photo: instgram user Kimono

キム・カーダシアン・ウェスト(Kim Kardashian West)が、シェイプウェアのブ下着ブランドをローンチ。

そのネーミングがなんと「KIMONO」で、しかもサイトはずばり「kimono.com

 

えええええ、着物? これのどこが着物? 

アリアナ・グランデの「七輪」以上にトンデモ日本語で、アゴが外れた日本人も多いでしょうが、当然ながらネットでは「おかしい」と大炎上に。

キムとしては、以前にも「KIMOJI」として絵文字を作っただけに、「KIM」がついて、しかも「日本語で着物は着るモノの意味だから、ちょうどいい」くらいのノリでつけたんでしょうね。

BBCでは、「キム・カーダシアン・ウエストのキモノ・アンダーウエアが、日本人からの反発で炎上」と報道しています。

「日本文化への侮辱」「文化の盗用」として大きな批判を浴びていて、#KimOhNo のハッシュタグがネットでは大きな動きに。

この「文化の盗用」は近年大きな問題になっているもの。ディズニーの「モアナ」でも、刺青をほどこしたプリントの子ども用パジャマがバッシングを浴びたことがあるのです。

「伝統的な刺青はその文化に属するもので、盗用するべきではない」「茶色い肌と刺青はコスチュームじゃない」

と文化の盗用を非難されました。

一方、ボストン美術館では、「モネのキモノ」事件も発生。

カミーユ・モネが赤い日本の着物をまとっている「La Japonaise」という有名な絵画があるのだが、美術館は見学者のために、水曜日にレプリカの打掛を用意して、ローブを着ながらこの絵の前で写真が撮れるというもの。

これが「文化の盗用」としてアジア系アメリカ人が抗議して、美術館はそのサービスを取り下げる結末となってしまったのです。

Claude Monet, La Japonaise (Camille Monet in Japanese Costume), 1876. Photo: Museum of Fine Arts, Boston.

これがなぜ抗議の対象になるのか、日本人としては不可解なところではないでしょうか。

「え、むしろ着物着て欲しいし」という日本の着物業界の人は多いはず。

日本でも外国人観光客に対する着物の着つけ体験は大きなアトラクションになっているもの。

しかしながら、ここでプロテスターたちが抗議したのは、西欧諸国が他国の文化を剽窃して、エキゾチック趣味とするのが、植民地時代のような精神の表れだということとなんですね。

どこまでが他国の文化に対する憧れなのか、他国の文化の盗用なのか、線引きはなかなかにむずかしいところ。

では今回のキムのキモノはどうかといえば、これはもう文化の盗用以前に、文化に対するリスペクトがないといえるでしょう。

現実的に問題になるのは、まずキムが「Kimono.com」というドメインを登録し、商標登録を申請していること。

キモノドットコムなんて、とっくに日本の着物業界で登録されているだろうと思っていたのだが、実態は違っていたんですよ!

たとえば「日本きものファッション協会」も、「日本きもの連盟」も「現代着物協会」も、キモノドットコムではない。おかげでキムにちゃっかり取られた形になる。

これは日本の伝統文化をあつかう団体にとっては、たいへん痛い教訓であって、ドメインを取っていなかったのは痛恨のミスでしょう。

キムはひどいことをしている(キモノという言葉に合わない商品を出している)けれど、商法として間違ったこと(ドメインを奪いとるなど)をしているわけじゃない。

トレードマークを取られてしまったら、アメリカで着物を売る会社も、着物をレンタルする会社もたくさんあるにも係わらず、ビジネスでその商標を出せなくなったりしたら、大問題。

そしてなにより最悪のことは、KIMONOという言葉を検索したら、キムの下着画像が出てくることになってしまうこと。

このオンラインの時代、キムのようなフォロワーが多い発信者に「KIMONO」という言葉を使われただけで、そちらが検索の第一になってしまうわけだ。なんというゴジラなみの破壊力!

日本の伝統文化業界にしたら、ある意味でウェイクアップコールであって、商標登録やドメイン登録をしてこなかった脇の甘さが露呈してしまったかも。自分たちの常識で、そんなことしないだろうと思っていても、いきなりそんなことが起こり得るわけです。

毎回お騒がせのキムとカニエで、さすがに驚きも出つくしたかと思っていたら、

「まさかそこから来たか!」

と想像の斜め上から来た今回のシェイプウェア騒動。ぜひともネーミングが変わることを願うが、さてどうなるか。