ヒトコの小径

ニューヨーカーのタトゥー

今年の夏は、本当に雨が多かったなあと振り返る季節になった。このところ急に涼しくなってきて、私はここ1ヵ月ぐらいずっと風邪を患っている。健康管理がなってない証拠だ。気を付けなければならない。

体調が芳ばしくないので、すっかり冬支度になっている私だが、相変わらず薄着のニューヨーカーもまだまだ多い。

昔、「お洒落な人たちは、季節先取りで、人よりも早く衣替えをする」と誰かが言っていたが、ニューヨークでは、この「衣替え」という感覚がまるでない。冬でも暖かい時には、半袖半パンツになって日光浴をしたりするのだから、タフな人たちだ。

今日、大きなタトゥーをしている人に会った。といってもストリートですれ違っただけだったが、私が秋物のコートで身を包んでいたというのに、その彼女は、タンクトップで素足にサンダルといった出で立ちだった。

「おぉ。寒そ~」と思ったのだが、胸のところに大きなバラのタトゥーが目立っていた。

肌の露出度が高い夏は、今年もタトゥーが目立っていたが、ニューヨークには、タトゥーを入れている人が本当に多い。こちらではタトゥーをしているからといって、公共サウナに入れないということもないもんね。

私のオフィスでも、フリーランスをしているデザイナーが、ポパイのように腕に凄いヤツを入れている。地下鉄で隣に座っている人が遠山の金さんのようなタトゥーを入れていても別に何とも思わないのだけれど、ランチを一緒にとることがある相手のシャツの下からタトゥーが見えると、私の場合、やっぱり少々驚いてしまうなあ。そうは言いつつ本当は、私も足首の辺りに小さいタトゥーを入れたいと思っていた時期がある。私らしくないと、回りに反対されたのであきらめたのだが、実は今でもちょっと悔しい。

この夏、ビーチで会った女性の腰には、大きくカタカナで「バーバラ」と刻まれたタトゥーがあった。「あの人の名前、バーバラっていうんだよ。私にはわかる!」と夫をからかおうとしたら、「タトゥーでそう書いてあるんでしょ」と簡単に見破られてしまった。前から見るとただの3人の子どもの母親だったが、彼女が後ろを向く度に、冗談のように取って付けたようなタトゥーが見えたのだ。日本びいきで日本語が喋れる人なのかもしれない。しかし、日本人が見たら、ちょっと間が抜けたタトゥーであることは間違いない。

最近多く見るのは、何といっても漢字のタトゥーだ。みんな正しい意味がわかって入れているのかどうかは知らないが、漢字がわかる者としては、いろいろ興味深いものが多い。

昔、仕事で訪問した会社では、「同性愛」と腕に入れている人がいた。その人の場合は、多分、彼が「openly gay」であり(ゲイであることを隠さずオープンにしているということ)、ホモセクシュアルであることを誇りに思っているからなのだろう。しかし、「カッコイイでしょう?」と聞かれた時に、即座に何とコメントしていいのか戸惑ったことを覚えている。

一方の耳の下に「女」、もう一方に「子供」と入れていた人も見たことがある。「女、子供」だなんて、一体何が言いたいのだろう。と、一瞬、笑ってしまいそうになった。
私なりに考えてみたが、「自分には、大切な女と子供がいます」ということなのかな、と思った。そうだとしたら、恋人の名前を入れる場合と違って、消したり付け足したりする必要がないので、とっても賢いタトゥーの入れ方だ。その「女、子供」が法的な家族であろうがなかろうが、自分が大切にしている「ユニット」があるということを強調しているようにも感じられた。なーんて、考えすぎかなぁ?

以前、首の下の辺りに「誇父」と入れている男性を見かけた時にも似たようなことを感じた。「誇父」は、多分「I am a proud father.」か 「I am proud of my father.」のいずれかを意味するものであり、両方とも「家族」を大切にする気持ちが現われているように思った。その彼が、ぎょっとする程の筋肉体質だったので、ふと、こんな人と喧嘩したら怖いだろうなあと、単純に思ってしまった。マッチョな人ほどスウィートだったりするので余計なお世話だと思うが、彼もタトゥーが表現しているごとく、本当に自分の家族を大切にしている人であって欲しい。

その他、タトゥーのテーマとしては少々意味不明であるが「気骨」、「気昇」などという言葉を入れている人も会ったことがある。「同性愛」にしても「気骨」にしても、わざわざタトゥーにしなくてもいいのになあ、と個人的には思うのだけれど、そういうことをはっきりと公表することが、彼らにとっては自分のアイデンティティ確立の為にも重要なことなのかもしれない。アメリカ人とは、「白黒」はっきりさせることが好きであるが、それ以上に意外と生真面目な人たちが多いのではないかと思う。

上山仁子その他のサイト・HP子育てブログ
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ニューヨーク在住15年を経て2007年12月よりノースカロライナ州へ生活の拠点を移したグラフィックデザイナー兼ライター。英語学習・ティーン向け・女性のためのコーチングも行っている。

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