのブランドを計画していたらしいが、最終的にはなんと計104のブランドが参加!
前売りチケットも1000枚が売れるという勢いで、おかげでバーゲン当日は長蛇の列になった。
中心となったのは、VPL社長である花沢菊香さん、3.1フィリップ・リムのセールスを担当する影山今日子さん、そしてバーニーズCOOPのウィメンズ・ファッションディレクターである小倉朋子さん。

VPL社長である花沢菊香さん PHOTO : Canna Sasa

バーニーズ・コープの小倉朋子さん PHOTO : Canna Sasa
ショールーム&プレスのTHE NEWSが当日のオペレーションを担当し、さらに強力な助っ人が、ジュリー・ギルハートさん。
彼女は元バーニーズのファッションディレクターとして名を馳せた重鎮であり、現在はファッションコンサルタントをしている。

ファッションコンサルタントのジュリー・ギルハートさん。NYファッション界の重鎮。 PHOTO : Canna Sasa
それにしてもこれだけのデザイナーたちが協力してくれたというのは、信じられないほどだ。
「日本はNYのデザイナーたちにとってインスピレーションになっているし、大きな影響を受けている国。
そしてデザイナーたちは誰もが自分たちの服が売られている日本のリテイルに対して敬意を持っているわ。
だからこそデザイナーたちも日本のために力になりたいと思ったのよ」
とジュリーさんは解説する。
メールで協力を要請すると、どのデザイナーたちも喜んで寄贈をしてくれたという。
会場も一流のバワリーホテルが無償で提供してくれた。
「ホテルもデザイナーたちも自分たちから申し出てくれるところが多くて、もったいない話ですが、途中からは断らざるを得なかったくらいです」
と菊香さん。
京子さんが勤めるフィリップ・リムがいち早くサンプルセールを行ったことから、自分もなにかしたいと思い、自社ブランドであるVPLやマリア・コルネホの他に多くのデザイナーにも呼びかけるべく、朋子さんに話を持ちかけたという。
「私たちが各デザイナーに頼んだのは、必ずおもしろいピースを入れて欲しいということ。
売れ残りではだめ。みんなが欲しがるような商品でないと。
これは全部売り切ることを目指していますから。
デザイナーたちの厚意のおかげで、いい服が集まったと思います」(菊香さん)

バワリーホテルのセール会場はたいへんな人出に。 PHOTO : Canna Sasa
おかげで会場はファッショニスタで満杯になった。
そのスケールもすごいが、さらにすごいのが、このイベントはあくまでボランティアによるチャリティだというところだ。
なにもデパートやアパレル会社が宣伝のためにやっているのではない。
競合他社の枠をこえて、ひとつの目的のためにデザイナーたちが寄贈して、朋子さんたちも個人として参加しているというところがすばらしい。
この二日間のイベントの売上げは3000万円にも達して大成功となり、ファッション界における日本の存在感の大きさと、そしてファッションが社会貢献できることをみごとに示してくれた。
【なにもしなければ、なにも変わらない】
もちろん4月も日本支援のチャリティイベントはひっきりなしに続く。
そんなNYの空気に、ちょうど東京から来ていた知人がこうもらしていた。
「NYではレストランのメニューでも日本支援のチャリティがあったりして、びっくりしますよね。
チャリティがとっても身近なんだなって感じます」
企業がドネーションに動くというより、ごくふつうの個人が「自分ができることをやってみる」というのが、NY流のボランティア精神といえるだろう。
先述の直子フィッツジェラルドさんにしても、それまで「20人くらいの子どもの誕生会くらいしかオーガナイズしたことがない」といい、イベントに慣れているわけではなかった。
そんな彼女を突き動かしたのは、なんの力だったのだろう。
「人間ってやっぱりうんと困っている人達がいたら優しくしてあげたい、助けてあげたいっていう本能をもっているんだと思います。
今回の震災には本当に残酷なほど痛々しい自然の猛威を見せつけられて、被害にあわれた人のことを想うと、誰もがいてもたってもいられない衝動にかられて普段では簡単にはしないようなことをもさせてしまう力が動いたんだと思います。
自分もその一人です」
阪神大震災の時は高校生で、カナダに留学中だったという直子さん。
その時はニュース映像を見ても泣くだけでなにもできなかったが、16年間の人生経験は自分を変えてくれたという。
多くの人にインスピレーションを与えてくれた直子さんに、最後に3月17日の感想を尋ねてみた。
「自分の直感に訴えるものがあったとき、その事に対して思い切って行動に移してよかったと思います。
とりあえずこれだ!という直感を信じて、言いだしっぺになってしまい、その後のことは後で対処する、みたいな。思い切って行動を起こすと失敗もあるかもしれませんが、たいていはなにかポジティブなことが生まれる、見えてくるような気がします。
逆になにもしなければ当然なにも変わりません」
黒部エリのホームページはこちら ブログ「エリぞうのNY通信」はこちら
読み終えて、ニューヨークに住む方々の日本に対する想いにただただ胸が熱くなりました。そして、カトリーナが米国南東部を襲ったときや、ハイチ、ニュージーランドで大地震が起こったとき、自分は同じようにその国の方々を想っていたかどうか、問いかけました。
東京で暮らす私に、海外に住む友人や、トモダチ作戦に参加した友人から何度も気遣いのメールを受け取っています。被災地ではないから大丈夫、と返事をしても何度も何度も。これからも、友人たちの気持ちの分も、自分ができる支援をしていきます。
ちなみに、ツイッター仲間が3/14に日本の「お弁当」で支援するサイトを立ち上げました。よろしければチェックしてみてください。
http://bento4japan.wordpress.com/
最後に、今回の震災は大きな痛みを私たちにもたらしましたが、日本を支援している方々の姿を見て、人間てやっぱり優しくてすごい生き物だな、と実感中です。
NYの直子さんたちの活動が今朝のNHKニュースで紹介されていました。
子育て中のママとして、被災地の赤ちゃん、お母さんのため
立ち上がった姿に子供のいない私も目頭が熱くなりました。
街頭で折鶴を配ったり、地元の高校生に被災地のオムツ、ミルクの不足を
教えたり、募金以上に心に訴える活動だと思います。
東京で、被災地とこれからの日本に自分が何ができるか考えました。
みんな!離れていても、がんばりましょう!
fuukuさん ありがとうございます! そういっていただけると、なにより嬉しいです。
ところで「お弁当」サイトみました。おもしろい発想ですねえ。お弁当がそんなにインターナショナルになっていたとは! お弁当コミュニティあなどれませんね。
fukkuさんの言うとおり、人間のいちばんのいいところは、他人の痛みに共感できる感情かと思います。