アメリカの風景(写真)

NYチェルシーホテルの住人だったトーマス・ウルフの家

トーマス・ウルフという小説家は、日本ではあまり知られていない。 彼は38年という短い生涯の中で、自伝とも言える4冊の長編小説と数々のショートストーリーを書いたが、彼の作品は、あまり日本では馴染みがない。

トーマス・ウルフという小説家は、日本ではあまり知られていない。
彼は38年という短い生涯の中で、自伝とも言える4冊の長編小説と数々のショートストーリーを書いたが、彼の作品は、あまり日本では馴染みがない。
オリジナル(英語)でも、メタファーが多くドラマチックで詩的表現が豊かな彼の文章は、かなり読みずらいとされる。

彼が生前よく訪れていたというドイツでは特に、一部の熱狂的読者の間では「カルト」作家として英雄視されているのだそうだ。
今回は、そんな彼の故郷ノースキャロライナ州アッシュヴィルを訪ねてみた。

トーマス・ウルフ:
1900年、ノースキャロライナ州アッシュヴィル生まれ。
石切職人の父と、不動産ブローカーの母との間に生まれた8人兄弟の末っ子。
母親が経営する寄宿舎「オールドケンタッキーホーム」で幼少時を過ごす。

酒飲みで乱暴な父親と、真面目なビジネスウーマンとして地道に働く母親。
両親は、毎日喧嘩が絶えず、辛い少年期を過ごしていたが、16歳になる頃、同州チャペルヒルにある州立大学で、舞台文学を学ぶ為に家を出る。
卒業後は、ハーヴァード大学院へ進む。

大学院卒業直後の父親の死が、彼の執筆へ多大な影響を与えたとされるが、1923年、ウルフは、ニューヨークへと拠点を移す。
ニューヨーク大学で英語教師として生活を始める。
作家としての名声を得るまでは、その後ずっとこの職業を続けることになる。

英語教師をしながら、ウルフは、ショートストーリ−を書き続けていたが、作品を一つとして売ることができなかった。
彼が住居としていた、チェルシーホテルの部屋は、現在彼のメモリアルとなっている「オールドケンタッキーホーム」の直ぐ横にある展示場に再現されている。

6フィート以上の大柄(実に2メートル近くあったらしい)だった彼の部屋にしては、かなり小さく狭苦しいく感じられるが、母親が訪ねて来た時なども、その小さな部屋に二人で寝ていたのだそうだ。

1925年以降、彼は数回に亘り、ヨーロッパへと渡航の旅に出かけるようになる。
そこで、以後4年間の愛人となるユダヤ系既婚女性で、ステージデザイナ−でもあったアイリーンと出会う。
アイリーンがもたらした、ウルフへの影響がどれほど力強いものだったのかは、言うまでもない。

18歳も年上の彼女からの経済的援助は勿論のこと、ニューヨーク出身の裕福な彼女との恋愛は、田舎の貧しい家庭で育ち、偏見に満ちていた彼の性格を和らげていったと言う。

1929年、「天使よ故郷を見よ」を発表したウルフは、この作品をアイリーンに捧げ、その後間もなく、彼女との関係に終止符を打った。
作品は、ベストセラーになり、ウルフは脚光を浴びる。
アメリカ文学における新しいスターが誕生したわけだ。

その後、文学界のセレブリティとしての生活をエンジョイしていたウルフだが、アメリカ西部への講演旅行の途中で、肺炎にかかる。
合併症を伴い、結核菌が脳へ転移。
講演先のシアトルで病に倒れて2ヶ月後、38歳の誕生日を目の前に、彼は息を引き取った。

彼の遺体は、故郷アッシュヴィルのリヴァーサイドセメタリーに納められている。
そこには、アメリカが誇るもう一人の偉大なる作家、O. ヘンリーも埋葬されている。

「オールドケンタッキーハウス」
少年期のウルフは、この入り口の前で、
当時の女性としてはまれに見るビジネスパーソンだった母親の
ビジネスカードを配るのが毎日の日課とされていた。
その仕事がウルフは嫌でたまらなかったと言われている。

いくつものベッドルームがある中、
ウルフ自身の部屋はなかったと言う。
その日の空き部屋を寝床にしていたというウルフは、
2階にあるこの角部屋がお気に入りだったらしい。

ボーディングハウス1階にある「ダイニング」ルーム。
今で言う雰囲気豊かなベッド&ブレックファストのような趣きがあるが、
家族の生活は決して豊かなものではなかった。

置かれているのは、全て当時使われていたオリジナル食器。
貧しくてもこのような素晴らしい食器に囲まれて生活ができた、
というわけか。

「アンカーホッキング」社の
「アーリーアメリカンプレスカット」の皿を見つけた。
年代的にウルフが去ってから使われていたと思われるもの。

上山仁子の写真がもっと見たい場合は、フリッカーでどうぞ。
ブログ:http://ameblo.jp/nymommy/
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ニューヨーク在住15年を経て2007年12月よりノースカロライナ州へ生活の拠点を移したグラフィックデザイナー兼ライター。英語学習・ティーン向け・女性のためのコーチングも行っている。

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