ヒトコの小径 海外子育て

ベイビーシッター!ベイビーシッター!

新しい年になったというのに、私はめりはりのない日々を過ごしている。年末からずっと、家でだらだらと仕事をしているからだ。元旦だって夫婦揃って働いてしまったし、今年もなんだか嫌な予感がする。ああ、今年はぱーっと明るくいきたいと思っているのになあ。貧乏暇なしって、本当だ。

アメリカのニューイヤーズイヴも、パーティで朝まで盛り上がるけど、次の日には、「はい、終り」って感じで、お正月気分なんてないのだから、つまらない。私のオフィスもフル回転でオープンしていた。やっぱり年末年始は、日本がいいなあと毎年思うのに、そういえばこの11年間、ずっとニューヨークでこの味気ない正月を過ごしている。

昨年12月下旬に母親が半年振りに帰国した。その時までに、新しいベイビーシッターを見つける予定でいたにもかかわらず、未だに「この人だ!」という人が見つからず、苦労している。だから家で仕事をしているのだ。

ベイビーシッターを探すのは今回で、5回目だ。理由があって常時二人のベイビーシッターを雇っているのだが、自分の子供を他人に預けるのには、やはりかなりの決断がいるものだ。賛否両論ではあるが、アメリカでは、隠しカメラを付けてベイビーシッターを監視するという人たちもかなり多い。Radio Shackなどという電気製品専門店で、20ドルぐらいで買えるらしい。取り付けも簡単だと友人が言っていた。こんなに不安なのであれば、うちも付けようかな、と思ったくらいだ。

するとアメリカ人のボスが「監視カメラなんて、僕は嫌いだね。だってさ、ベイビーシッターが、鼻糞ほじくったり、おならしたりしているの見たくないでしょ。そんなことで、首にするのもナンセンスだと思うしね。人間だからさ、一人だと思う時って、人には見られたくないような変なこと、結構しているんだよ。そういう自由を僕は人から奪ってはいけないと思うよ」と言った。 それで、監視カメラを買わなくてもいいように、納得できる人が見つかるまで在宅勤務を私のボスは許可してくれた(そういうところが彼のいいところなんだなあ)。

子供の食事の世話などは、うちでは日本流にしていることもあって、ベイビーシッターも日本人ということにこだわっている。だから日本の新聞やスーパーマーケットに広告を出したり、口込みで友人たちから紹介してもらったりするわけだ。

それで最近いろいろな人から電話がかかってくるのだが、このように、知らない人と知り合う度に、ニューヨークにいる日本人はユニークな人がたくさんいて、本当に人生っていろいろなんだなあ、と改めて思う。

例えば、来月から家賃が払えない為ベイビーシッターの経験もないが、何でもやるのでお願いします、という切羽詰まった30代の大学生や、昔、子供がいたことがある、という何やら意味深の20代の語学学生。

「アメリカにはどうして来たのですか?」という私の質問に、以前、アメリカ旅行中に知り合ったおじいさんに住居を無料で提供するからと誘われて来たが、そのおじいさんにもだまされた形になって、現在、夜間日本食レストランで働きながら何とか生計を立てている、と答える人。

30年前、友人の事業の手伝いで渡米したが、現在は、アメリカ籍と日本国籍の両方を持ち合わせているという二重国籍者で、聞いてもいないのに、ぺらぺらと自分の身の上話に花を咲かせてしまう、かなりアメリカンな人。

そうかと思えば、日本で年寄り扱いされるより、アメリカで気軽にプレイできるゴルフなどして人生まだまだ楽しみたいから、と言う60代の女性もいた。

意外と男性から電話がくることもある。ニューヨークでは、父親が中心となって子供の世話をしている人も多いが、ベイビーシッターを希望する男性もいるのだ。中には、こういう人もいた。

「僕は、家族が多かったので、子供の頃から兄弟の世話をしていました。それで今は、ガールフレンドと一緒に住んでいて、彼女も時間に余裕があるので、同じお金で、二人でみることも可能です」

電話で話して感じがよかった場合は、では実際に会いましょう、と私のアパートメントまで来てもらうのだが、会ってみると、結構、強烈な人もいる。以前、腕にタトゥーを入れている人が来た。うちの場合、夫がかなり保守的な人なので、そういう人は「ちょっとパス」ということになった。確かに日本人でタトゥーを入れるというのは、ただのファッションであったとしても、私たちが求めるベイビーシッターとはちょっと違うと思った。私の知り合いに髪の毛が真ピンクで、首すじから胸にかけてタトゥーを入れているカッコいい女の子に子供を任せている人がいる。親は子供に「チェルシーの髪の毛、ピンクで素敵ね」なんて言っていたが、そういう偏見のないものの見方を子供に教えてあげられるということは、何かいいなあと思った。私自身、昔、足首にタトゥーを入れようと思ったのだが、友人に「そんなことしたら日本に帰った時に、銭湯とかサウナとかにも行けなくなるよ」と反対されて、「うおぉ。そうか、じゃあ、やめよう」とあきらめたことがある。日本では「社会」が定めた枠組みがしっかりと存在するので、そこに属する以上、私たちはまだまだ自由になれないのだ。

その他、6人の子供を育てたというお母さんもいた。6人も育ててまた更にベイビーシッターしたいなんて、さぞかし子育てには自信があるのだろう、と期待して面接したら、「6人もいたからもう無我夢中で、わけわからない間に子供が成長していたって感じです」と、おっとり系の人だった。20年前に小さい子供3人連れて、ご主人と一緒に初めてアメリカに来たそうだ。英語もできないから子供が小学校に上がった時も宿題だって見てあげられなかったし、親として何も満足にしてあげられなかった、と言っていた。

その子供たちは、みんなが優秀なスタイヴソンハイスクールを卒業し、現在コロンビア大学など名門大学に通っているらしい。そこの家系は、遺伝的に優秀なのかもしれないが、親が宿題を教えてあげなかったから逆に子供は、自分で一生懸命頑張ったのかもしれない。子育てなんて、どう転ぶかわからない。結果論でしか語れないものなのかもしれないなあ、と逆に勉強になった。

今までのベイビーシッターは、ご主人がジャズミュージシャンだった人が二人もいた。今回、面接した人の中には、日本では小柳ルミコと一緒にレッスンをしていたというダンサーもいた。その辺は、何だかニューヨークっぽいなあと、思ったし、マッサージセラピーを勉強しているという人が何人もいたので驚いた。世界的に「癒しブーム」で、マッサージセラピーなども流行っているのかなあ、などと感心した。それにしても一体、いつになったらいい人が見つかるのだろう。

今までが逆にラッキーだったのか、こんなにベイビーシッター探しが大変だとは思わなかった。昨年の夏まで約3年間子供たちの世話をしてくれていたCさんをはじめ、Aさん、Yさん、本当によくやってくれていたんだなと、改めて感謝の気持ちで一杯になる。

上山仁子その他のサイト・HP子育てブログ
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ニューヨーク在住15年を経て2007年12月よりノースカロライナ州へ生活の拠点を移したグラフィックデザイナー兼ライター。英語学習・ティーン向け・女性のためのコーチングも行っている。

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