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「J Crew」の新しいカタログの中にあったもの

次男宛に「J Crew」 から2018年秋モノのカタログが届いていた。

次男宛に「J Crew」 から2018年秋モノのカタログが届いていた。

いつの間にか、何か買ったのだろうか?

車の免許を得てからというもの、モールなどにも一人で(または友達と)勝手に行けるし、お小遣いもあるのできっとオンラインでもいろいろ買っているのだろう。

子どもが高校生にもなると、親はそのあたりの細かい行動はもういちいち把握できなくなる。

まあ、いいんだけどね。
 

 
「J Crew」のインスタにもこうして告知が出ているように、本当にメールボックスに届いていたようだ。

次男はもう目を通したのか、最初から興味ないのかそれはよくわからないが、リビングルームのカウチの上にポツンとおいてあったので、私も手に取ってみた。

「J Crew」というブランドは、私はあまり着たこともなかったし興味もなかったのだけれど、ずいぶん前に日本からも撤退したと聞いていたし、売り上げにも伸び悩みクオリティが下がったというニュースを読んだことがあった。

紙媒体でカタログを見込み客に送ってくるぐらいだから、経営も上がっているのではないかと思った(「J Crew」が好きな友人の話だと前からずっと紙カタログは送られてきた、とのことだった。つまり経営がどうであれマーケティングとしてのカタログ送付は「継承」しているらしい)。

実際にアメリカでは最近クリエイティブデザイナーが変わったり、ずいぶんと頑張って盛り返していたように思う。

全く詳しくないのでよくわからないが、私の中では黒をメインとした「小洒落た」洋服を扱うお店、というイメージだった。

そういう所からのカタログだったので、洒落っ気のある次男も「なかなかやるな」と思ったわけで、イマドキの若者にウケるファッションはどういうものかな?

どれどれ…

と、中を見たわけだ。

へぇ。
ちょっと思っていた感じと違う。

「J Crew」ってそういうブランドだったんだ、というのがカタログの第一印象だ。

ふむふむ、なんだかいろいろなことが書いてある。

私たちグラフィックデザイナー・アートディレクターが目指していた美しい写真とデザインで勝負したかっこいい媒体というよりも、雑誌のように文字があって読む内容のものだった。

しかもそこには洋服そのものよりも「ライフスタイル」があるわけで、その部分にやや驚いた。

何回も言うようだが、時代は変わったな、とここでも思ったわけで。
  

新しい「多様性」とは

80年代にオリビエーロ・トスカーニのアートディレクションではじまったベネトンの広告キャンペーンは、人種差別、戦争、エイズ、環境破壊、難民や虐待など、全世界共通の社会問題をテーマにしたもので話題になった。

今回の「J Crew」が提案する「色」については、そのベネトン広告にもあった人種の多様性を思い出させるものであることは確かだが、ベネトンが掲げていた「社会問題」とは違い、問題意識がもう少し「個人的」なものになっていると思った。
 

  
流行の「プラスサイズ」のモデルや年齢が高いと思われる渋い男性モデルが登場しており、個人の在り方による多様性と「自分らしさ」の追求だと感じた。

心地よいのは「色」だけに留まらず、このカタログでは、サイズにも幅を広げ自分たちの信じる生き方、個性についての見直しがなされ、ライフスタイルの提案と奨励、そして人々からの承認を求めている。
  

「J Crew」が承認しているもの

このカタログの中にはプラスサイズのモデルも登場し「curvier body」の人でも「スリムフィット」など様々なパンツのスタイルが選べるようになっている。

つまり、どんな人でもサイズやスタイルが見つけられる、というコンセプトだ。

私がこのカタログを見て「時代は変わった」と感じたのは、結局その部分だった。

アシュリー・グラハムなどプラスサイズのモデルは昨年ぐらいからランウェイなどにも登場するほど人気だし、雑誌や新聞、そして各ファッションイベントにもひっぱりだこだ。

大柄で体の凹凸の激しいモデルたちを形容する「curvier models」と言う言葉が生まれたのも、ポジティブな言葉を意識して使うことにより、そのようなカテゴリーに属する人たちや社会をプラス思考に持っていこうとしている実例でもある。

