ニューヨークからプロライター達がお送りする、「ここだけ」のおもしろ情報。

第六回 「プロフェッショナルな人々と出会えるインターンシップ」

On: NYでファッションデザイナーになる! パーソンズ奮戦記(更新終了)

今回はインターンシップについて、お話しします。

これは学生が企業、組織の中で実際の仕事を経験するためのシステムです。

NYでの一般的なインターンシップは数ヶ月間、週2~3日、ブランドで様々な仕事を経験します。仕事内容はブランドにより様々です。
基本的には無給です。(パリ出身の友人達の話だと、パリでは有給だそうです)

パーソンズの教授によると、パーソンズ生の約7割はこのインターンを通してそのまま就職につなげているそうです。

そのため、学生にとってインターンは非常に大切な場です。


僕は現在、NAEEM KHAN(ナイーム・カーン)というブランドでインターンをしています。


デザイナーのNaeem Khan

このブランドではイヴニングドレスをメインに、また昨秋からはウェディングドレスも扱っています。

顧客リストには世界的にも有名な方々が大勢いらっしゃるようです。
もちろん、その方々についてお話しすることは出来ません。

ただ、メディアで紹介されている範囲内でお話しすると、アメリカのファーストレディー、ミシェル・オバマさんはお客様の一人です。

僕自身、皆さんもご存知のハリウッド女優のドレスに関わったことがあります。
残念ながら、お客様についてお話し出来るのはここまでです。

このブランドでは僕は次のようなことをやっています。

  1. パターン(洋服の設計図)のコピー
  2. 完成したドレスのデリバリー(個人顧客、百貨店)
  3. ファッションショーの前日までおよび当日の手伝い

まず、1について。
これはbeading(ビーズ刺繍)のために行います。

このブランドのデザインにおける最大の特徴は美しい圧巻のビーズ刺繍です。

これはインドにある工場に依頼しています。
そのため、その工場向けにパターンをコピーする必要があります。

次に、2のデリバリーについて。

出来たばかりのドレスを個人のお客様や百貨店に直接届けることがあります。

個人のお客様のアパートメントにお持ちしても、直接お渡しすることはほとんどありません。

マンハッタンの高級なアパートメントでは、必ず一階のロビーにセキュリティスタッフが常駐しており、その方々にお渡しします。

百貨店に関しては、 Bergdorf GoodmanやSaks Fifth Avenueなどの高級百貨店へのデリバリーです。これまでいずれもウィンドウディスプレイで飾って頂く為に伺いました。


当日の仕事内容はオフィスに行くまで分かりません。

ですから、いつもパターンのコピーが出来るように自分の道具を持参しています。
(もちろん、ブランドのものを借りることは出来ます)

また、いつでもデリバリーに出られるよう、清潔感のある服を着て行きます。僕の場合は、ワイシャツにネクタイ、ベスト、レザーのシューズがお決まりです。

ここで僕が何を言いたいのか。

それは、インターンシップに対してプロフェッショナルな姿勢で取り組むかどうか、ということです。

僕の現在の肩書きは学生です。

しかし、パーソンズに入学後、僕は一度も「学生」という感覚を抱いたことはありません

その背景には日本で正社員としての経験がすでにあるから、というのが大きく影響していると思います。

パーソンズに入学後、僕はいつも「プロフェッショナル」であることを心がけています。

学校内で道具を忘れて他人に借りる「学生」をよく見かけます。これは非常に恥ずかしいことです。
もの作りに携わる人間が自分の使う道具を忘れて他人に借りるという行為自体、僕には理解出来ません。

このような心がけは常日頃から意識していないとすぐにボロが出ます。

インターンではスタッフの皆さんがいつも学生を見ている、と学校の先生から言われます。

デザインの才能がある、もしくは服作りの技術力の高い学生はごまんといます。
スタッフの方々が見ているのは、そこではない、と学校では言われます。

その学生が、「プロフェッショナル」かどうか、そこを見ています。

それは痛いほど肌身で感じています。

実際に、僕が自分の道具を使って仕事をしている姿を見ていたブランドのスタッフの方々から、「マサ、君はプロフェッショナルだ」と言って頂いたことがあります。

僕は周囲の学生に比べて、英語力で明白に劣っています。
だからこそ、自分が出来ることは何か?そのことにいつも神経を集中させています。

これは誰かに教えてもらうことではありません。

自分がこの街で生き残るためにはどうするべきか?

色々な失敗や精神的に辛い経験をしてきたからこそ、常に自問自答しています。

留学からは本当に素晴らしい経験を得ることができます。
しかし、そのためには精神的に本当に苦しい思いをする覚悟が必要だと思ってください。


さて、話をインターンシップのことに戻します。

前述の3、ファッションショーの前日までおよび当日の手伝い、についてお話しします。

前日までですとモデルさんのフィッティングへの立ち会いなど、また、ショー当日はドレスの会場への搬入とセッティングなどスタッフの方々とともに行います。


ショー前日まで行われたフィッティング


ドレスの最終チェックを行うスタッフの一人、ラージュ


この方達の存在なしにブランドは成り立ちません

また、今年1月に行われたショーの際には、僕はインターン先の友人とともに、デザイナーさん直々の依頼でブランドの公式フォトグラファーとして、多くの瞬間をカメラに収めました。

カメラのファインダー越しに見たショーの舞台裏は、一言でいうとプロフェッショナルのみが立ち入ることを許される場所です。

あの緊張感は決して学校では得られません。
学校とは次元の全く異なる世界です。

メディアに対してショーのコンセプトなどについて語るデザイナーの姿、彼の言葉を引き出すTVレポーターや記者の方々、本番に向けて集中力を高めていくモデルの方々、指先に全神経を集中させるメイクアップアーティストの方々。

ここから、バックステージで撮影した写真をキャプションなしで一気にご覧頂きます。
何を感じますか?

ショーを通して多くのことを学ばせてもらいました。

それが何か。それを言葉で簡単に表すことは出来ません。

その答えは今後の僕の学校での作品、仕事の中に自然と現れてくるでしょう。