セレブの小部屋

ヒゲも仮面もない素顔のジェラルド・バトラーとの二人だけの時間

「二人きりになりたい」と、ジェラルド・バトラーは私と二人だけになることを、かなり強行に申し出た。 来年公開される新作『P.S.アイラヴユー』の撮影現場を訪れたときだ。

訪問をセットアップしてくれた広報担当の女性が、取材者である私とは同伴したいし、この映画資料を書かなくてはならないのでインタビュー内容を同室で聞きたいと反論したのに「他の人がいると話に集中できないから」と、彼は私だけを彼のトレイラーに招き入れたいと退かなかった。

彼女とジェラルドの交渉を目の前に、私はなんかシアワセ気分。

こんな人が彼氏だったら良いかも、だなんて妄想を膨らませながら。
まったく傲慢さはなく、どの係員にも節度のある優しい物腰を保ちながら、ちゃんと自分の希望も強くプッシュできる男らしさ。

彼が「すまない」と係員に言って、ニューヨークのチャイナタウンの路上に設置されたトレイラーのドアは閉められた。

「僕にとって今回はいままでで一番、撮影を楽しんでいる作品なんだ」
と、ジェラルドは撮影中の新作について熱く語りだした。

「そういえば『トゥームレイダ-2』のときにもインタビューしたんだっけ」と、テンション低く臨んだジェラルド・バトラーとの会見だったのに、きれいな青い瞳を光らせながら集中して話してくれる彼を目の前に、私のテンションはハイになった。

『トゥームレイダ-2』では最高にカッコいいアンジェリーナ・ジョリーのヒーローぶりがあまりにも印象的で、その横に立っていた助演俳優なんて情けないくらいマヌケに見えてしまって。
だから前回ジェラルドに会ったときのことなんて、ほとんど覚えていない。

こ、こんなにイイ男、なんで忘れてたんだー!

ジェラルド・バトラーとヒラリー・スワンク主演のラブストーリー『P.S.アイラヴユー』

ジェラルド・バトラーとヒラリー・スワンク主演のラブストーリー『P.S.アイラヴユー』

彼は共演者や監督を持ち上げる人だ。
自分の話よりも『P.S.アイラヴユー』の共演女優ヒラリー・スワンクやリチャード・ラグラヴェネーズ監督の話になると、ジェラルドは身を乗り出して彼らがどんなに素晴らしいかと熱弁になる。
そんな自己顕示欲のなさそうな人だから、前回は強烈なアンジーの横で影が薄くなってしまったのかもしれない。

でも一人でいる目の前の彼、そのオーラはまさにヒーロー。
強くて、誰にも優しくて、正義の味方、って感じの人だった。こんな男性に守られる女性ってラッキーだろうなと、またもや雑念に胸が熱くなる。

「役者は回りから良くしてもらえるものなんだ。現場でもみんながナイスに接待してくれる。それに慣れてはいけない、っていうのは僕が意識して気をつけていることだ」と、彼は語った。

演技の仕事が大好きで一生懸命、働くけれど、スターになること自体には興味がないというスコットランド人。

「今日みたいにニューヨークでブラブラして、バッテリーパーク・シティでサンセットを見て、ワォ、ここに座って眺めようと思える、この自由を満喫している。それは失いたくないものだ」

『オペラ座の怪人』でブレイクしたものの、彼はまだそれほど世間に顔を知られていない状況を楽しんでいた。

「いつも映画ではヒゲとか仮面とかをつけているから素顔がバレなくて良いんだ。でも『300』も出るし、これからはどうしよう。紙袋でもかぶろうかな」と、彼は笑った。

話題作『300』が日本でも、もうすぐ封切られる。スパルタ王レオニダスを熱演した彼の顔に多くの人たちが目を向けるようになるだろう。

でも私は『P.S.アイラヴユー』の撮影現場で目撃した彼の素顔をスクリーンで観ることが何よりも楽しみ。
自分が死んだ後も、愛する女性ホリー(ヒラリー・スワンク)が強く生きていけるようにラブレターをしたためる献身の男性ジェリーを演じるジェラルド。
誠実で優しい恋愛対象としての彼を堪能したい!

「僕は自分勝手な男なんだ。だから、ジェリーがしたことを自分もするかというと分からない。
何しろ僕は自分の母の死は耐えられないから、母親よりも先に死にたいと思っていたような男なんだ。本当に身勝手だろう?
でも、そうだね。誰かを本当に愛したら、多分、僕もジェリーがしたことをするかもしれない」

そんなことを語ってくれたジェラルドの爽やかな笑顔が忘れられない。

余談だが、『P.S.アイラヴユー』は林真理子さんが翻訳をして日本でも話題になっている本が基になった映画。その原作者でアイルランドの首相令嬢でもあるセシリア・アハーンも撮影を見学していた。

処女小説がジェラルド主演のハリウッド映画になってしまうなんて、なんてラッキー。小説家に憧れる私は思わず彼女に言った。

「あなたは私の夢を地で生きているわ! 羨ましい!」

夜間撮影を見守っていたセシリアは別れ際に「あなたも頑張って。あなたの小説を読みたいわ」と言ってくれた。

どうか、どうか素敵な映画が出来上がりますように。
撮影現場訪問後、原作をボロボロ泣きながら読み終えた私はそんなことを願っていた。

©2007 Yuka Azuma

Advertisements

渡米は1982年。ロサンゼルスに13年在住後、ニューヨークへ。84年より映画記事を中心に雑誌等に寄稿。ハリウッド映画スターへのインタビュー歴は30年以上。訳書にマーク・デヴィッドジアク『刑事コロンボ』(角川書店)、同『刑事コロンボの秘密』(風雅書房)、フランク・サネロ『ジュリア・ロバーツ 恋する女神』(講談社)『ヴィダル・サスーン自伝』(髪書房)がある。

0 comments on “ヒゲも仮面もない素顔のジェラルド・バトラーとの二人だけの時間

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out /  Change )

Google+ photo

You are commenting using your Google+ account. Log Out /  Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out /  Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out /  Change )

Connecting to %s

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

%d bloggers like this: