セレブの小部屋

恋するキアヌ・リーブスに恋したワタシ

ムラムラと、私の内から何かが生まれてる。これって、もしや恋?
恋の始まりみたいな気分がゆらゆら大きくなっていく。

ことの始まりは、ダイアン・キートン演じるバツイチの年配女性が、ジャック・ニコルソンとキアヌ・リーブスというスゴイ組み合わせの二人相手に恋を展開する映画を観たこと。

この全米12月12日に封切りになる新作『Something’s Gotta Give』で、うんと年上のオバサマに恋する30代の医者を演じたキアヌ・リーブスに、私は—恋してしまった。

カッコいい『マトリックス』シリーズを観ても、何度か取材で実際の彼に会っていても、特別ドッキリしてなかった私なのに。この映画を観たあとは、気になってしょうがない。いいのよぉ、キアヌちゃん。その純粋な恋する瞳が。

この映画観ると、いくら年とっても女を捨てちゃいけないんだなあ、って将来に希望を与えられる。シワシワお顔のオバサマでも、キアヌと恋愛できる可能性があるなんて。
なんかこの先、自分の将来も楽しみになってきたなあ。

で、ドキンドキンと大きくなっていくこの気持ち、あまりに心地イイもんだから相手に伝えたくてウズウズしちゃって、つい。
単独インタビューではなく記者会見だったのに、みんなの前で、キアヌ・リーブスに告白しちゃったのだ。

「私、 恋しちゃったんです。この映画のあなたに」

って、マイクを通して愛の告白。

「あなたのキャラクターは誠実で、ロマンチックで、女性がファンタジーを抱きたくなるような男性です」

ああ。心のなかにウズウズしていたものを吐き出すって気持ち良い。

「でも実際のあなたは、どうもロマンチックなタイプには見えないんです。いえ、私はあなたの私生活を知らないので、実はロマンチックなのかもしれませんが・・」

は? いま思い出すと、かなり失礼なことを伝えてしまった? どうも私は正直で、思ったことをそのまま口にしてしまう。

キアヌは真面目顔で、ちょっと声を太く低く、即座に反応した。

「ああ、その通り。僕はまったくロマンチックなタイプじゃない。ロマンスを求めるなら、僕以外の男を選んだほうがいい。
僕はいきなり“寝床に入りたいかい?”って、聞くタイプ。花やギフトもナシ。これが僕だ。欲しけりゃ、どうぞ。欲しくなけりゃ去れ、って感じでね」

「じゃあ、実際とはまったく違う男を演じるってことで、かなり大変だったのでしょうか」

そんな私たちのやりとりに、世界各国からの記者たちは回りで大笑いしてる。

「そう、まさに演技。これこそ、まったくの演技だ。もしこれで受賞を受けなければ、みんな実の僕を知らないってことだね」

でも、可愛いキアヌ。そんなふうに悪ぶってジョークを飛ばしたあとはゴメンと呟いて、この映画で彼が演じた医者のように、優しい物腰で長々、語ってくれたのだった。

「心臓の医者だから、ハートをいたわる献身的な男性だと理解して演じたんだ。人に捧げることができる男として。
それにダイアン(キートン)は驚異的な女性だから、彼女に恋するのは簡単なことだよ」

ああ。好きなタイプだぁー。
若い頃は汚いというイメージが先行したりしてたのに(注:セレブの小部屋 その16)、来年40歳を迎える彼は、本当に素敵に年をとった。

記者会見だから、ちゃんとヘアメイク係もついたはずなのに、目の前に現れた彼は、左の髪の毛がぴょんと飛びはねていて鉄腕アトム風。こういうところがやっぱりキアヌよね、だなんて安心させながらも、やはり大人になった。
受け答えにしても、ジョークを自然にとばせる余裕や貫禄がついてきた。それでいて世間の荒波にはまったく汚されずにいられる彼。

「ナゾのキアヌ」が「好きよキアヌ」へと、変ってしまったぞ。

でも私の場合、映画のキャラクターから恋心が芽生えたとき、すぐに実物の彼に会えて、それを伝えることができたから、ふと現実的になって気持ちを落ち着かせることができた。

もし、それができなかったら。もし、実物の彼を一目も見られない立場だったら。
キャラクターを愛し続けて、そのキャラクターがキアヌ自身だというファンタジーも自分の中で膨らんでいって、プロマイド写真を見つめながら持ちいきどころのない空しい気分にさえ、なっていたかもしれない。この映画のキアヌの姿は、そんな虜にされそうな危険度いっぱいだった。

良かった、片思いに悩まされる前にブレーキが効いて。ちょっと危なかったよ、今回は。

それにしても、キアヌ。もしかしたら私の知らない私生活のなかで、この映画みたいに誰かをあんなふうに愛して、あんな素敵な側面を見せているかもしれないと想像すると、あー、やっぱり、うらやましい。

平和な至福を連想させるものは何か、という質問を受けたキアヌは目を閉じた。真面目に本当に目を閉じて連想するあたり、彼は本当に純粋だ。
彼は自分にとっての幸せなひとときを想像した。

「良い仕事を終えたあとの1日の終わり。素敵な滑走のあとにオートバイから降りる瞬間。愛する人とベッドに座るひととき。良い友達と音楽という言葉を通して交流する貴重な時間。そして、ボルドー・ワイン」

ウーン、キアヌちゃん。
あなたと一緒にべッドに座って、ボルドー・ワインを飲んでみたい。
でも、いくらなんでも、それを彼に告白する日はこないだろうな。

©2004 Yuka Azuma

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渡米は1982年。ロサンゼルスに13年在住後、ニューヨークへ。84年より映画記事を中心に雑誌等に寄稿。ハリウッド映画スターへのインタビュー歴は30年以上。訳書にマーク・デヴィッドジアク『刑事コロンボ』(角川書店)、同『刑事コロンボの秘密』(風雅書房)、フランク・サネロ『ジュリア・ロバーツ 恋する女神』(講談社)『ヴィダル・サスーン自伝』(髪書房)がある。

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