セレブの小部屋 ビューティー

NYのカリスマ美容師エイジの手にかかったヘアとは?

グィネス・パルトローにテレビ・インタビューしたときのことだ。 ほんの数分のうちに、いっぱい質問しなくてはと力んで、彼女の出演作に関する第一問を問いかけた。 するとグィネスはにっこり笑って、こういったのだった。

グィネス・パルトローにテレビ・インタビューしたときのことだ。
ほんの数分のうちに、いっぱい質問しなくてはと力んで、彼女の出演作に関する第一問を問いかけた。
するとグィネスはにっこり笑って、こういったのだった。

「その質問に答える前に、私から質問させて。
どうやったら、そんな絹のような光沢あるヘアを維持できるの?」

え? そんなことを答えている暇はないと思いながらも、内心うれしかった私。

そういえばアンジェリカ・ヒューストンからも「まあ、なんて美しいヘア」と言われた。

映画『ヴァン・ヘルシング』の吸血鬼花嫁からは「映画の中の私のヘアと同じ」と、指摘されたりもした。

よく考えたら、私のヘアを誉めてくれたアンジェリカ・ヒューストンの『アダムス・ファミリー』の魔女ヘアも、ちょっと私のヘアに似ているではないか。

アメリカで言うなら吸血鬼/魔女、日本で言えば『リング』の貞子ヘア、そんな感じの黒髪なのだ。

そのうちすぐに白髪が出てきて嫌でもヘアカラーをしなきゃならない時がくるのだから、それまではそのままでと真っ黒のまま。
ブルネットやブロンド・ヘアの多いアメリカでは、かえってエキゾティックに見えたりするみたい。

ある日本人美容師エイジ・ヤマネさんに髪を切ってもらったあとは、魔女や貞子の赴きが消えて、なおさらヘアを誉められるようになった。
そしてヘアと心理の関係を、このヘア業界のセレブ、エイジさんと話してみて、なおさら認識し始めた私だ。

髪がちゃんとしていると、なんでもうまくいくような気になるのは不思議。
反対に、ヘアがうっとうしい雨の日は気分も優れない。

失恋したときに髪を切りたくなるのも、自分の古い部分を切りはらって新しいスタートを迎えたいという自然な心理からくるのだろう。

「心がどこまで奥を感じられるかによって、美容師の力が違ってくる。
心が深くなれば深くなるほど、ヘアカットも深くなっていく」

そんなことを、まじめな表情で語るエイジさんだから、彼のヘアカットがただものでないのは決まっている。
ニューヨークのアップタウン、マディソン通りにある『エイジ』サロンのオーナーで、すごい腕のヘアスタイリストなのだ。

彼の熱い視線を受けた髪は、元気になる。
心まで潤うヘアカットなんてものが、あるなんて!
その体験は髪の一本一本が感じとれるもののような気がした。

うれしくて、ヘアカット終了後、思わず私はエイジさんをハグ(抱擁)して、お礼を言ったものだ。
踊りに行けば、髪が大胆に揺れて目立ったし、普段はなんの手入れもいらず、ちゃんとおとなしくおさまった。

だけどエイジさんの手にかかったヘアカットは半年以上、放置したままの状態になった。
髪はおしりにつきそうなくらいの長さにのびてしまった。

子供のオムツ替えのときには、毛先がウンチにすれてしまいそうになるし、 2回ほど、料理中に髪先を燃やすという事件も発生。
ヘアはガス・コンロについてしまう長さだった。

燃えてチリチリになった毛先を切りながら、あー、エイジさんの作ったヘアカットが乱れちゃう、と思ったりもした。

ふだん自分のために使う時間が少ない私だけど、そろそろそんな時間をもつべき時期だ。サロンに行かなきゃ。
誰かが自分のために時間をさいて、きれいにしてくれるなんて、夢のようなひとときだと思う。

エイジさんに会いたい。
彼にヘアカットされたら、もう他の人のもとへはヘアカットに行く気もしない。
ただ、そこで問題は1つ。

彼のヘアカット料金が高いのだ。
ガガーン。

ヘアカットに1時間半もかける職人肌で、連日、予約もいっぱい。予約が入るかという問題もあるかもしれない。
でも何よりも私にとっての問題は、ヘアカットに300ドル前後を払えるか、という点だ。
ビジネスで使うなら何でもない額でも、自分のヘアにそれだけかけるのは……と、どうしても庶民的な態度になってしまう自分。

だけどエイジさんのカットは“心が潤う”という、そんな値段以上の価値があるものであることに間違いはない。
そこはまさにアートの世界。
自分のヘアがアートになってしまうなんて、あまりにも素敵な体験だった。

早くヘアカットの予約をいれなきゃと思いつつも、時間が過ぎていった。

そして、まずはパーマをかけてからと別のサロンを訪れた。
するとそこのスタイリストさんが、あまりに長すぎる私のヘアにみかねて、パーマの後さらりと慣れた手つきで毛先をちょうどいい長さに切ってくださった。
おかげで気分はすっきり。

だけど、な、なんだ、この罪の意識は?
少し寂しい気もした。エイジさんのカットが、消えていくぅ。

いまの私、なんか浮気したみたいな気分だなぁ。

EIJI salon
601 Madison Ave., 5F.
New York, NY 10022
tel (212)838-3454

Featured Photo by freestocks.org on Pexels.com
©2005 Yuka Azuma

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渡米は1982年。ロサンゼルスに13年在住後、ニューヨークへ。84年より映画記事を中心に雑誌等に寄稿。ハリウッド映画スターへのインタビュー歴は30年以上。訳書にマーク・デヴィッドジアク『刑事コロンボ』(角川書店)、同『刑事コロンボの秘密』(風雅書房)、フランク・サネロ『ジュリア・ロバーツ 恋する女神』(講談社)『ヴィダル・サスーン自伝』(髪書房)がある。

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