私は、イノベヒロキに魅了されている。
彼は自分を、Ethical Veggie、Made in Osaka(大阪製)と表現する。この人、面白い。一見、怖そうだけど、笑顔が可愛らしい。

イノベヒロキ(Inobe Hiroki)は、大阪のパンクバンド、LRF(エルアールエフ)を率いるミュージシャンだ。

パンクミュージックは知らぬ私だが、日本人でヴィーガンのすごいパンクロッカーがいると友人に教えてもらった。彼の音楽を聴いてみたら、妙に気持ち良く、私の心身に振動した。純粋なストレートさ、原石のような輝き、吐き出す爽やかさが、心地いい。

Photo by Misato Maeda


   Just for your safety  you’ll always be
   too careful but you don’t care about cruelty free

   You think you got the best thru animal tests
   The innocent people’s unawareness

  己の安全にだけはいつも細心の注意を払うけど
  誰を犠牲にしてるかなんて気にしたこともない

  どうぶつ実験から最良を得られる と
  信じる 罪なき人々の無自覚さ

と、印象的な彼の曲FOR BEAUTIFUL HUMAN LIFEの中で、英語で歌うイノベヒロキ。これは2017年にリリースされた曲だが、2021年のいま、あたりを見渡すと、この曲で彼が歌う世界が露わになっている。

コロナ騒動は、”己の安全にだけはいつも細心の注意を払う”人たちを浮き彫りにした。

消毒だと無自覚な官僚や人々が大量に漂白剤をビーチに撒き、海洋生態系や鳥などに深刻な被害を引き起こした。2020年、15億6千万もの数のマスクが海を汚染した。でも多くは、私たちが誰を犠牲にしたのか知らない。

この曲の中で、彼は英語で叫ぶのだ。

   You’re not ours to tame or abuse
   and animals are not yours to use

  貴方は我々が手なずけ虐げるために存在してるのではないし
  どうぶつ達も貴方が利用するために存在してるのではない


人間であっても動物であっても植物であっても、声をあげられない誰かのために声をあげる。
抑圧された者が、支配側に物申すパンク精神は、政治権力の発生が目につく今という時代にこそ、必要ではないか。

そんなパンクなスピリットを感じさせてくれるイノベヒロキに、彼のパンクな音楽ルーツを聞いてみる。

「ぼくが小学校5年の時、日本で初のパンクバンド(変人ぶった大学生がアーティスティックなロックを演じるものではない)アナーキーが登場しました。高校中退したようなハンパ者の反抗的なロックバンドです。

♪なーにが日本の象徴だ! なんにもしねーでふざけんな!

こんなことを歌ったせいで放送禁止になったり、右翼から的にかけられたりと、センセーショナルなネタと相まって、大好きになりました。
中学生の頃、このバンドのコピーから始めたのが最初です。
おかげで、ぼくのファンデーションとなる、Sex PistolsやThe Clashという英国の本物パンク・ロックを知りました。

“パンクとは、音楽ジャンルのことではなく、スピリットだ”
と云っていることに感銘を受けたまま、この年齢です」

彼の反骨精神は、学生時代から息づいていたようだ。

「教師はぼくらの履いてる太いズボン、変形学生服を脱がせようと普通にドツいて来ますよ。けど、そこから、闘うことを覚えました。義務教育なので抗わないと、社会に出るともっとキツいことが待ってるはず、と感じていました」と、イノベさん。

そして、今もなお、その無垢なスピリットがキラキラ輝くのを感じて、私はこの人に魅了されてしまうのだ。
とは言っても、私はさっぱり、パンク音楽には疎い。

「ぼくが90年代からやってるLRFの音楽を聴いてくれる人たちというのは、Oi!/STREET PUNKリスナーたちです」

と、言われても、そもそも、Oiのストリートパンクって、ナニ?
知識なしの私にも、親切に答えてくれるのが、素顔のイノベさんだ。

「Oi!/STREET PUNKというのは、Sex PistolsやThe Clashの次の世代セカンド・ウェーヴ・パンクバンドといわれるもので、ぼくが特に影響を受けたパンク。
このOi!の世代の人たちは、英国の労働者階級出を誇っていて、ワーキングクラスのライフスタイルを歌うことが多かった」
と、説明してくれる。

