ニューヨークからプロライター達がお送りする、「ここだけ」のおもしろ情報。

No.2 緊急リポート「NYゲイパレード」

On: OL脱出!NY業界体当たり日記(更新終了)

渡米して1年半。ニューヨークにはゲイが多いって聞いてたし、知ってもいたけどね、こんなにいっぺんにたくさんのゲイが視界に入ってきたのは初めてよ。衝撃だったわ。
 
6月27日(日)、生まれて初めて見るニューヨークのゲイパレード。去年の夏は見逃したからね、今年こそ絶対見なくちゃ、と気合十分。
 
12時のパレードスタート時にはすでに準備万全。34ストリート脇の柵から身を乗り出し、カメラ片手に待ち構えるあたし。なんだか箱根駅伝の応援みたいだわ。
 
でもここは緑いっぱいの箱根でもなければ、陸上部の爽やか大学生の駅伝でもないの。濃くてリアルな欲望の島ニューヨーク。したたる汗の成分からして全く違いそうね。
 
俗物大好きなあたし。フンドシ、ドラッグクイーン、なんでもウェルカムよ。
 
かかってこーい!!
 
と、好奇心むき出しで挑んだら、ブルーン、ブーン、ブーン、と低くおなかに響くエンジン音が聞こえてきた。
 
パレードの先頭は、NYPD(ニューヨークポリスデパートメント)に先導された、女性ライダーたち。それが、とにかくめちゃかっこいい。いかついハーレー兄ちゃんも顔負けの大型バイクに跨る、レズビアンカップルたち。たくましい腕でバイクを操り、観客に手を振るかっちょいいおなべさん。
 
ほぇぇぇ…。(感嘆)
 
あの人もこの人もレズビアン? ゲイってつい男性同士を想像しがちだけど、そういえば女性同士のカップルだっているのよね。当然か。
 
お次は、男性ライダーのお出まし。いかにものハーレー軍団。刺青のじゃんじゃん入ったハルクホーガン(古い)みたいな渋くてごついオジさんたちから、スポーティーな大型バイクに乗った金髪甘系ハンサム君まで、みーんなゲイ。
 
うぁぁぁ…。(衝撃)
 
でも、これはパレードのほんの始まりだったの。それから来るものすべてが、奇異な物体ばかり。いや、同じ人間なんだよね、多分。わかっていながらも、どうも違う生き物に見えて仕方ない。(汗)
 
どう考えても裸(前だけ葉っぱで覆ってある)原始人や、裸にエプロンというエロ新妻ルックで、オタマ片手に練り歩くおデブなオッサン。
 
オォー、花嫁さんに一度でいいから裸&エプロンで「おかえり、だーりん」と言って欲しいという願望は、ゲイも一緒だったのね?(爆)
 
とにかく、すこぶる個性的な人々が後から後から続々と現れる。一体何千人の人が参加してるの? ものすごい数のゲイが、ものすごい強烈なエナジーを運んでくる。
 
オレも! アタシも! 生きてるんだぜー!!!
 
差別だってエイズだって乗り越えて生きているんだぜー!!!
 
コンドームを笑顔でばら撒きながら通り過ぎる彼ら。ものすごい生命力をビシバシ感じる。もちろんその中にはHIV”positive”の人もたくさんいる。人間ってこんなにも「生きてるんだぞ」ってリアルに感じながら生きているものなのかしら? これって逆境で培われたパワーなの?
 
トランスジェンダー(性転換)をしたと思われる、ゴージャスなドラッグクイーンもいっぱい。孔雀のような頭に、もちろんお尻はTバック。あまりに美しいヒップラインをこれでもかと言うほど見せつけられ、女としてこのままじゃいけないと急に焦りを感じたわ。
 
まずい! 男に負けてる。それも完全に。(涙)
 
あたしは、女に生まれたことにあぐらをかいて生きてきたのね?
 
多少ヒップラインが緩んでいようと「それもチャームポイント、うふ」とのたまうずうずうしさ。メスであるだけで許されるのは若いうちだけなのに。その事実から目をそむけていたのね。
 
ひぃーっ、ごめんなさいっ!!!
 
