ヒトコの小径

to be continued な人生

先日、生まれて初めて日本のラジオ番組に出演した。日本から電話でインタヴューを受け、9月に出した『I Still Love New York マンハッタン生活風景』という本のことやニューヨークのことについて語る、という趣旨のものだった。短い時間だったが、なかなか面白い経験をさせてもらった。

インタヴュアーは、FM大阪でオンエアされるその番組のDJで、シャーリー富岡という人。マイケル富岡の実のお姉さんで、昔「ハーフ」のモデルが流行っていた頃の草分け的存在の人でもある。私ぐらいのジェネレイションの人たちなら何となくわかるかもしれないが、キットカットの初代CMに出ていた女の子が彼女なのだ。

マイクロフォンに向かって話しをしたわけではないが、やはりちょっと緊張した。側で私の喋りを聞いていた母は、首を思いっきり振り続けながら、「ぜーんぜんだめだめ、もっと落ち着いて。声が低すぎる・・・」とメッセージを送っているのがわかったから、余計に調子が狂ってしまった。

もともと喋りはあまり得意な分野ではない(えっ?何カッコ付けて言ってんのよ。いつも一人でぺらぺらまくしたててんじゃないのよ~、と言う友人たちの顔が目に浮かぶ)。でも、言葉で何かを正確に伝えるのは、本当に難しいと思った次第である。言葉は一度放たれたら、決してデリートできないし、瞬間的アートだ。常に自分と真正面から向き合って、正直な気持ちで自分自身に接していないと、なかなか真の言葉は生まれてこない。

シャーリーをはじめ、声だけで勝負している人たちは、裸で戦っている人たちみたいで凄いなあ、と感心した。しかも彼女は日本語と英語、両方とも完璧で、どうしたらそうなるのか、うちの子供たちの為にも、彼女のお母さんに是非お話しを伺いたい、と思ってしまった。

私が子供の頃、毎週欠かさず見ていた『ファンキートマト』という番組の司会をしていたシャーリーと再会したのが、2年前。インターネット上でだった。そして実際に会うことができたのは、昨年の5月。ここニューヨークに彼女がやって来た時だ。私にとって、子供の頃のアイコン的存在であった人と、20年の歳月を経て会うことができたのだから、なんとも感慨深い。TVを見ていた時、将来、まさかニューヨークでその司会者とハグし合うことになるなんて、考えてもみなかったなあ。

シャーリーとの出会いは、「終わったと思ったお話しに続きがあった」、そんな感じだ。そう思うと本当に不思議な気がする。人生って長いなあと思う。これからも、まだまだ何が起こるかわからないのだ。楽しみでもあるが、反対に気も抜けない。

続きのあるお話しといえば、数ヵ月前、TVのインタヴュー番組で、テイタム・オニールが出ていた。知らない人もいるかもしれないが、昔々映画雑誌の『ロードショー』とか『スクリーン』を愛読していた私にとっては、とっても懐かしい人だ。

史上最年少でオスカー受賞者となり、父親は当時ハリウッドの売れっ子二枚目俳優で、『ある愛の詩』のライアン・オニール。その頃の彼女に関する記事の中でも、ファラー・フォーセットがパパのガールフレンドで、シェールのことを「友達」だと言っていた。16歳の誕生日に何が欲しいかという質問に、「テニスコート」とさりげなく答えていたりして、彼女はなんて桁違いに幸せで恵まれた人なのだろう、と子供の私はずっと羨ましく思っていたのだ。

時が経ち、彼女もすっかり大人になっていた。彼女はインタヴューの中で「みんな私がいい人生を送っていると思っていたのよ。でもそれは他人が勝手に想像していただけのこと。みんな何も知らないのよ。私は一度だって自分の人生が幸せだと感じたことなんてないわ」と言ったのだから、私はたまげてしまった。自分の女優としてのキャリアについても、「私がなりたいと思ってなったわけではなくて、何もわからない子供の時に、人からたまたま与えられたものだ」と言い放った。だから、手にしたオスカーも、全然、重みがなかったのだ。

思春期にダイエットの為に父親から勧められてコケインを始め、もっと普通の父親が欲しかったと言っていた。父親とはもう何年も口を聞いていないのだそうだ。ジョン・マッケンローと離婚した後、彼との間にできた3人の子供たちの親権を失い、現在は子供たちにも会えない状態であるらしい。ドラッグフリーになって数ヵ月が経つと言っていた。

彼女は、怒っているように見えた。幸せじゃないんだなあと思った。これにはショックだった。今でも何冊ものスクラップブックとして本棚に残っている、彼女の写真や雑誌の切り抜きなどといった私の青春の思い出は、どうなってしまうのだろう?私が憧れていた世界は全部、虚像のものだったのだろうか。

インタヴュー後、十数年振りにもう一度、そのスクラップブックを開いて見た。遠くを見つめるような、どこか寂しげなあの懐かしい彼女の笑顔があった。

上山仁子その他のサイト・HP子育てブログ
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