「curvy body」となると「くびれのある体型」という意味だが、「curvier」となるとより凹凸があり「太った」というニュアンスになる。

つまり従来のやせ型フラットなモデルに対してプラスサイズは「curvier」なモデルである、ということだ。

米ヴォーグは毎年1回、サイズ特集号としてその時だけプラスサイズのモデルを使っているらしいが、それもあくまでも話題性とポリティカリーコレクトネスのため。

多様性が広がるアメリカ社会でも独自のブランドイメージを大切にするファッション界ではむしろターゲットは狭めるのが当たり前だ。

それが「J Crew」の場合は、話題性だけでなく「普通に」プラスサイズの顧客たちに「普通に」スタイリッシュな商品を売ろうとしているのだ。

このカタログにも「NEW」という言葉が連発されていたので、これは「J Crew」の「新しい試み」なのだなと思った。

勿論、売り上げを上げないといけない厳しいビジネスをしているわけで、消費者取り戻し(消費者拡大)のための戦略なのかもしれない。

しかし、その戦略はどんな体型であろうが好きなスタイルの服を着てオシャレに着飾りたいとみんなが思っているところの心理を鋭く突いているもので、凄いな、と思ったのだ。

プラスサイズの人たちだって、体型を隠すパンツではなくて、むしろスリムフィットを着てもいい。

そして、普通サイズの人たちで、今まで黒しか着たことがなかったという人には、ピンクを着てもいいんだよ、とこのカタログは訴えている。

つまり、それが「新しい」。

「従来の型にこだわらずそこから一歩踏み出してみる」というイマドキのライフスタイルのように感じられ、私にはとても新鮮に思えた。

日本はこのような「多様性」の話になる時点でかなり乗り遅れているので、多分このキャンペーンを日本でしたとしても理解されなかっただろう。

日本撤退はそういう意味でも必然的だったのかもしれない、と感じる。
 

ライバルを蹴落とすのではなく
仲間と一緒に成長するというイデオロギー

「J Crew」は数か月前にも起業家向けのコワーキングスペースを提供するアメリカの企業「WeWork」とコラボをし「グループの強み」や「団体としての協調性」を意識したテーマに取り組んでいる、と言う記事をニュースで読んだ。

つまり日本流に言うと「絆」がテーマだ。

競争が激しい社会ではあるが、人を蹴倒しても自分だけがのし上がろうとする時代は終わったのだ。

現在の若者は特に、グループや仲間がもっとも大切で、みんなと一緒に上に上がっていくのが正しいとする価値観が広まっている。

そして、仲間は多ければ多いほどいいし、幸せになれる、という考え方がある。
  

シェアハウスの成長

賃貸が高騰するニューヨークでも、起業家の中にはノマドのようにスタバなどのカフェで仕事をする人たちも増えているが、スモールビジネスのスタートアップをサポートするのが目的で、起業したいけれど場所がない、とか、仲間がいない、という若者のために、シェアハウスが数年前より人気となっている。

特にニューヨークから始まって数年にしてワシントンDCやカリフォルニアまでにも広がっている働く女性限定で共同スペースや精神的サポートを提供するコミュニティ・クラブの「the Wing」が急成長を遂げていることを例にしても、世の中の動きは、個人よりも「グループ」や「団体」に集まっており、これからもこのようなシェアハウスのようなものはますます膨れ上がるだろう。

今やNYの女性起業家たちにはなくてはならない「社交クラブ」になっている「the Wing」だ。↓
  

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ニューヨークタイムズに出ていた記事はこちら。↓

  

社会奉仕の概念

オバマ元大統領が大統領になった時、不景気や失業率アップの暗い世の中でも希望を持ってボランティア活動(パブリックサービス)をしようとボランティアプログラムの法案を実施したことで、アメリカでは社会奉仕が更に広まった。

