リンカーンセンターで毎年行われる野外上映会、あのシャガールの掛かるオペラハウスの正面玄関にどどーんと巨大スクリーンを設置してHDシリーズが無料で観られるお得なイベントなのです。

今年も10演目が上映されました。

オペラハウスの定員にほど近い3000の椅子がズラーっと並べられて、にわか作りの野外劇場は8時開演なのに、早くも5時過ぎから席取り組が結構いるじゃありませんか。
みんなピクニック気分で、飲んだり食べたり、しゃべったり。

さて、8/26に上映されたリゴレットは2012-2013シーズンにメトロポリタンオペラハウスでの上演の映像化。
ブロードウェイの演出家、マイケル・メイヤーの手による新演出。

すでにこのシーズンにご覧になった方も多かったでしょうし、劇評も多く書かれていますので、わたし流の感想をちらっと。

ヴェルディがこの世に生きていたら何とおっしゃったでしょう?
とにかく「斬新」の一言。

幕が上がると舞台はネオン輝く1960年代のラスベガス。
ギャンブル、キャバレー、ショービジネスと砂漠の不夜城で繰り広げられるリゴレットなのです。

シナトラをイメージした公爵。
リゴレットはコメディアンとうい設定。

公爵は宝塚ばりの羽根を手にした踊り子たちに囲まれて「あれかこれか」を歌い上げるのです。

Met Opera 公式YouTubeチャンネルより

かの有名な「女心の歌」もストリップ劇場で、フランク・シナトラみたいでした。
もうポールダンスするかと思っちゃいました。

ラスベガスに置き換えたステージは細部までこだわって作りこまれていてド派手。
エレベーターがあったり、クラシックカーが登場したり、まさに満艦飾のラスベガス。

あれー、これって楽曲はイタリア歌劇なのよねー。
なのにギャンブルと酒と男と女のドロドロドラマみたいじゃんか、お見事!

まさに「こう来ましたか!」と膝ポンの演出でたっぷり楽しませていただきました。

オペラの映像は臨場感がないと思って敬遠しがちだったのですが、さすがHDだけあって画質抜群、サウンドも申し分なしでございました。

気楽に行けるこういうイベントを続けているMETは偉い!
オペラファンの底辺が厚くなれば歌劇場を末長く維持できるでしょう。

秋から始まるオペラハウスのシーズンに並行してMET Live In HDの映画館での上映も始まります。

Featured Photo: The Metropolitan Opera House at Lincoln Center Plaza, at dusk.
Photo by Jonathan Tichler/Metropolitan Opera

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