とりあえずエクササイズは明日からやるとして(ほんとにやるわよ)ちょっと素朴な疑問。
 
「なぜゲイにはかわいこちゃんが多いの???」
 
あの子もこの子もその子も「あのー、ボクちんモデルさん?」って聞きたくなるくらいキュート。ムダ毛の処理も完璧なつるつるのチョコレート(のように6つに割れた)腹筋に、甘くハンサムなお顔。おしゃれでダンスだってたまらなくセクシー。
 
ヨレヨレのTシャツを着て、ジョッキ片手に糸つり人形みたいな動きで踊るストレートのアメ人男性とはちがうの。(失礼、でも本当)
 
あーん、世の中って理不尽。(涙)
 
ところでこのゲイパレード、正式名称は”Heritage of Pride”というらしい。同性愛者の認知・権利の保護を訴える、クレイジーだけどとってもマジメなイベント。アメリカで同性愛者差別は肌の色での差別に次ぐ深刻な問題なのね。
 
そして、今回の差別論争のターゲットは、なんと言ってもブッシュ大統領。彼が同性愛者の結婚に反対したことから、次の選挙では全同性愛者がケリー(対抗馬)に投票すること間違いなし。
 
なんとおバカなブッシュ氏。こんな差別発言を、選挙前にしてしまう彼の浅はかさがまたおかしい。
 
ブッシュ大統領は、もはや完全にコメディスター。数々の”Bushism”関連書籍には彼のうっかり発言が満載。タダでさえハンサムじゃないのに、さらにアホヅラに加工された彼の人形、似顔絵がゲイパレードを練り歩く。
 
気づくと、パレードが終わるころには、反ブッシュのステッカーと”Marry me”というステッカーが体中に貼り付けられていた。
 
Stop Bush?? Marry me?? なんだそれ? (苦笑)
 
パレードも終盤に差し掛かりぐったりしてきた頃、またまた衝撃的な集団がおいでなすった。
 
NYFD(ニューヨークファイヤーデパートメント)、NYPD(ニューヨークポリスデパートメント)のエグゼクティブ(管理職)同性愛チーム。Fleet(銀行)同性愛チーム、Washington Mutual(銀行)同性愛チーム、などの職場ゲイ組合。
 
は? 公務員の管理職ゲイ組合? 銀行員のゲイ組合ですと??
 
あり得ない! あり得ないっすよ、奥さん!!
 
例えば、警視庁同性愛組合が、「ボクたちゲイです」と書いたプラカードを持ってニコニコと彼氏(かつ同僚)と手をつないで永田町を歩くとか? 
 
もしくは、三菱銀行ゲイサークルが、会社名の入ったピンクのTシャツで大手町を歩き、さらに会社は広告宣伝戦略の一環としてゲイパレードのスポンサーになるとか?
 
日本で例えたらそういうことでしょ?
 
あり得ないっつうの。
 
社内「ストレート」恋愛だってご法度の会社があるってのに、社内「同性愛」恋愛だなんて。
 
あ、でも社内「不倫」恋愛は黙認だったりして?
 
同性にも異性にも開放的過ぎるくらいオープンなニューヨークでは、年齢も性別も気にならないけど、イキのいいキュートボーイはゲイ率高し。 
 
ゲイ率は低いけど、イイ男は”taken”(既婚)の東京では、「じゃぁ致し方ないわよね」と不倫も黙認。
もしかして、見方を変えればニューヨークよりも東京の恋愛文化の方が時代の先端を行ってるってことかしら?(謎)
 
と冗談(?)はさておき、今回は逆境でも明るくひたむきな同性愛者たちの「生きるパワー」にガツンとやられたわ。毎日会社と家の往復をしていたかつてのあたしは、そんな世界があるなんて知りもしなかったよ。
 
新橋のSL広場をうつむき気味で歩いている東京のリーマン男女に教えてあげたい。今、この世に生きているって素晴らしいことなんだって。

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