セレブの小部屋

ジェームス・ボンドやボールドウィン兄弟にとっては、スピード違反なんて朝飯前!

世の中、公平じゃないよ。

この前、アンジェリーナ・ジョリーにインタビューして思った。同じ女性に生まれても、彼女みたいにお化粧しなくたって、あんなにきれいな容姿の人もいるし、私のように毎日お化粧しても平凡な顔の人もいる。

駐車代を浮かすために必死に駐車できる場所を探なきゃならない人もいれば、堂々と駐車違反しても罰金チケットを切られずにすむ駐米大使も存在する。

4人兄弟すべて俳優というボールドウィン家の3男ウィリアム・ボールドウィンにインタビューしたとき、彼が笑って教えてくれたことがある。

「アレックはスピード違反で警官に止められてチケットを切られるところだったのだけど、免許書を提示したら“君の『バックドラフト』の演技が良かったから今回は見逃してやろう”と、言われて助かったんだ」

やだなァ、おまわりさん。
アレック・ボールドウィンじゃないんだってばぁ。『バックドラフト』に出ていたのは、弟のウィリアム・ボールドウィンなんだってば。
アレックはそのまま「どうも、どうも」と、弟になりすまし、その場を抜け出したという。

「アレックは僕の映画のおかげで助かったんだ。僕もよく“アレック、『レッド・オクトーバーを追え!』は良かったよ”だなんて声をかけられるしね」

と、笑っていたウィリアム。
似ている兄弟は、おいしい思いをわかち合えるらしい。

そういえば、ジェームス・ボンドもスピード違反ごときにゃあ、ビクビクしない。007は、それくらいで罰せられたりはしないのだ。

現在のジェームス・ボンド役、ピアース・ブロスナン。

「ここでは4回、スピード違反で捕まったが、チケットは切られずにすんだんだ」

と、語っていた。
アイダホ州の片田舎で撮影中だった彼を訪れたときに聞いた話だ。
彼は買ったばかりのBMWが嬉しくて、その上、都会と違って広くて空いている道路が嬉しくて、なんと110マイル(時速170キロ)で暴走した。

「あまりの速さに、パトカーは僕の車に追いついてこれなかったんだ」

と、ブロスナンは笑った。
ところが、スパイクという名の大きな警官が撮影現場まで追跡侵入してきて、彼のトレイナー(着替え室)のドアを叩いたという。で、結局、

「007がカッコよかったから大目にみてあげよう」

と、言われたというのだ。
ちょっと、ちょっと、スパイクとやら、007に会いたくて、追跡してきたんじゃないかね?

これらの話は、私がたまたま本人から聞いた話で、これ以外にもそんな免れケースって、いっぱいありそうだ。
免除された罰金額なんて、彼らスターにとってはコーヒー1杯分の端金でしかないだろうになあ。罰金額が痛い仕打ちになる人達は、決して見逃してはもらえない。
で、金持ちはさらに金持ちに、貧乏人はさらに貧乏人になっていくわけだ。

あ、でも思い出した。
私も一度だけ「自分はジャーナリスト」だと名乗ったら、見逃されたことがあった。

15年くらい前のことだ。
アッシリア人の男性が運転する車で、私はカルフォルニア州のフリーウェイを走っていた。と、いきなり、サイレンをならすパトカーがピカピカ車上のフラッシュ・ライトを光らせて後ろから追ってくるではないか。

「脇に止まりなさい!」

と、スピーカーで指示されて急ブレーキ。盗難車に乗っていたわけでも、スピードを出していたわけでもない。私たちの顔を見て、いきなり追ってきたのだ。
「ありゃ、なにごとかな」と、ロスアンジェルス警察は怖いゾと、震えあがりながら高速道路の脇に車を止めて、制服姿の男たちが私たちの車の脇にやってくるのを待った。で、よく見ると、彼らはハイウェイ・パトロールではなかった。
パトカーだと思っていた車には、移民局パトロールと書かれてあった。

「パスポートを見せなさい」

そんな、アホな。
ただ私たちが外国人に見えるという理由だけで、高速道路を走っている車を強制ストップするなんて、あり?
旅行者じゃないんだから、もちろん私たちはパスポートなんて持ち歩かない。
私と彼はカルフォルニア州発行の運転免許書を見せたが、それではダメだと言うのだ。正当なアメリカ在住者であることを証明する書類を持ち歩いていないこと自体、違反であると、オフィサーたちは私たちを犯罪者のように扱い、留置場に連れて行かれそうな雰囲気になったのだ。ところが、

「私はアメリカ生活を報道するために、ジャーナリスト・ビザを取得して渡米した者なのよ」

と、私が言った途端、オフィサーたちの態度がコロッと変わった。
およよー、“ジャーナリスト・ビザ”が、遠山の金さんの入れ墨代わりになるとは。
ルックスだけで私たちを違法外国人だと判断した行為が報道されてはまずいと思ったのかもしれない。

「それでは常にパスポートを持参するようにね。もう、行ってよろしい」

と、いきなり、彼等は私たちを解放したのだった。

いまの時代は、その頃より、もっと厳しい状況かもしれない。
アラブ系の顔つきだというだけでテロリストかもしれないという疑いから留置場に送られたりしている人達も多いことだろう。

やはり世の中、公平じゃない。

©2003 Yuka Azuma

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渡米は1982年。ロサンゼルスに13年在住後、ニューヨークへ。84年より映画記事を中心に雑誌等に寄稿。ハリウッド映画スターへのインタビュー歴は30年以上。訳書にマーク・デヴィッドジアク『刑事コロンボ』(角川書店)、同『刑事コロンボの秘密』(風雅書房)、フランク・サネロ『ジュリア・ロバーツ 恋する女神』(講談社)『ヴィダル・サスーン自伝』(髪書房)がある。

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