セレブの小部屋

Occupy Sandy/オキュパイ・サンディで、いままで逮捕されてきた活動家たちがヒーローに

2012年10月29日、ニューヨークをはじめとする米国北東部を襲ったハリケーン・サンディ。その翌日、「オキュパイ・ウォールストリート」活動家たちはハリケーン・サンディ被災者支援をスタートした。

©Stacy Lanyon
「人々を動力源とする復旧:オキュパイ・サンディ」

2012年10月29日、ニューヨークをはじめとする米国北東部を襲ったハリケーン・サンディ。
その翌日、「オキュパイ・ウォールストリート」活動家たちはハリケーン・サンディ被災者支援をスタートした。

「ウォール街を占拠せよ」と声をあげていた人たち。
オキュパイ・ウォーストリートの最初のキャンプ村となった「ズコッティ・パーク」で活動してきた6人が、ハリケーン救済活動のための場所を提供してほしいと、ブルックリンのサンセットパークにある教会に交渉した。

そうやって「オキュパイ・サンディ」が発足し、この聖ヤコービ教会(St. Jacobi Church)が、その活動本部となったのだ。

「オキュパイ・サンディ」は、赤十字や米連邦緊急事態管理局よりも迅速に救済活動を展開し、多くのボランティアの力によって物資配給や掃除サービスを提供。感謝祭の日には1万人以上の食事を必要な人々に配給した。

ボランティアはまず、この聖ヤコービ教会へ。
以前からオキュパイ運動に加担してきた私は、もちろんそこへと足を運ぶ。

そこで、ハリケーン支援ボランティアのためのオリエーテーションが行われるのだ。

私が行ったときは若くしっかりしたボランティアの女性が教会の中で説明してくれた。

「今日だけでも歓迎です。でも週2日以上、働けると助かります。これはこれからも長く続く救済活動だからです。ある部門を担当している者も仕事に行かなくてはならない日があるので、何人かが担当できると助かるのです。

住宅訪問では、どの被害者が何を必要としているかをメモして私たちに知らせてください。
私たちのフリをして強盗にはいる人たちもいるため、住民はドアを開けたがらないときもありますから覚悟してください。

撤去作業で“このソファも外に出しますか?”とボロなソファを指したら、じつは家族が使っている家具だった、という場合もあります。なので、考慮しながら親切にね」

「エンジニアや建設の技術のある方は?」と、聞かれる。
「医療関係に強い方は?」
「ロシア語の話せる人は?(被災地ロックアウェーとコニーアイランドは英語の話せないロシア系移民が多く住んでいるため)」
「ガソリンのはいった車のある人は? 外に行って“アン”から指示をうけてください」

そうやって、この教会から各地の被災地へとボランティアが派遣されるのだ。

オムツや水を被災者に運ぶ自転車ライダーたち。 後ろに並んでいるのは被災地へ行く車を待っているボランティアたち

なんの技能のない私は、必要とされる場所へと去っていくボランティアを横目に、掃除でもなんでもやる覚悟で待機。

「キッチンで働きたい人は?」と聞かれて、腰をあげた。
「オキュパイ・サンディ」が良いのは、特殊技能のない人でも誰でもボランティアとして受けいれてくれるところだ。

何百というボランティアがやって来て、みんなが「チャリティ」でなく、「相互扶助/mutual aid」の精神で助け合う。
これこそ、99パーセントを代表するオキュパイの精神なのだ。

ボランティアたちと、ここで料理をした

本部となった聖ヤコービ教会の斜め前にある教会のキッチンを使わせてもらえることになっており、そこには缶詰、パン、パスタなどの寄付が積まれていた。

私はそこで見知らぬ人たちと共に、いくつものビーンズ豆の缶詰を開け、200近くのツナサラダ・サンドイッチを作って箱詰めした。
奥ではベジテリアンのスープやらチキンやらが料理されていた。

それらをガソリンのある車(ガス欠が深刻な問題だった)を持つ者がやってきて被災地へと運んでいく。
リーダーのいない組織だといわれる「オキュパイ」は、人々の力で、みんなのハーモニーでスムーズに運営されている。

