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パリ同時多発テロ:パスポートと中絶問題と私の苛立ち

物騒な世の中だ。 そして、日常生活では、騒々しいと思えることが起こった。 まず、パリで同時多発テロが起きた直後に、元夫が電話してきた。

物騒な世の中だ。

そして、日常生活では、騒々しいと思えることが起こった。

まず、パリで同時多発テロが起きた直後に、元夫が電話してきた。
嫌な予感はしていたが、そういう時に予感は的中する。

案の上、彼は

「子どもたちには当分、外国は勿論、一人で国内旅行などへも行かせないほうがいいと思う」

と言ってきた。

ナヌ?

普段だったら元夫の不必要な言い分には動じないのだが、国際離婚者の子どもの外国旅行となるとややこしくなる。

今月はじめぐらいに、ちょっとした理由から、子どもたちのパスポートがそろそろ切れるころだなと思い出していたところだった。

面倒だけれども、そうなると元夫に連絡して「同意書」を書いてもらわないといけない(アメリカでは、離婚した家庭の場合でも両親健在の場合、揃ってパスポート発券所へ出向かなければいけない。それが不可能な場合は「同意書」が必要となる)。

同意書を書いてもらうのは、これで2回目になるので、別れて以来、そろそろ5年が経つということか。

早いものだ。

そんな感傷にふけっていた矢先に、テロが起こった。

このテロが今年の春、ちょうど次男が学校の「フィールドトリップ」でヨーロッパに行っている時に起こったものだったら、確かに身震いがする。

そして、いつまたこのような惨事がどこで起こるかわからないことを考えると、元夫の言いたいこともわかる。

テロにより罪のない人たちの命が絶たれた、という悲しい事実を前に、子どものパスポートが更新できないかもしれない、という苛立ちは、全くをもって贅沢なものであり、こんな時にそのように思った私は自分勝手で不謹慎なのかもしれないのは、充分にわかっている。

が、テロが起ころうが何だろうが、生かされた私たちは、自分たちの人生を「今まで通り」前に進ませなければいけないのだ。

受け取り方は様々だが、改めて元夫の生き方に賛同できない腹立たしい気持ちと、それゆえ、テロにも絶対、屈しない、という底知れぬパワーが私の中で生じてきたのを感じた次第だ。

さらには、 翌朝土曜日のこと。

長女のお稽古事に出かけた後に、近所で遭遇した光景を目の当たりにして、驚いた。

うちの近所には、「Planned Parenthood」と呼ばれるヘルスケアセンターのノースカロライナ州本部がある。

そこのセンターの建物の前で「人殺し反対!」と大勢の人たちが、プラカードを持って集まっていたのだ。

「Planned Parenthood」は、健康保険などがない低所得者のためにサービスをするノンプロフィット団体で、性病患者や性的悩みや体の婦人科系問題を持つ女性を主に対象としている健康機関だ。

元々は、ニューヨーク出身のアメリカ合衆国の産児制限(受胎調節)活動家だったマーガレット・サンガー氏が、1921年にニューヨークのブルックリンにアメリカ初の「バースコントロールができるクリニック」を立ち上げたのが始まりで、その後、全米各地に広がり、現在の名前になったは、1942年だということ。

つまるところ「Planned Parenthood」は、「中絶」ができる産婦人科クリニックとして成長してきたわけで、保守的で宗教深いアメリカ人にとってこの施設はかなり衝撃的で、当然のこととして、それ以来、ずっと賛否両論で、社会の批判や賛同含め、いろいろとニュースになっている。

ノースカロライナの本部であるチャペルヒルのこの「Planned Parenthood」でも、時折、建物の前で静かに祈りを捧げている人たちを目にすることが今までにもあった。

最初にこの「不思議」な祈りの光景を目撃した時は、中絶した人が、罪の意識から亡くなった胎児の冥福を親族一同で祈っているのか?と勝手に想像していたが、そうではない。

その正式な意味は「Planned Parenthood」に反対する人たちが、建物に向かって「人間を平気で殺せる彼らをどうぞ救ってあげてください」と、神に祈りを捧げる、というものであり、もうずいぶんと前から、反対派の意思を表明するものとなっている。そして、不定期だと思うが、その儀式はいつも土曜日の朝、行われている。

今回は、ショッキングなテロの翌日ということもあったのか、いつもより大勢の人たちが、さらには大きな十字架まで掲げて「No Killing!」と訴えていたのが目についた。

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建物に向かって祈る人たちと、車に向かって訴える人たちがいた。正直、十字架が、かなり異様な光景だった。

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「Planned Parenthood は、子どもを殺してその死体を売っている」というバナー。
PP団体はその言い回しを訂正し「医学的研究のために、大学病院などのリサーチ機関へ提供している」と言うこと。

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中には、フッド(帽子)をかぶっている人もいたりして、一瞬「KKK」がいる!と真剣に鳥肌が立ってしまった。

その日の夕方、家に帰ってきてから検索してみたが、このようなことは、記事にもなってはいない様子だった。

アメリカ人の友人に聞いても、

「また、やっていたんだね。
彼らはやっぱりちょっとおかしい。
確かにテロのこともあって、ちょっと大げさに反応していたんじゃない?」

と言うこと。

実際には、「テロの翌朝」というのは、全くの偶然だったのかもしれないが、明らかに彼らの怒りは、普段の「静かな祈り」よりもはるかに騒々しいもので、私の目には、気持ちの悪い過激派団体以外の何者でもなかった。

なんだかちょっとブレてるな、と感じる。

来年に大統領選という大きな選挙を控えたアメリカでは、「中絶」に関する賛否が政治を動かす大きなキーになっているわけで、これからもますますこのような反対派・賛成派の運動などが激しくなると思う(実際に、「Planned Parenthood」のサポートをリクエストするキャンペーンは、11月17日付けで開始されたようだ)。

反対派の言い分としては、「人間の生きる権利」は、命を授かった時点で胎児にも与えられる、というもので、「母親に女性の権利」があるならば、生まれてくる子どもに権利がないのは不公平だ、というもの。

敢えて言わせてもらうと、私は「Pro Choice」を支持しているので「Planned Parenthood」には賛成だ。

3人の子宝に恵まれ、命の尊さや美しさは、身を以て感じているが、それでも、人間(女性)の基本的選択権利を私は優先する。そして何よりも、中絶するかそうでないかは、個人個人で決めることであり「パーソナル」な決断であっていいと思っている。

80年代に当時大好きだったキャサリン・ハムネットの「Choose Life(=中絶反対)」Tシャツを着ていた時期があったが、なんとも軽はずみだったなと思う。

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だって、ワム!のジョージ・マイケルが着ていたからね。若気の至りとはこのことか(w)。

考え方や生き方が合わない人と交わると、納得がいかないことや、理不尽なる思いで、腹が立つこともある、ということ。

そして人生は、そういうことの方が多いような気もする。

今回は、個人的なことと政治的なことがごっちゃになって押し寄せてきたが、やはり、行き着くところはいつも同じだ。

生きる喜びをかみしめ、ひたすら、毎日を精一杯生きるのみ。

上山仁子その他のサイト・HP子育てブログノースカロライナ&その近郊情報集
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1 comment on “パリ同時多発テロ:パスポートと中絶問題と私の苛立ち

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