ヒトコの小径

長男の卒業式

長男が卒業式を迎えた。

長男のPK(プリキンダーガーテン、幼稚園の年少に当たる)は、入園式なんていうのもなかったし、卒業式と言ったってどうせ大したものではない、と軽く思っていた。
しかし、時期が迫って来た先月、昨年同じPKへ通っていたお友達のママから、「結構、感動するものがあるよ」と言われたので、それ以来、とっても楽しみにするようになった。

うちの子どもは、午後から始まるクラスなのだが、先月からずっと予行演習のようなもので、午前中の生徒と合同でクラスが行われていた。舞台でお歌やお遊戯をしたりして、この一年で習ったことを披露してくれるということらしいが、親としても期待と興奮がたかまってくる。

学校から、当日の生徒の服装として「男の子は白いYシャツにダーク系パンツ、女の子はスプリングドレス」という指示も出た。

普段、そんな正装をさせたことがないので、新しく買わなくてはいけない。その日一日だけの為にちょっともったいないと思ったが、グランマいわく「卒業式なんだから当り前じゃないの!可哀相に!」とあまりにもカジュアルすぎる私たちのライフスタイルをちらっと批判されてしまった。

洋服は割とすぐに見つかったのでよかったが、靴を買うかどうしようか迷った。どうせ長男は革靴なんて嫌がるに決まっている。それにアメリカでは、いくら正装していても、子どもの足元はスニーカーだというケースも多いのだ。

「黒っぽい靴だったら、スニーカーみたいなのでいいよ。どうせ買っても履かないから、革靴なんて」と私が靴屋でいろいろと並んでいる靴を見ながらそう言うと、グランマは、

「折角だからきちんとした格好をさせてあげればいいじゃないの」と怒られた。

そう言われても「無駄」なことはしたくなかった私は、昨年はどうだったのか、お友達のママに聞いてみることにした。すると「うん。黒っぽいジーンズとかジャージーみたいなラフな格好に、スニーカーっていう子どももいたよ。でもほとんどはやっぱり革靴のようなものを履いていた」とのこと。

「でしょ?やっぱりねぇ。決まってるじゃないの。スニーカーとかの人もいるかもしれないけど、だからってわざわざ自分の子どもをそういう少数派にすることないじゃないの。グランマはやっぱり、ジャスティンにはきちんとした格好をさせて欲しい」と切に訴えられた。

なるほど。確かにそれもそうね。アメリカにはいろんな人がいて、何でもOKといういい加減なところがあるけど、そこまでなめていては子どもの教育によくない。いくらアメリカでも、母が言うように、ちゃんとしている人は普段からちゃんとしているわけである。ちょっと反省した。

で、革靴を購入した。これで、ばっちり準備も整ったわけだ。

一週間前になると記念撮影の為に、当日用の服装をしてくるように言われた。「ジャスティン、今日みんなでお写真撮るから、カッコいいお洋服着なくちゃいけないんだって」とご機嫌を取りながら、洋服を着せた。うちの子どもは二人とも我が強く、気に入ったものでないと絶対に着ない。靴を履く時も、親友のA君とお揃いのスパイダーマンスニーカーじゃないと嫌だと大泣きされた。

「でも今日は、A君だってスニーカーなんて履いてこないよ。だからね、これ履いて。わぁ~、カッコいい~、このお靴!」とか何とか言っても全然効き目なし。大人3人が寄ってたかって説得してやっとしぶしぶ新しい革靴を履いた。

送りに行った夫が焦って帰って来たのはそれから15分後。「ヒトコ!今日は誰も革靴なんて履いて来ている子どもはいなかったよ。A君だって、いつものスニーカーだったから、ジャスティンはまた泣きそうだったよ。僕はまたスニーカーを届けに行くから!いいよね?」と言って素早くまた出て行った。

「やっぱりねぇ」と実は心の中で思った私。あれだけ散々「今日は革靴でないとダメ」と言われておいてお友達が革靴でなかったのだから、そりゃあ、子どもとしても混乱するであろう。

納得がいかなかった長男に、先生は「今日はスニーカーでいいけれど、卒業式の当日は、革靴を履いてきてね」と言ったらしい(靴ごときで、一々こんなに大騒ぎになるなんてバカらしく、全くエネルギーの無駄遣いだ、とため息がでます。こういうのって、うちだけなのか、それともどこのご家庭でも同じ様なことが起こっているのか、気になるところです)。

卒業式当日。

オーディトリアムに入ると、可愛いドレスで着飾った女の子たちの姿がいきなり目についた。スプリングドレスというのは、こういうもののことを言うのか。まるでバレリーナのようなレースの衣装でとってもキレイ。私もこういうの着たかったなあ、などと思いながら見とれていると、親友のA君が「ジャスティーン!!」と駆け寄って来た。ジャスティンも彼の前では、目が輝き、見違える様にいきいきとしている。本当に好きなんだなあ、彼のこと(ちなみに、長男はA君と結婚したいと言っている。まあ、そういうのもありかな、と家族で話していますが)。

彼の足元を見ると、あれれ、まずい。やはりいつものスニーカーではないか。夫と二人で、ちょっと焦った。

それにしてもうちの長男、結構笑わせてくれた。みんなが一生懸命お遊戯しながらお歌を歌っている時に、一人でぼーっとしたり、あくびをしたり、そうかと思えば、急に反対側にいるA君の方を見てニヤニヤしたり(汗)、かなーりのマイペース振りであった。

夫は「穴が合ったら入りたい気分だ」と言って冷や汗をかいていたし、私は一生懸命ヴィデオを撮っていたのだが、そうなると撮るべきなのか撮らない方がいいのか、夫と顔を見合わせては、苦笑いの連続だった。

期待した「感動」はなかったけれど、まあそれも、うちの子どもらしい。そういう長男も私にとってはとってもいじらしく、可愛い子どもなのだ。そう思うと、ちょっと涙が出てきそうになった。

ジャスティンは、きっと凄い「大物」になるか、それとも単なるアホで終わるか、どちらかね。もう一人、男の子がいてよかった、とマジに次男への期待が募る。

しかし、長男よ。頑張ってくれ~ぃ、と願わずにはいられない一日だったなあ。普通なら、卒業式には「頑張ったね」となるはずなんだけれどねぇ・・・。

上山仁子その他のサイト・HP子育てブログ
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ニューヨーク在住15年を経て2007年12月よりノースカロライナ州へ生活の拠点を移したグラフィックデザイナー兼ライター。英語学習・ティーン向け・女性のためのコーチングも行っている。

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