パンデミックで休演していたブロードウェイ、オペラなど続々とパフォーミングアーツが再開された昨今、ワクワクで出かけたのがアメリカン・バレエ・シアター、通称ABT。
選んだ演目は王道の「白鳥の湖」。
何度観ても飽きないどころか、いつも大感動、大満足なのでございます。
何しろチャイコフスキーの三大バレエだからね。
白鳥のオデットと黒鳥のオディールはイザベラ・ボイルストン。
それにしてもボイルストンは素晴らしい。
2019年に観た時は足が細く長くて抜群なバランスに驚きましたが、今回はそれだけじゃなく腕と背中のハンパない表現に惚れ惚れしました。
柔らかにしなやかにゆっくりと前に後ろに上下にと羽根を羽ばたかせる仕草なんかは、一瞬、この人、ほんとに白鳥なんじゃないかと思うほどだったのです。
人の体ってこんなふうに動かすことできるんだ。まさに優美。
もちろん黒鳥オディールが王子を誘惑するシーンのお約束32回転グラン・フェッテに会場内には「ブラボー!」の連呼でした。
悲しげな白鳥としたたかな黒鳥の見事なまでの演じ分けに唸りました。
ジークフリート王子はダニエル・カマルゴ。

Daniel Camargo. Photo: Sebastien Galtier
カマルゴは今シーズンABTの初お目見え。世界各地で活躍中のゲストダンサーです。
王子ジークフリートは頼りなげなキャラなんだけど、カマルゴ演じる王子はちょっとチャラく見えました。
ジャンプやターンのテクニックだけじゃなくて役そのもになりきっていたんでしょう。
そして、もう一つの魅力はコール・ド・バレエ(群舞)の美しさ。
真っ白のチュチュを身につけた白鳥達の一糸乱れぬフォーメーションにうっとりなのです。
上にあげた手がまるで白鳥の首のように見えちゃうし、羽ばたきが聞こえてきそうなのです。
呪いで白鳥にされちゃった人間達なわけで実に切ない。
けど最後には悪魔ロットバルトをみんなでやっつけちゃう優雅で強い集団なのでありました。
バレエはまさに究極の様式美でございます。