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同級生は異邦人 No.12 ビザに年令制限!? 怒る韓国人・ミョンジェ

On: Across the Universe(更新終了)

3年前の英語集中プログラムで一緒になって以来、ときどき学校で顔を合わせてはお互いの近況を報告しあっている韓国人の男友達、ミョンジェ。

ミョンジェと私は同じ30代で専攻も同じ。そして似ている文化の中ですでに社会経験をしてきているので、何かと共通した心情を持つ。

そして、お互い留学生ということで、アメリカ住民と留学生の間の制度の違いを確かめあうこともあるし、ビザまわりの問題もそう。ルールをよく知っておかないとうっかり「不法滞在」になりかねないからだ。

ビザといえば、ミョンジェは去年の夏休み、学生ビザが切れそうになったので、更新のために韓国へ一時帰国した。

細かい話になるが、滞在中にもし学生ビザが切れてしまっても、「I-20」という学校発行の滞在許可証を持ち続けている限りは合法的に滞在ができる。(※厳密には「I-94」という移民局のカードも絡むがここでは省略。)

しかし、その状態のままいったん国外に出ると、再入国ができない。入国のときには、新たな有効なビザが要るのだ。I-20は「滞在」のため、ビザは「入国」のためのものと言えよう。

こういったルールのもと、ミョンジェは毎年韓国に帰りたかったから、I-20という「アメリカの大学に所属している」証明をもって、数年間有効な新しい学生ビザを申請し、その間心配なくアメリカと韓国を入出国する予定だった。

だが、韓国のアメリカ大使館に申請に行ったミョンジェは、なんと学生ビザの更新を却下されてしまった。

そう、大学から滞在許可が出ているにもかかわらず、学生ビザが更新できずに学校に戻れない留学生というのがどの国でもときどきいるそうだ。

大使館は理由を明かさないので、一体どういう人が拒否されるのかは不明だが、とにかくビザは必ずしも更新できるとは限らない。

だが、ミョンジェの場合、なんと大使館の担当官にこう言われたそうだ。

「お前はもう30なんだから、勉強している場合じゃない、働くべきだろう。」

私は自分の耳を疑った。大使館の人がこんなことを言うわけ~?
30才過ぎて勉強している人なんて今やゴマンといるではないか!人生どう生きようとその人の勝手じゃないか!

担当官はそれがビザ却下の理由だとは言っていなかったものの、しかし、日本でも30才を過ぎると学生ビザは下りにくいと聞いたことがある。人生を賭けて渡米し、そのまま住みついちゃう人が多いからだと聞いた。

事実、ミョンジェも卒業したらそのままニューヨークに住んで働き、休みには韓国へ帰る、という生活を描いていた。

そうとはいえ、年令については、「韓国は徴兵制度があって、俺は20代の3年間は空軍にいた。だから、30才で大学に行くのは決して遅くないんだよ。」と怒るミョンジェ。そりゃそうだ。

しかし、これはアメリカの判断であり、ビザは出ないといったらどうやっても出ない。ミョンジェはそのあと、韓国から私にメールをくれた。

「今のビザは期限までもう1、2ヶ月あるから、今ならまだアメリカに戻れる。でもそのあとに出国したら学生では二度とアメリカに戻れないから、まず卒業までは居続けなければいけない。」

「でもそのあと、もし就職が見つかって労働ビザに切り替えるときに韓国に一時帰国したら、またビザを拒否されるんじゃないだろうか?だから、俺はいまアメリカに戻るなら、現地でグリーンカードが取れるまで韓国に戻らない覚悟をしなければ…。」

グリーンカード(永住権)はアメリカで就職して何年かたつと会社がスポンサーとなり、取得することができる。そうなると基本的にアメリカと海外を自由に往復することができるが、会社がかならずしもスポンサーになってくれるとは限らない。

運良くスポンサーが見つかって申請しても、取得するまでに何年もかかったり、却下だってありえる。

だからミョンジェがグリーンカードが取れる保証はないし、取れても10年くらい先かもしれない。そしてその間は、一度アメリカから出たら、もう二度と入国できないかもしれない状態。

たとえばその間、親に何かあってアメリカを出る必要があったら?なんて考えると、これから何年も韓国に戻らない決心をするのは大変だろう。

「親はこっちにこのまま残れっていうんだ。同級生たちもこっちでバリバリ働いて稼いでいる。俺も大学とアメリカを諦めて、働いた方がいいのかな・・・。」

そんな揺れ動く気持ちを書いてきたのを最後に、彼の韓国からのメールは途絶えた。

そして新学期になって、私が次の授業に移るために廊下を歩いていたら、なんと遠くにミョンジェがいるではないか!ミョンジェも私に気付きこっちにやってきた。

「ミョンジェ!帰ってきたんだね、決めたんだね!」
「うん、俺はどうしても卒業したいし、どうしてもニューヨークから離れたくなかったんだ。あとはなんとかなるさ!」

私はミョンジェの決心が嬉しかった。私もニューヨークへ来るときは、安定した生活を捨てるのは賢明ではないと何人からも言われたし、いまから勉強するなんて遅いんじゃない?とも。

でも自分の気持ちに正直に私はここへやってきた。ミョンジェも自分で自分の道を選んだのだ。ニューヨークを離れたくないって気持ちも充分わかる!

ミョンジェがこれから歩む道は決して平坦ではない。私だってもう少し学業を続けるがその後はどうなるかわからない。しかし頑張る仲間がいるのはとても心強い。これからもお互い助け合って励まし合っていこうではないか!

☆ ミョンジェの国:大韓民国
4,5 世紀頃に、高句麗、百済、新羅の三国が栄える。1392年からは「朝鮮」として500年以上の歴史があるが、1910年からは日本、また1945年からは米軍の支配下となる。1948年、北朝鮮と分かれ大韓民国が成立。首都ソウル、人口約4,900万人。仏教25%、プロテスタント20%。ニューヨークではマンハッタン34丁目付近にコリアン・タウンが広がり観光客にも大人気。クイーンズやニュージャージーにも住民は多い。

*Data:外務省HPより

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