それぞれ各地でサポートができるように、「オキュパイ・サンディ」はあちこちに“ハブ”と呼ばれる活動場をオープンしていった。コミュニティ・センターや教会、最初に本部を得たときのように、オキュパイ活動家が交渉して広げていったのだ。

酷い被害のロックアウェーでは、ある店主が語る。

「自転車でやってきた24歳の若者が被害にあった店の後片付けを手伝ってくれた。そして彼はこの店をハリケーン救済センターにしないかと聞いてきた。」

そうやって、瓦礫に囲まれた場所に「YANA (You Are Never Alone)」と名付けられたハブが誕生した。
ソーラー・パネルをつんだ「グリーンピース」のトラックがワシントンDCからやってきて、その店の天井に設置され、太陽光が住民のための電気となった。

ブルックリンのレッドフックでボランティアを申し込むボランティアたち

ブルックリンの「レッドフック」のハブでも、多くのボランティアが同じように働いていた。

「彼と組んでデリバリーに行きたい人?」と聞かれて、「はい!」と手をあげた私。

見ると、私のパートナーとなるのはイケメン男性だった。
意外なところから、楽しいことも舞い込んでくるものだ。

彼の車に乗り込んで、物資が集められたレッドフックの教会に寄って、できたての食べ物やジュース、オムツ、電池、水などを積みこみ、停電の低収入者用住宅に届けに行った。

廊下は昼間なのに真っ暗で何も見えない。
アパート番号をフラッシュライトで見ながら必要とされている人のドアを叩く。

大型ゴミを運んだり、別の教会に行って寄付されたブランケットや洋服の整理、住人にディナーを配布するコミュニティ・センターでの掃除など、私でもできる仕事は多くあった。

最初は、どうやってヘルプしていいか分からなくて、必要とされる物資や手作りのお寿司を差し入れすることくらいだった。

でも、ボランティアを受け入れてくれる体勢を築き上げてくれたボランティアたちのおかげで誰でも、もっとできることがあるのだ。

一緒に働いた人とも同意したことだが、これは「自分のためにやっている」のだ。
ボランティアで自分が得るものは、他人に与えるものよりも大きいような気がする。

若者はもちろん、年配の人たちも、そしてオキュパイ運動に関わっていなかった多くの人たちも、ボランティアをしたいとやって来た。

驚いたことに、俳優ベン・スティラーもブルックリンのハブにやってきて食事配布をやったし、女優パトリシア・アークエットも「オキュパイ・サンディ」のボランティアに賛同した。

(彼女のインタビューはこちら)

デモでは何千というオキュパイ活動家たちを逮捕してきたニューヨーク市長ブルームバーグも、「オキュパイ・サンディ」の活躍を認めないわけにはいかなかった。

12/1日(土)にロックアウェーを訪問した市長はオキュパイ活動家たちに告げた。

「君たちの貢献に感謝している。状況を改善し、変化をもたらしてくれている。君たちはグレートだ」

「オキュパイ・サンディ」は11月いっぱいで、本部として機能していた聖ヤコービ教会から出ていかなくてはならなくなった。
ボランティアたちは「代わりとなる場所をだれか知らないか」と、Facebookやツイッターで、問いかける。

いまもまだ、献身的なボランティアたちによって支援作業は続いている。

この週末(12/1日)も、オキュパイ活動家の私の友人はNYに建設される環境汚染が懸念されるパイプライン建築の反対デモに行く前に、300ものベーガンのシェパードパイを被災者のために料理していた。

撤去される前の「ズコッティ・パーク」でホームレスやお腹をすかせた人たちのためにいつも食事を配給していたオキュパイ運動家たちは、いつもやってきたことを、いまはスケールを大きくして続けているわけだ。

copyright: Yuka Azuma 2012

Occupy Sandyのサイト(ボランティア志望者はここをチェック)
http://interoccupy.net/occupysandy
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渡米は1982年。ロサンゼルスに13年在住後、ニューヨークへ。84年より映画記事を中心に雑誌等に寄稿。ハリウッド映画スターへのインタビュー歴は30年以上。訳書にマーク・デヴィッドジアク『刑事コロンボ』(角川書店)、同『刑事コロンボの秘密』(風雅書房)、フランク・サネロ『ジュリア・ロバーツ 恋する女神』(講談社)『ヴィダル・サスーン自伝』(髪書房)がある。

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