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年齢差のある愛について、ジャック・ニコルソンが答えた迷コメント

「この映画タイトル、あんまり良くないと思わない?」

と、ジャック・ニコルソンは、あのニヒルな笑いを浮かべて聞いてきた。

「つい忘れてしまいそうな題名なんだ。『SOMETHING’S GOTTA GIVE』だっけ?」

私も彼に同感だ。日本では『恋愛適齢期』と名付けられたこの映画、久々に心から楽しめたコメディだった。だけど原題タイトルしか知らなかったら観に行きたいと思わなかったかもしれない。
フタを開けたら玉手箱。私のいまのオススメ映画だ。

「“アタック・オブ・ア・ハート“っていうタイトルが良いんじゃないかって提案したんだが、それじゃあ映画の内容がバレてしまうと言われてね」

そうか。ジャック・ニコルソンなんていう大物の意見でも通らないことがあるんだな。私は少しびっくりした。だって、ジャック・ニコルソンだよ。
彼のような俳優は他にいない、って言われている、威厳ある、なんか怖いイメージの大俳優。

だけど目の前に出てきたのは、映画で見たコワイお顔じゃない。案外どこでもいそうな優しいオジサマだった。
ウォールドフ・アストリア・ホテルの一室でジャック・ニコルソンを真横にしても、なんの違和感も威圧も感じられない。

ニコルソンが演じるのは、壮年のくせして若い娘とばかりデートしてる独身の音楽業界人。
ところがガールフレンドの母親(ダイアン・キートン)にも心惹かれ戸惑ってしまうというお話。

で、マイケル・ダグラスと25歳年下のキャサリン・ゼダ・ジョーンズとか、アシュトン・クッチャーと15歳年上のデミ・ムーアとか、年齢差のあるカップルが目立つハリウッドだから、そういう年の離れた恋愛は普段の私生活でよく耳にする話なのか、それに対する彼の考えについて質問をした私。
『恋愛適齢期』は、年の差のある恋愛を扱った作品でもあったし。

想像としては「愛があれば年の差なんて」とか「若い配偶者を持つことが成功の証である」とか、そういった一般的なコメントを期待していた。

ところがニコルソンは、
「911事件後、どうすれば良いかという質問を受けて、誰かが”カナダに逃避しよう”と言った」
とか、あれ、なんか、これって私の質問したことじゃなーいと思ってしまうようなコメントを長々と喋り続けた。

あとで計ってみたら、私が質問したあと3分間以上もペラペラ話し続けた彼。だけど、私が聞きたかった肝心の答えはナシ。

「僕は自分の私生活を暴露しない。
真実としては、僕は君に良い記事を書いてもらいたいと協力したい気持ちで答えているんだ。僕はどんな話題についてだって話すよ。どんな質問にも答えるんだ。プライベートなことは暴露せずにね。 嘘はつかないし、スキャンダルをクリエートしたりもしない。嘘をつこうと思えば、僕はうまく嘘だってつけるのだけどね」

とか、なんだかんだ。
にこやかに笑いながらも、な、なんだ、この答え。
あ、あのー、あなた、何か勘違いなさってませんか?

思わず聞き返すところだったがなんといっても相手は、あのジャック・ニコルソンだ。ん? とためらって、聞き損ねてしまった。

インタビューを終えたあと、もしかして?と不安に思い、友達に聞いてみた。

おー、やっぱりそうだったか?マズイ!

ニコルソンとアンジェリカ・ヒューストンが別れた原因は、彼が若い女性とのあいだに子供を作ったからだとか、その後も33歳年下のララ・フリン・ボイルとつき合っていたとか、そういうゴシップを教えてもらった。
だからか。
彼は私が巧妙に彼の私生活に首をつっこもうとしてると思ったのかもしれない!

「なんで、いい年になっても男はあなたのように若い娘が好きなんですかねえ」と、聞かれたと思ったのかしら。いやー、まったくそんなつもりはなかった。濡れ衣だよぉ。

私はこんな職業についていながらゴシップに弱いので、彼の恋愛遍歴も全く知らなかったのだ。ただただ「年齢差のある恋愛はどう思う?」って、軽い気持ちで聞きたかっただけなのだけど、いま思うと、ちょっと失礼だったかも。

だけど確かに彼は正直で、この私の質問以外は、なんでも話してくれる人だった。
彼は年で性行為ができないからヴァイアグラを適用するんだ、とでも言っているかのようなコメントまで放っていた。
LSDのドラッグ体験についても
「僕の生涯で最もビビッドな体験だった。それは言葉で言い表せない強烈な体験で、感じたのは自分の人生を遥かに越えたものだった」
と、堂々と語ってくれたのだった。

過去に演じた殺人鬼のイメージのせいか、私が彼に抱いていた“怖い“イメージは大崩れ。

「僕はね、みんなが僕のことを奇妙な顔つきをした男だと思っていたとは知らなかったんだ。人からそんなに奇妙なルックスだと思われていたとはな」

と、語るニコルソンは可愛いムードでいっぱいだった。
鬼のように見えた、あの眉毛でさえ、いまでは愛らしく感じられてしまう。
それに最近はコメディによく出ている彼だし。
でも、それには理由があった。

「911事件以降、もう僕は人々を悲しませたり落ち込ませたりするような作品には一切、関わらないと決心したんだ。人々を悲しい気持ちにさせることに自分の人生を注ぎ込みたくないとね。非難したり攻撃的な内容のものでなく、しばらくはコメディを選びたいと思ったんだ」

怖い顔の優しいオジサマが与えてくれる笑いは、なぜか私の心にジンとくる。

©2004 Yuka Azuma

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渡米は1982年。ロサンゼルスに13年在住後、ニューヨークへ。84年より映画記事を中心に雑誌等に寄稿。ハリウッド映画スターへのインタビュー歴は30年以上。訳書にマーク・デヴィッドジアク『刑事コロンボ』(角川書店)、同『刑事コロンボの秘密』(風雅書房)、フランク・サネロ『ジュリア・ロバーツ 恋する女神』(講談社)『ヴィダル・サスーン自伝』(髪書房)がある。

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