ヒトコの小径

ペンギンの絵本と温暖化。

クリスマスのプレゼントとして、日本から「365日まいにちペンギン」という絵本が送られて来ていた。
それを最近は寝る前の時間に子どもたちに読んであげているわけだが、それがかなり考えさせられる内容だったりして、ちょっと困ってしまった。

子どもには、正しい理論を教えたいのに、親が実際にしていることは全くその反対だったりする。
これでは子どもは混乱するだけだろう。

世の中、複雑になったものだ。
これが正直、私の気持ちだ。
夫いわく「こういうのを chaos theory って言うんだよ」とのことだ。

「chaos theory」ー自然科学に関する言葉らしいが、
つまるところ様々な異なる複数の要因から引き出される結果が予測できずにいる状態で、観測による予想が不可能に近い、という理論。
こうしたらああなる、という単純なことではない世の中になっている、ということ。

現代の悩める社会では、何か一つ問題を解決しようと思って行動しても、またそこで今度は別の新しい問題が生じる。複雑化した世の中では、いろいろなことが交ざり合って、これからの将来が、どうなるのかさえもわからないということだ。じたばたしても無駄だな(笑)。

私の夫は、ヴェジタリアン。
NYのヴェジタリアンに共通することと言えば、それは皆が頑固であるということと、健康管理の知識は勿論、環境や社会問題についての意識が非常に高いこと。

結局私の頭の中の混乱は、全てそこから始まっている。
彼の見事なぐらいの徹底振りに、私は逆に反発するようになったのだ。

そんなこと言ったって、美味しいモノを食べたら幸せになるというもの。
人間は、幸せになることが一番大切。
そういう私は、可愛い動物だって美味しければきっと食べてしまうと思う。
子牛だって大好きだ(勿論、食べるのが)。

家畜はその為に生まれて来たわけで、キリスト教でもそのように唱えているではないか。
その分、自分の血となり肉となってくれたことに、感謝すればいいのだ。

昔、子どもの頃、言われたことあるでしょう?
「○○ちゃんのお腹の中に入る為に生まれて来たんだから、食べてねぇ! 残したら可哀相だよ」
ってね。

多少いけないことをしていても楽しんじゃえばいいわけで、地球や健康の為に頑張り過ぎて、ストレスを感じていては意味もない。
私一人が頑張ったって地球が変わるわけではないし、それよりも私は家族の幸せを守らなきゃ。
なーんてね。

彼の科学的事実に基づいた統計論に対して、私はスピリチュアルな精神論と幸せへの哲学をもって対抗していたわけだ。

しかし、それで良いのだろうか?
と最近思うようにもなってきた。

夫だけではなくて「温暖化」についていろいろと言っている人が多くなり、回りでも何だか騒がしくなってきた。

自然界の危機が迫り、政府や企業の利益のみを求めたいろいろなもくろみが暴露されたりすると、夫の言う様に、利己的だった人間は、やはり何処かで変わらなければいけないのかも。

「アメリカ人は極端だ」と批判的だったバランスを重んじる日本人も、バランスを保つ為の線引きの位置を検討する必要がある、と思えて来た。

それにね、ここ数年特に感じるのは、健康とはいかに大切か、ということ。
若い時は、健康なのが当たり前だったが、今はそうじゃない。
自分の体に対する自信もなくなってきている。
そうなると、夫が実践する健康管理でも一緒にやってみようかな、という気にもなってきたわけだ。

地球の為に、自分に何かできることはないのかな?
健康の為に何をしたらいいのかな?
自分の目の前の幸せだけを考えていたが、子どもが生まれて受け継いで行って欲しいものができた時、自分たちの将来の孫やひ孫たちの為にも、興味をもっと外に広げないといけないと切実に感じている。

生活を少しでも変えてみる気持ちにはなったもの、実生活で小さい子どもたちと一緒にそれを実践するのは、まだまだ難しい。
3歩進んで2歩下がる、みたいな心境だ。

「365日まいにちペンギン」のお話は、ある家庭に毎日一匹ずつペンギンが届けられるようになるところから始る。それが365日続く。

最後の日には、ヒゲ面のおじさんまでやってくるが、その人は、エコロジストなわけ。

おじさんは、一匹だけを残して他のペンギンたちをみんな更に北へと移動させる。
温暖化で南極の氷が解け始めてペンギンの住む場所がなくなってしまうとのこと。
それで、そのエコロジストのおじさんは、ペンギンを北極へ移動させる計画を立てたわけだ。
なるほど、そういうことだったのか。

子どもに読み聞かせるにはかなり深刻な内容だったりする。
それでも子どもたちは真剣に聞いている。
途中で夫が近寄って来て、興味深そうに会話に入って来たりした。
「で、最後はどうなるの?」
「北極へ行ったら、今度はポーラベアの場所がなくなっちゃったの!」
子どもたちは面白がってそう言っていたが、夫的には笑い事ではない。

夫は、
「その通りだね。しかも人間がペンギンたちが食べる魚まで食べちゃうから、ペンギンたちが食べるものがなくなって来ちゃったんだよ」
と更に解説を入れていた。

あぁ。
事実かもしれないけれど、もうそれ以上は言わないで。
私は苦笑するしかない。

アル・ゴアが、ノーベル平和賞を取ったのどうだの、ってもてはやされているが、その反面、彼の贅沢三昧な生活振りは、保守派から「環境問題を唱えるならまず自分の生活を改めるべき」だと批判されている。
そういう意味では、夫の考え/生き方は、筋が一本通っているようにも感じる。

しかし、真実をしっかりと見つめることは辛いものなのだ(笑)。
「ペンギンさん、可哀相だね」
「アイスが解けないようにするには、どうしたらいいの?」
子どもたちはいろいろと聞いて来る。
そういう問いにうまく答えられない私だ。

一体この絵本は、子どもに何を伝えようとしているのだろう?
考えれば考える程、わからなくなってくる。

できることから始めましょう、と取りあえず言ったとしても、では、何ができるのか?
しっかりと子どもにも伝えてあげたいのに、それがわからない。

モノが豊かになって何の不自由もない現代社会に生きる私たち。
しかしそのしっぺ返しとして、そういう豊かな生活が引き起こした今後の課題に、いろいろ直面していかなければいけないだろう。

今の時代の子育ては、昔よりも逆に複雑で難しいのではないかと思う。
何もなかった時代の方が、シンプルでよかったのかも。

思い悩んだ私は、スーパーマーケットで荷物を入れてもらう時、プラスティックバッグからペーパーバッグに切り替えた。
一週間分の買い物をする私には、エコバッグでは追いつかない。
遅ればせながら、これからは全てペーパーバッグで。
切り替えた日に、実際に持ってみた感じがよかったので嬉しかった。

これとペンギンを結び付けて子どもに説明するのは難しいが、私にとっては、これも前進。
ちょっと嬉しくて、夫にもそう報告した。

さて、次は、何ができるかな?
そういうことをこれからは子どもたちともしっかりと一緒に考えて行きたいと思う。

上山仁子その他のサイト・HP子育てブログ
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ニューヨーク在住15年を経て2007年12月よりノースカロライナ州へ生活の拠点を移したグラフィックデザイナー兼ライター。英語学習・ティーン向け・女性のためのコーチングも行っている。

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