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引退なんてモーガン・フリーマンには似合わない

「 誕生日に、世界で一番好きな俳優と会えるなんて!」と、今年10月、満面の笑顔で俳優モーガン・フリーマンの手を握りしめた私。 彼は手を握り返して「ハッピー・バースデー!」と、言ってくれた。 なんて最高のバースデー!  これで10年は寿命が延びた。

「 誕生日に、世界で一番好きな俳優と会えるなんて!」

と、今年10月、満面の笑顔で俳優モーガン・フリーマンの手を握りしめた私。
彼は手を握り返して「ハッピー・バースデー!」と、言ってくれた。
なんて最高のバースデー!  これで10年は寿命が延びた。

彼はそこに居たスタッフにちらりと目を向けて
「How about that? (どうだい) 彼女の一番、好きな俳優ときた」と、嬉しそうな笑顔を見せた。

じつは、その前日にも取材して一緒に写真を撮ったのだが、そのとき私はあまりに彼が大好きなので思わず興奮して、彼に抱きついてしまった。
彼は穏やかな優しい人で、嫌がらずに微笑んでくれた。

だが、取材では彼はいつも笑っているわけではない。
例えば「黒人だから、うんねん」という質問は、彼は好きではなさそうだと、最初にインタビューしたときに思った。
「優秀な俳優ならば、黒人であることは利点なのだ」と、言っていた。

「僕はアフリカン・アメリカンではない。ブラック・アメリカンだ」
と、正しいアメリカ黒人への呼び方に気を使った記者にきっぱり言っていたことも印象に残っている。

今回は、豪華キャストの新作映画『RED/レッド』の取材で、彼に再会する機会に恵まれた。

全米に登場した映画『RED/レッド』のモーガン・フリーマンのポスター 日本公開は2011年1月29日

どうしてこの作品に出演したのかと聞けば
「仕事が必要だった」
何が難しかったかと聞くと
「何も難しいことなど、なかった」
と、穏やかにゆっくり答えるモーガン!

でも『 RED/レッド』では退役CIAエージェント役で隠居生活を送る男を演じたが、彼自身は引退を考えたりするか。
それを聞かれたときの彼の答えは印象的だった。

「90歳になって誰も僕に仕事をくれなくなったら、どうするか、ってことかい? そんなことは、考えたこともないね。
僕は90代後半まで働いていくつもりだ。
どうやって僕を使おうかと業界人たちは頭を使ってくれるだろうからね。“死体”としてでも使えるかもしれないし」

と、彼は笑った。
そしてあの温かな声で、彼らしく正直に語るのだった。

「だが、働けないほど年老いてしまったら、他のことをするのさえ年寄りすぎだ、ということだ。 そんな人生では、ただ横になるしかないじゃないか。

いつでも朝、起きる理由を持たなきゃならない。どこかに行って、何かをしなきゃならない。なにか目的がないとね。
もし仕事がなければ、どうなるのだろう。仕事ができないほど年をとるというのが、僕はよく分からない」

そんなことを語る目の前のモーガンは、現在73歳とは思えないほど若々しい。

「それに‥‥引退を楽しみにしている人たちというのは、僕ほど人生を楽しんでいない人たちだと思うよ」

ブルース・ウィリス、ジョン・マルコヴィッチらと共演した映画『RED/レッド』 Photo: Summit Entertainment

この新作『 RED/レッド』には、93歳の現役俳優アーネスト・ボーグナインもCIAで働く男として出演している。

アーネストが「グッド・アフタヌーン!」と、すごい大きな声で挨拶しながら背筋を真っすぐ伸ばして部屋に入ってきたときには驚いた。93歳とは信じられないほどの元気さで、「ワッハッハッ」と豪快に笑いながら取材に応じてくれた。
こういうお年寄りに会うと、年をとることが怖くなくなる。

モーガンなんて、まだまだこの共演者より30歳も若いのだから、引退なんて考えられないのは当然だろう。

私が初めてモーガン・フリーマンにインタビューしたのは1996年、彼の59歳の誕生日だった。
そのときに、いままでのキャリアで一番誇りに思う映画はどれか、と聞いた。
私は『ワイルド・チェンジ』を観て彼の大ファンになり、私の一番好きな映画が『ショーシャンクの空に』なので、知りたかった。

ところが、彼は迷うことなく、『グローリー』(1989年映画)と、答えた。

後、『ミリオンダラー・ベイビー』でアカデミー賞の最優秀助演男優賞オスカーを獲得し、昨年『インビクタス/負けざる者たち』ではネルソン・マンデラも演じた彼。いまなら、どの作品と言うだろうか。

14年後、彼に同じ質問を浴びせたら、やはり、同じ答えが返ってきた。

「南北戦争で黒人たちが兵隊として戦ったということを、どのアメリカ人も知らない。黒人はどの戦争でも戦ってきたのだ。その1812年の戦争でもね。
だから、あの映画『グローリー』をとても誇りに思っている。
そんなアメリカが聞いたこともないような裏のストーリーを、これからも伝えていきたいんだ」

100歳になっても、そんなストーリーを語ってくれる彼でいてほしい。

モーガン・フリーマンと著者

Copyright: Yuka Azuma 2010

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渡米は1982年。ロサンゼルスに13年在住後、ニューヨークへ。84年より映画記事を中心に雑誌等に寄稿。ハリウッド映画スターへのインタビュー歴は30年以上。訳書にマーク・デヴィッドジアク『刑事コロンボ』(角川書店)、同『刑事コロンボの秘密』(風雅書房)、フランク・サネロ『ジュリア・ロバーツ 恋する女神』(講談社)『ヴィダル・サスーン自伝』(髪書房)がある。

1 comment on “引退なんてモーガン・フリーマンには似合わない

  1. モーガンもゆかさんもなんてチャーミング!らぶー。

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