「イギリスには80年代からConflictやCRASSといったどうぶつの解放、権利を歌うバンドがいましたが、Oi!はどちらかといえば、そうゆうCRASS系のパンクの反目だったわけです。

自分の活動でひとつ自分を褒めれるところは、酔っ払って愉しくやろうぜみたいな、BEER! BBQ! FREEDOM! 的Oi!ファンに、自分の音楽の魅力を通じて、どうぶつのことなんかを知らしめていこう、としているところです」

イノベヒロキが、LRFのシンガーになったのは1993年。バンドは長年、同じファンたちに支持されてきた。

「べんちゃらでもなんでもなく、ぼくらの音楽を聴き続けてくれてる人たちは、センスある人たちなんですよ。

反原発を歌うバンドとリスナーの間柄なら、3.11以降「そうだよ!原発危ない。なにしてんだよ東電💢」で怒りで呼応したとしても、自分自身の生活スタイルにはなんの影響も及ばさないものですが、どうぶつのこととなると違う。

やっぱり大多数のリスナーが、肉食のことなんて聞きたくも、知りたくもないと思うんです。
それに呼応するためには自分の生活スタイルを変えんとダメになってくるでしょうし。

けど、具体的にどうぶつの事を歌い始めた『3RD』以後、LRFの歌を聴いて、自分も肉食べるのやめました、という声を聞くんです。

ぼくの歌は、ただのきっかけに過ぎないと思います。
逆にホンマに凄い人たちだなと思います」

Oi!/STREET PUNK BANDだったLRFが、2016年アルバム『3RD』以降、なんとも衝撃的なタイトルの2020年アルバム『MEAT MENTALITY』と、動物の権利に焦点を当てるようになった。
作詞作曲してまで、動物の命を想うようになった、きっかけは何だったのか?

「16歳の時、電気工事の仕事の現場からの帰りに信号待ちで、ぼくと親方の車の前にブタをたくさん載せたトラックが停まりまして、
”この子ら殺されるんですよね? 可哀想ですね” と、ぼくが言ったら、親方から ”けどジブンも肉食べるやろ⁈” と言われてしまって、あゝそうやな、と。

それ以来、肉を食べることをやめたんですが、それは肉料理そのものをやめただけで、乳製品の誤魔化しにはまんまとひっかかっていて、つい6年ほど前までは原っぱでのどかに暮らす乳牛のイメージを持っていました」

そして、母乳も飲ませられず引き離される子を想う母牛の真相を知った彼は、肉だけでなく乳製品の摂取もやめて完全菜食となった。

「自分の中では、ずっと変わらない姿勢があった。
そうゆうことを知って、それで自分が如何に生きるか、
という自然なことでした」 

イノベヒロキのミュージックはストレートに、気持ちよく心に直撃してくる。彼の自然体のスピリット、ずっと変わらない姿勢は、弱い立場のものにさえ慈悲を感じる純粋な愛なのかもしれない。それを私たちは彼のアートからも感じとれるのかもしれない。

Photo by Misato Maeda

そして、2021年2月。イノベヒロキ率いるLRFは急遽ミニアルバムをリリースした。動物の権利に焦点を当ててきたLRFが、今回のテーマとしたのはCOVID-19に対する「VAX(ワクチン)」。

その名も、反ワクチン・パンク・ソングな「THE ANTI-VAX PUNK SONGS」

国内でのコロナワクチン接種開始に態度を示しておくため、ダウンロードコードと歌詞掲載のジャケットというフォーマットにて、大阪から世界発信。スリーブには英語詞と日本語訳が掲載されている。曲のタイトルもストレートに、COVID-19をやっつけるのはワクチンではないと、きっぱり、パンクに。

THE ANTI-VAX PUNK SONGS  
EP ~by LRF 全4曲

1.   IT’S NOT A VACCINE THAT CAN BEAT COVID-19
2.   I CAN’T CARE
3.   GATES OF HELL
4.   STIR SHIT UP
(試聴と購入はこちら)https://lrfosaka.bandcamp.com/

テレビの主流ニュースを聞けば、急ピッチで出されたコロナワクチンがこのコロナな状況を救うもののように思うかもしれない。でも、いままで試されたことのないmRNAワクチンは、遺伝子組換えワクチンだ。長期に渡る心身への影響が懸念されるが、すでに短期間での被害が世界で報告され始めた。

