ここ数年アメリカで気になるのが、ダーク系テイストの台頭だ。
てっとり早くいえば映画やテレビで流行っているのはヴァンパイアものだし、タトゥを入れている若者が増えていて、ダウンタウンを歩くとワンブロックごとに刺青ギャルに出くわすほど。
ファッションでは鋲打ち、チェーン、スカルモチーフなどのロックなモチーフ、あるいはボンデージを思わせるレザーが目につく。
ちょっと前までもてはやされたのがパリスたんやブリちゃんだったのに、今人気あるのはダークヘアで愛想のないクリスティン・スチュワート。
一時期はブリンブリン(光り物)+バカギャルがブームだったものだけれど、今や一転してロックでバッドな雰囲気のものがカッコよくなっているのだ。
やはり不況で暗い世相が続いている時代には、明るくて健康なものよりも、ダークでヤバイものに惹かれるものなのかもしれない。
そうしたアンダーグランドの流れのなかで、注目したいのがブリス・ロウのボディジュエリー。
ボディジュエリーというのは聞きなれない言葉だけれど、これはボディを飾るアクセサリーのこと。

左のモデルがつけたのはライオット・ブレスレット、 右の男性モデルがつけたのはスリーブとボレロ
体にまとう鎖のことで、ご覧のようにセクシーかつドラマティックな雰囲気を演出してくれるのです。
デザイナーのブリスさんはハワイのホノルル出身。
NYの名門デザイン学校であるパーソンズで学んだあとに、バッグデザイナーとしてブランドをローンチ。

デザイナーのブリス・ラウさん
彼女を培ったハワイの自然とNYの都会性を融合させ、ディテールに独自のセンスが光るバッグでたちまちダウンタウンガールたちの目を引いてヒット商品に。
しかしながらブリス・ラウの名前を一躍有名にしたのは、なんといっても07年にスタートしたボディジュエリーから。
ネックレスでもない、鎖でもないボディアクセサリー。
これまでにない発想のアクセサリーにファッションピープルが飛びつき、VOGUE、INTERVIEW、NYLONなどさまざまな雑誌で取り上げられることに。
メンズとレディースではチェーンの長さや幅が違うので、両方を手がけている。
ミュージシャンのご贔屓も多く、ギャラリー関係者にも人気だとか。

モデルがつけたのはジュエルド・ベスト
その魅力は、シンプルな服にあわせてつけてみると、着ている服がとたんに特別な雰囲気をまとっているように見えること。
シンプルなTシャツをドラマティックに演出してくれるのはもちろん、スーツの上からチェーンをつけて、エッジイに見せるなんてこともできる。
そしてチェーンだけあって、つけ方も何通りも工夫ができるのもミソ。
「どんな風につけこなすかは、人それぞれの自由。
前後を入れ換えたり、ずらしたりできるから、ひとつのつけこなしだけではなく、いろいろと楽しんで欲しいわ。
チェーンは体の動きにつれて動くところが魅力だと思うの」
とブリスさん。

ボディにつけたのはテンプラー、腕につけたのはトライヴィウム・ブレスレット
写真のように腕に取りつけられるアームチェーンや、腰につけるガーター状のチェーンなどのバリエーションも豊富。
またチャームポイントになるのが後ろ姿。
ふだんひとは後ろ姿をあまり気にしないものだけれど、このチェーンが背から見えると、セクシーに演出できる。

モデルがつけているのはアートデコ・ボレロ
鎖というのは、ロックでバッドガールな雰囲気、そしてアンダーグランドな匂いを纏わせてくれるもの。
「ちょっとボンデージっぽいかしらね」とブリスさんは笑う。
「今ではありとあらゆる人がチェーンを扱っているわ。
ボンデージのモチーフはとても旬なのよ」
30~40種類ほどのコレクションを揃えていて、デザインの発想は建築や武具から得ることが多いそう。
「エッシャーやソル・ル・ウィット(Sol le witt)のアートが好き」というブリスさん。
鉛筆画の持つ黒い線や幾何学模様にひかれるあたり、ボディに模様をデッサンするチェーンと相通じるものがあるようです。
ボディチェーンはシンプルなものなら$180、凝った作りのものでは$695ドルといったプライスレンジ。
誰もがつけられるアイテムではないけれど、着こなしのレベルが違って見えるボディジュエリー。
ロックやアンダーグランドカルチャーを愛するひとに、このエッジイなアクセサリーをつけこなして欲しいものです。
BLISS LAU
http://www.blisslau.com/
All Photos : Cameron Krone
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