映画

女の子が元気になれるハッピームービー『ベッカムに恋して』

インド人の友人たちが満場一致で、おもしろいと勧めた映画が、この「Bend it like Beckham」(邦題:ベッカムに恋して)である。 そういわれて「踊るマハラジャ」みたいなもんかと思ったのだが、さにあらず。 イギリスに住むインド系の少女が、親の目を盗んで女子サッカーチームに入り、活躍するというもの。 イギリスで大ヒットをとったこのコメディは、ご存じのように日本でも公開され、ニューヨークでも息の長いヒットを続けている。

インド人の友人たちが満場一致で、おもしろいと勧めた映画が、この「Bend it like Beckham」(邦題:ベッカムに恋して)である。

そういわれて「踊るマハラジャ」みたいなもんかと思ったのだが、さにあらず。
イギリスに住むインド系の少女が、親の目を盗んで女子サッカーチームに入り、活躍するというもの。

イギリスで大ヒットをとったこのコメディは、ご存じのように日本でも公開され、ニューヨークでも息の長いヒットを続けている。

さて英語タイトルにあるBent というのは、サッカーでゴールに向かってグイーンとカーブするシュートのことらしい。
すいません、私はサッカーが詳しくないので、その技の名称は知らんのです。
ともあれ直訳すれば、
「ベッカムみたいに蹴っとばせ」
みたいなノリですかね。

それを練習するシーンが映画のなかにも出てきてキイになっていると共に、親に隠れて夢にむかってゴールを決める少女の生き方も表しているというわけ。

さらにタイトルに登場するベッカム本人には、映画の脚本を読んでもらい、タイトルに名前を使用し、フィルムのなかで試合のフッテージを入れる許可をとりつけたらしい。

ちなみに最後にちらりとベッカム選手と妻のヴィクトリアが出てくるのだが、ご本人はスケジュールがあわなかったそうで、実際に出ているのは、そっくりさんだそう(ほう、そうだったのか、見分けがつかなったよ)

監督のグリンダ・チャーダはケニア出身イギリス育ちのインド系女性。
脚本を共同執筆した夫のポール・マエダ・バージェスは、日系4世のアメリカ人であり、フランス人とのハーフという、インターナショナルな制作者たちである。

で、このインターレーシャルな視点というのがうまく機能していて、マイノリティ文化の描き方がじつにうまいのだ。

主人公は、おしゃれや男の子には興味のないおてんば少女で、いつも男友達とサッカーに夢中になっている。
けれど、伝統的な母親にしてみれば、女の子がサッカーをするなんてとんでもないこと。
サッカー禁止令を出されるものの、主人公はこっそりチームに参加
そこにお姉さんの結婚話がからんできて、てんやわんやの騒動が巻き起こるという次第。

で、この結婚にまつわるインド的な伝統行事がとにかくキッチュでおかしいのさ。
結婚式ってのはお国柄が出るだけに、本当にネタの宝庫やね。

結婚式のシーンには、インド人バンドが出てくるのだが、これがまたキッチュの極みというか、インド版コモエスタ赤坂というか、温泉バンドというか、その極彩色の悪趣味さがたまりません。
うーん、さすがインド4000年、踊るサイババな魅力っす。

そういえば昨年アメリカで大ヒットした低予算映画に「マイ・ビッグ・ファット・グリーク・ウェディング」という恋愛コメディがあるのだが、これはギリシア移民の一家の物語で、よく似た設定のものだった。

頑固な父親、そして口うるさい心配性の母親をもつ移民の一家。
でも娘たちはすでに伝統には収まりきれない個性も行動力も持っていて、親が望むような相手じゃなくて、異人種のボーイフレンドと恋をしたい。

このあたりの感覚がじーつーによくわかるんだね。
ことに我々のような在外日本人だと、まさにドッジボールのボールがバッシと胸元に飛び込んできたような感じ。
だってオレたち、そのものだもん。

しかも女性監督の作品だけあって、女の子が気分よくなれること間違いなし。
というのも世の中に出回っている多くの映画が、男の脚本家や男の監督による作品だから、当たり前のことながら男の視点になっているんだよね。

だもんで、たいていの映画に出てくるヒロインというのは、とどのつまりレイア姫か峰不二子みたいなもので、ヒーローが恋する相手か、救う相手か、少しひねって主人公を陥れる役柄と決まっているんだな。

つまり女の子は女の子であるだけで、けっこう世界から疎外されているわけです。

ところがこの「ベッカムに恋して」は、さすが女性監督の作品だけあって、心のスイートスポットにスパスパと当たるのだよ。

ガッツのある主人公だとか、女の子同士の友情だとか、仲よしの男友達だとか、三角関係だとか、母親の小言だとか、父親と娘との関係だとか、はじめてドレスアップして踊りに行くところだとか、好きな男の子とキスするところとか、もうツボ満載。

これこれ、これなのよ、これがガールズ・ムービーなのよ、といちいち握りこぶしになってしまうほど、ツボをくりくりと押してくるのだ。
おかげで当然そうなるであろうハッピーエンドにも、気持ちよく涙が出てくる。

これがブリットニー・スピアーズ主演のアイドル映画だの、「チャーリーズ・エンジェルズ」だのになると、あまりにフェイクになってしまって、ちっとも感情移入ができない。
私自身は「チャーリーズ・エンジェルズ」を観たからって、女でよかったとも思えないし、元気にもなれないすね。

でも「ベッカムに恋して」の女の子たちはちゃんと生きている。
親が望むようないい子でもなく、男の子たちが望むようなかわい子ちゃんでもなく、泥だらけでサッカーをやりながら、だけど、

「好きなことやって、それで自分が自分でいられるなら、いいじゃん!」

というシンプルな当たり前のことが伝わってくるからだ。
うーん、いいね、スカッとするね。ゴールにシュートが決まった気分だな。

てことで女子のみなさん、元気になれること請け合いです。
ぜひ観てみてちょう!

ガールズ・ア・ゴーゴー度 ★★★★★

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書くことが生きること。NY在住のマルチなクリエイティブティブライターです。もと少女小説家で、日本の女性ファッション誌や男性誌にトレンド情報を書き、さらにブックライター、コピーライター、エッセイ、小説まで幅広く書いています。たったひとつの特技が、書くこと。不得意なことは山ほどあり(汗)

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