米国のワクチン有害事象報告システム (VAERS/Vaccine Adverse Event Reporting System) に報告されただけでも、コロナワクチン摂取後の有害事象は、2/26日時点で2万5212件。死亡数は、1265人。

CDCによると、ワクチンなしでのコロナ回復率は99.7%( IFR:0.26%)だ。なぜ、そんなウィルスに怖がらされて、リスクを伴うワクチンを求めさせる風潮になっているのか。これは米国食品医薬品局(FDA)が正式に承認した COVID-19 の感染を防ぐ予防接種ではない。WHOも欧米の政府機関も、感染を防ぐという検証はまだないとしている代物だ。
そもそも、SARS-CoV-2は存在するのか。CDCでさえ、そのサンプルを持っていないのだ。「新型コロナウィルスの存在証明はない」と、日本の厚労省も実質、認めたのだ。

情報が届いていない。主流メディアが伝えない見解を持つ何百人という医者たちが集結した「世界医師連盟(WORLD DOCTORS ALLIANCE)」など、専門家の意見や動画、情報までもがソーシャルメディアやGoogleからどんどん削除されていく検閲のエスカレートに、なぜ、人々は黙っているのだろう。
報道の自由、言論の自由を叫ぶ声は、どこだ? その声が消えれば、私たちは精神の奴隷になっていく。

人々が肉の裏側のストーリーを知りたくないように、人々はワクチンの危険性についても知りたくないのかもしれない。ワクチンに反対するとバッシングされる同調圧力ある中で、反ワクチンの歌を披露することは、今のこの世では勇気いる行為だ。

イノベヒロキは、なぜ、あえて、この「THE ANTI-VAX PUNK SONGS」をリリースしたのか。

「コロナのこと、ワクチンのこと。コレ、異を唱えてるのが人類第一博愛主義者たちばっかりなら、僕は歌にしなかったと思うんです。

きっかけはFacebookのフレンドさんの投稿で、その方もヴィーガンで、いつも辻褄の合う、合点の行く投稿をされてる方で。

そこから自分なりに色々探るうちに、あゝこれはやっぱりおかしいぞ、と。
色んなもんも捲れていってるのに、何をもって安心安全なのかと。

このままアホ扱いされたまま生きて行くのか? 
否、答えは No! だと。

医者が嘘をつくはずがない
国が毒を撒くはずがない
鷄、豚、牛は食べ物 ゴキブリは駆除する物

経てから 
ワクチンは射つもの、とゆう擦り込み、押し付け、洗脳からの
ホンマの意味でのREDEMPTION SONGだ、と捉えてもらえれば嬉しいことですね」

と、イノベヒロキ。

歌手ボブ・マーリーが歌ったREDEMPTION SONG(リデンプション・ソング)は、
「精神の奴隷から、自分自身を解放するんだ、
自分のマインドを自由にするのは自分だ、
一緒に自由の歌を歌わないかい?」
と、彼の死後も、ずっと私たちの心に響き続ける。

そして、2021年。
私は、LRFのリデンプション・ソングに感動している。


『セレブの小部屋』No.112
Copyright: Yuka Azuma 2021

THE ANTI-VAX PUNK SONGS by LRF  歌詞カード


LRFにもっと聞きたい!:

1)  LRF(エルアールエフ)というバンド名、その意味は?
「LRFはLast Regulator Federationの略です。『YOUNG GUNS』という映画の中のビリー・ザ・キッドとその仲間たちがRegulators(警備団)と名乗っていて、ワルの地主と闘う話でして、ぼくたちがユルユルになって行くパンクシーンの最後のレギュレータというつもりでつけました」

2)ドラマーとしてバンド活動を開始したイノベヒロキが、LRFのシンガーになったきっかけとは?
「92年にThe Poguesのメンバーとして来日した元The ClashのJoe Strummerが、時間を割いて大阪でぼくらを呑みに連れて行ってくれた時の経験が、ドラマーからシンガーに鞍替えした大きな理由になったと思います」

LRF – THE ANTI-VAX PUNK SONGS EP (DOWNLOAD CODE+SLEEVE)
http://www.punkanddestroy.com/?pid=157237090
https://lrfosaka.bandcamp.com/