NYで日本の工芸展「Future Tradition WAO」が開かれる。
これは日本の伝統工芸の技術を、ファションやアート、そしてデザインとコラボレーションして、新感覚の日本のクラフトを世界に発信していこうというもの。
WAOには「和生」=和の再生と、世界を「ワオッ!」といわせる驚きという意味が込められているという。
見どころは、まず日本が誇る伝統工芸とラグジュアリーブランドの融合だ。
バカラは1903年に大阪の古美術商であり茶人の春海藤次郎が特注した茶器「春海好み」を復刻。
バカラと茶人の美意識のコラボレーションが美しい。

バカラの「平成の春海好み」シリーズ。 100年前に茶人、春海藤次郎を魅了したバカラの器を現代に蘇らせた作品
またピエール・カルダンが友禅の着物職人とコラボレーションしたドレスは必見のもの。
東日本大震災を受けて、ピエール・カルダンが日本の復興を願って作り上げたコレクションである「黎明」
カルダンらしい斬新で優美な円形ラインのデザインに、熟練した友禅の技をもつ職人たちが手がけた生地で、和と洋が融合。今回の震災で被災した職人たちも加わっているという。

ピエール・カルダンがデザインした「黎明」。 カルダンのデザインと友禅職人の卓越した技術が相まって、美しい作品に。
夜があけてまさに明け方の光が差しこむ様を表した美しさは、新たに復興にむけてむかう心を表すのにふさわしい。
京都在住の新進気鋭デザイナー、串野真也氏のシューズは、LEDを埋め込んだヒールに目を奪われる、まさしくアートのクオリティを持つ作品だ。

串野真也のシューズは、まさに未来型の伝統を感じさせる アーティスティックな作品
さらに漆塗りのアイフォンケースや、木で作られていて電気を必要としないエコな木製加湿器など、実用としても使えてデザインとしても美しいという、伝統と未来をつなぐクラフト展だ。

漆塗りのアイフォンケース。
総合プロデューサーはファッションジャーナリストである生駒芳子さん。
長年ファッションの世界で培ってきたセンスと、伝統工芸技術に対する深い知識が、現代の職人芸とアート、ファッションを結びつけた。

木で作られていて電気を使わないエコな加湿器
選りすぐった作品だけに、むしろ日本人でも「こんなに日本のデザインが進化していたのか」と驚かされるのではなかろうか。
世界に誇る日本の「今」と「伝統」を同時に鑑賞できるWAO展覧会。
NYに続いて3月にはパリでも開催される。
9:30am~7:00pm(12日は18:00pmまで)■場所:Capsule Studio
873 Broadway # 204 NYC 10003 (at 18th steet)
www.CapsuleStudio.com ■無料
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