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アメリカンフーズ秘宝館〜ええもんありまっせ〜 No.4 真菌由来の代替肉「クォーン」

On: どすこいグルメ
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はい、ベジタリアンです。

じゃ、代替肉の話をもう一つしましょうか。
この業界には、イギリスで非常にポピュラーな商品「Quorn(クォーン)」というのがあります。

日本ではまだ食品として認可されていないはずなので販売されていないと思いますが、アメリカでは普通に売ってます。

前回でご紹介した「Beyond Meat」よりも歴史はずっと古く、本国のイギリスでは1986年、アメリカでも2001年から販売されています(注1)。

この代替肉、「マイコプロテイン」という、耳慣れないものからできてます。

少し前までは「きのこ蛋白」というような言い方をしていたようですが、今はその表現は曖昧だということであまり使わないようです。

その「きのこ蛋白」と呼ばれていたものの正体は、「真菌からできる食物タンパクと繊維質」です。

確かにきのこも真菌からできてるものですので、汎用表現として「きのこ蛋白」と言うのは間違ってはいないのですが、非常にグレーな感じは否めません。

また、人によっては「真菌からできている」という事実に、非常に不気味な心象をお持ちになるでしょう。

この「マイコプロテイン」は、人によってはアレルギー反応を起こすことがあるということでも、物議をかもしたことがあります(注2)。

具体的には、商品の撤収を求めた消費者運動があったのですが、「食品として以前から認可されている」ということで撤収はされず、現在も流通しています。

そのアレルギーが発症する確率は「大豆アレルギーの1/300」…という研究結果もあり(注3)、個人的には「他のアレルゲンと同じ」だと、とらえています。

もしもきのこやカビ(カビも真菌です)にアレルギーをお持ちの場合は、口にしないほうが良いかと思います。

わたしはさほど頻繁にではないですが、何度かこの商品を口にしたことがあります。
色々な代替肉を興味本位で試していた時にたどり着いたのですが、この商品、他とはかなり違う部分があるのです。

それは何かというと…「食感」です。

「真菌からできる食物タンパクと繊維質」でできている…と述べましたが、この「繊維質」の部分がいい仕事をしており、他の代替肉と比べると、格段に「肉っぽい」のです。

しかも、ソイミートなどの豆由来の代替肉にある「豆臭さ」も全くありません。
肉の匂いもしませんが、別の素材の匂いもしないので、薄味でも馴染んでしまうという利点があります。

代替肉には、下味がついているものが少なくありません。
素材から成分を抽出して作る…という製造過程のために「素材由来の味」がほぼないので、下味をつけないとぼんやりした感じになってしまうからでしょう。

更には、ソイミートの豆臭さなど素材由来の独自の匂いもあり、濃い味に仕立てるほうが違和感を出さずにいられます。

そのため、代替肉を使った料理というと、酢豚、カレー、から揚げなど、強めの味に仕立てることが多いのですね。

でも、このクォーンは、クリームシチューに入れてもさほど違和感がありません(全くない、とは言いませんがw)。

アメリカでは冷凍食品として販売されています。
パッケージはこんな感じ。

これは鶏むね肉やササミを模した商品ですが、中身はこんな感じのキューブが入っています。
一つがだいたい、親指の第一関節くらいで、一口サイズです。

ひき肉タイプなら、チリやミートソースなどのひき肉料理にも使えます。(注4)。

素材がゆるむこともないので、ある程度炒めたり煮込んだりしても大丈夫です(長時間煮加熱したことはないので、加熱時間30分未満で考えてください)。

揚げ物系には、最初から衣がついた、チキンカツ「風」やチキンナゲット「風」のものも売っています(注5)。

わたしは今回、クリームシチューに使ってみました。
出来上がりはこんな感じですが、クォーンが入っているのが、おわかりいただけるでしょうか。

わたしは今のところまだアレルギー反応はないので、時々、利用しています。

癖がないぶん使いやすいですが、「肉のぶつ切りを使った料理」になるので、こってり感のようなものは出にくいです。

…というようなデメリットもありますが、これは他の代替肉にも大なり小なりあるものです。

この商品に限って言えば、グルテン不使用、大豆も不使用ということで、真菌由来のアレルギーの可能性を考慮しても、利用される方がいるのは納得です。

肉食しないんだし、最初から「代替肉」なんて食べなければいいじゃないの…というご意見もおありでしょうが、菜食をしている人々の中には「身体的な事情で肉食したいのにできない…」という人もいます(注6)。

そういう方たちに、食を通じて心の安定をもたらす商品…と考えると、代替肉の存在意義というのも、何となくご理解いただけるでしょうか。

ま、他の人はどうあれ、わたし個人は色々なものを試すのを面白がってるのですw
そこから新しい可能性が見つかることも、あるかも知れないですからね。

特に高価なものではありませんので(素材系なら5ドル以下です)、とりあえず試してみるのも悪くはないかもしれません。

あの食感は他の代替肉にはないものなので、面白いです。

ただし、ご利用の際は、アレルギーの可能性があるという点にどうぞご注意を(ま、それってどんな食品にもある可能性ですが!)。


(注1)公式サイトでの情報によると、環太平洋圏では、オーストラリアとニュージーランドでのみ販売されているようです。

(注2)アメリカの消費者団体・The Center for Science in the Public Interest (CSPI) に寄せられた苦情が英米併せて1000件に達したため、英のFSA(Food Standards Agency)、および米のFDAに、商品の撤収要請を出した事件。

(注3)2002年9月、イギリスのFSA(Food Standards Agency)による回答。
ただし、現在はそのページは閲覧不可です。

(注4)ハンバーグや肉団子のような「まとめる系」には向いていません。あくまでパラパラにして使う場合のみです。
「まとめる系」には、ハンバーガー用の代替肉パティ、ミートボール風などの「まとまってる商品」が別にあります。

(注5)揚げ物系の商品は、アメリカ人が好む味だからなのか、ファストフードのチキン系料理を彷彿とさせるラインナップになっています。
味もかなりそちらっぽいらしいです(わたしは食べたことがないので、評価のみの伝聞です)。

(注6)食に関して制限の出る持病、特に動物性タンパク質の摂取に関して制限をお持ちだったり、アレルギーを抱えてらしたり。
特に小さいお子さんだったりすると、周りのみんなが食べているものを食べられない…ということが強いストレスになってしまうこともあります。

*WIREDに掲載された記事(2002年)
>>肉の代替食品『クォーン』、その正体は?(上)

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