現在は、ボランティア精神が一般社会へも浸透し、その基礎となっている「人助け」がビジネスにおいても最大な成功要因として容認されている。

そして、その人助けには「仲間」が必要である、ということ。

組織団体の中で自分の役割を率先して見つけ出し、行動を起こせる人のみがリーダーとなり、共感し合える仲間は多いほど、人は幸せになれる、ということだ。

この考え方は、日本政府が提案している「人生100年時代戦略」の元となった「ライフシフト」の著者であるリンダ・グラットンのものだ。

「仲間」を意味する「ポッセ」は、少数の呼びかけで集まりやすいグループのことであり、「ポッセ」は小規模なグループではあるがマッチング時代の今には欠かせないものとなり、人々のネットワークは全てここから広がっていくわけだ。

アメリカは個人主義だという見方が日本にも広まっているが、それと同時に組織とその中にある規律(つまりthe Constitution/憲法)を絶対的に重んじる国でもあり、アメリカ社会はそれに基づく「チームワーク」を非常に重要視している。

社会の中で役割分担を持っていると生きる喜びにも繋がり、人生の意味を見い出しやすくなるはずだ。

だからこそ、アメリカ社会には、信仰を共にする宗教団体をはじめ、チャリティー・ボランティア活動を共にするクラブ、共通の趣味のミートアップグループ、そしてそこから広がるライフワークを広めるコミュニティー団体など、それはそれは多くの集まりが存在し、人々も「複数」のグループに所属し役割分担も掛け持ちして忙しく飛び回る人も多いのだ。
  

「J Crew」#MeetMyCrew キャンペーン

1. 自分が所属するグループの写真をシェア
2. 1万ドルもらったらどんなことに役立てたいか書く
3. @jcrew #MEETMYCREW #contest とタグ付けしインスタやツイッターに投稿

これがこの秋に始まった「J Crew」の具体的なキャンペーンだ。

自分たちのグループでなくとも、支援しているどこかのノンプロフィット団体でもいいし身近なボランティア活動グループでもいいらしい。

ソーシャルミディア上に投稿された写真の中から、ベストなものを選出し、1万ドルの賞金が渡される、ということらしい。

信念を持って頑張っている人を応援しよう、そして1万ドルを獲得(または支援しているグループへ贈呈)しよう、というものだ。

一人よりも二人。
二人よりも三人。
三人よりも多数。

グループの力に注目し、社会のため人のために気持ちのいいことをする様々な団体の活動内容にスポットを当てる。

社会や人間の多様性を認め、そして讃えることで、そこからまた新しい人間像を受け入れ誰もがより暮らしやすい社会を作り出していこう。

そういうキャンペーンだ。
  

ファッションとはワクワクさせてくれるもの

昔は私も自称「ファッショニスタ」としてファッションにはかなりこだわっていた時期がある。

私にとってのファッションとは着ているだけで気分が上がり、ワクワクさせてくれるもの。

そして夢見る自分になれたという錯覚を起こさせてくれる。

この「J Crew」のキャンペーンを知って、なんだかワクワクしてきた。

勿論、1万ドルの賞金のこともあるけれど(w)、これからの社会が更に良い方向へ動くかもしれないという期待がわいてくるからだ。

「J Crew」もやるな。

まさか洋服のカタログでここまで深く考えるとは思わなかったが、私にとっても、新しい気づきがあったので、見ておいてよかったと思う。

さて、私の周りにも応援したい「グループ」がたくさんあるし、私自身もライフワークとしての活動を「仲間」と一緒に少なからずやっている。

1万ドルかあ〜。w
キャンペーン、参加してみようかな、と思った次第だ。

下の動画は#MeetMyCrew キャンペーンに登場するブルックリンの若者バンド「The Brooklyn United Crew」をはじめとする7つの団体が登場している。
 

上山仁子その他のサイトHP子育てブログノースカロライナ&その近郊情報集
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