セレブの小部屋

マッチョな男トム・セレックが抱く男らしいオトコ像とは?

“マッチョ、マッチョマーン!”
と、ヴィレッジ・ピープルの歌を耳にして、私が思い浮かべるのは、俳優トム・セレックの顔だ。

テレビ・シリーズ番組『私立探偵マグナム』で初めて彼を見たときから、そんな男っぽいイメージを抱いてしまった 。
あの、ぶあつい口ひげといい、モサモサのまゆ毛といい、筋肉質な体格といい、どう見ても正真正銘の“マッチョマン”。 映画でどんなに違う役をやっても、なんかムーンと男っぽさが臭ってくる俳優なのだ。

実際の彼も、線が太くて男らしさプンプンだった。
実物大の本人を目の前に、私は聞いた。

「あなたにはどうしても、マッチョで男らしいイメージを抱いてしまうのですが、あなたにとっての“男らしさ”とは?」

それに対するセレックの答えは、しっかり私の脳裏に焼きついた。
彼は真剣に優しい物腰で答えてくれた。

「勇敢でありながらも傷つきやすい面も持ち合わせている男。それに真の男らしさというのはね、良い父親であるかどうかにかかってる。 男らしい男とは、良い父親であるということなんだ」

彼は良い父親になろうと全力を尽くしていると言っていた。
良いこと言うなあ。この人、良い人だなあ、と感じた瞬間だった。その太い腕に抱擁されたら安心だろうな、だなんてオジサンの大きな体を目の前に思ったもんだ。独身だった私でも、その応答には感動した。

実際に自分も親になってから、彼の言葉をよく思い出すようになった。いまはさらに納得してしまう。子供を一緒に育てる相手は、こういう男らしい人でなくちゃね。

「男性とのキスは、いかがでしたか?」

だなんて質問も、そのあと彼に浴びせた。
当時のセレックは映画『イン&アウト』でゲイのレポーターを演じ、俳優ケヴィン・クラインとのキス・シーンを披露したところだった。

が、そっちの質問の答えは覚えてない。
「マッチョ・イコール・パパ」という方程式のほうが、あまりに印象的で、それ以外のことは忘れた。

「セレックはゲイだ」とデッチあげた雑誌社を「偽りの報道」だと訴訟して自分がゲイでないことをアピールした彼が、ゲイを演じることが不思議な気がして質問したのは覚えているけど。

そういえば、その後、レズビアンでもある女優ロージー・オドーネルのテレビ・トーク番組に出演したセレックは、インタビュー中、彼女と口論になった。

セレックがチャールトン・ヘストン(*)率いる軍団NRA(全米ライフル協会)のメンバーであることが暴露され、その見解が口論の元になったのだ。

セレックが、一般市民のライフル銃の使用保持を奨励する人だったとは…。
あれれれ。なんか裏切られたような気がした。知りたくなかった事実。
こんな人を父親や夫にしたら幸せだろうなー、だなんて平和な夢を見させてもらってたのになあ。

だけど、彼の主張、わかるような気もする。
彼はウエスタンをこよなく愛する人だ。銃を手にカウボーイ・ハットをかぶる男たちがポーズをとったアメリカ開拓時代を「正直で素朴な良き時代」と表現する男だ。私は「野蛮時代」と呼んでいるけれど。
でも、アメリカはその時代の歴史があってこそ現在の自由が保持されているのだと、彼に説かれれば頷いてしまう私なのである。
なんか古っくさい、オール・アメリカンな男。こういう男臭さって、なつかしい。

「ウーン、マンダム!」っと、思わず呟きたくなる。

って、これは、やはり男臭い俳優チャールズ・ブロンソンが出ていた一昔前のヒゲ剃り商品のテレビ・コマーシャルの文句。

そのブロンソンのように顎に手をやって、“ウーン、マグナム”とセレックを見つめて唸ってしまいたくなる私だが、このコマーシャルを思い出して、私が彷佛する絵を想像できる読者は少ないかもしれない。
ウーン、時代は流れゆく。

セレックも一昔前だったら、ハンフリー・ボガートやケーリー・グラントといった往年のスターと同じオーラで、強烈なスター性をもっと絶賛されていただろうにな。
もしかして活躍する時代が間違っているのかな。彼のタイプって、いまの時代、ちょっと受けないんじゃないかな。
でも彼、ウエスタンなら、強烈な主役として世界を制覇できる勢いを醸し出せるような気がする。

西部開拓時代に生きる良き父親の男らしい物語、なんてどう?。
「大草原の小さな家」のマッチョ版なんて企画が出た日には、ぜひぜひトム・セレックを主演にしてほしい。

©2003 Yuka Azuma

(*)「セレブの小部屋 その2」で、いわく付き?

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渡米は1982年。ロサンゼルスに13年在住後、ニューヨークへ。84年より映画記事を中心に雑誌等に寄稿。ハリウッド映画スターへのインタビュー歴は30年以上。訳書にマーク・デヴィッドジアク『刑事コロンボ』(角川書店)、同『刑事コロンボの秘密』(風雅書房)、フランク・サネロ『ジュリア・ロバーツ 恋する女神』(講談社)『ヴィダル・サスーン自伝』(髪書房)がある。

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