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アート月間 2013「VOLTA NY」

On: ニッチなフォトログ
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3月頭は、311に関連したイベントや各種チャリティが行われ、在米日本人にも大事な期間。
在トライステートの日本人も、忙しく動き回る人が多いです。

そして、アート関係が好きだったり、関わっていたり、自らがアーティストだったりすると、その時期の忙しさは
倍になります。

3月頭の週末、トライステートで最も大きなアートショー「The Armory Show」が行われるからです。

The Armory Show」は12月の「Art Barsel Miami Beach」に続く大きなアートショー。
この大きなイベントに関連して、大から小まで各種アートフェアがNYじゅうを埋め尽くし、マンハッタン内のギャラリーでもたくさんの展示が行われます。

まさに「アート月間」と呼ぶにふさわしい1ヶ月です。

中でも、新進気鋭のアーティストが出展することで知られている中規模アートショー、「VOLTA NY」に行って来ました。

昨年まではミッドタウンのホテルのフロアをまるまる貸切にして実施されていたのですが、今年からはSOHOにあるイベントスペースに移動しました。
土曜日のSOHOということで人混みを懸念していましたが、昼過ぎといういい時間にも関わらず、思ったほどには混んでいませんでした。


天井が高く、窓が大きい建物のため外光がよく入り、観やすいアートショーになりました。
商用の雰囲気が強い「The Armory Show」とは違い、もう少しアートを楽しめる、柔らかい雰囲気です。

とはいえ、「The Armory Show」とも連携したアートショーなので、出展者の意気込みは大変なもの。
ブースで直接販売の交渉が行われていたり、インタビューがあったりと、活気があります。

窓際にはこんな風に椅子が置いてあり、自由に利用できます。
カフェやコーヒーのベンダーも入っているので、本格的に休憩したい時はそちらで。


今年のVOLTAでは、「クラフト系」とでも言えばいいのか、「意外な素材に手仕事をした作品」というのが目立っていました。

例えば、この作家さん、Vanessa Oppenhoffさん。
はがき大くらいのトレーシングペーパーに、ミシンを使って絵を「描いて」います。


写真の中央、やや上よりにある作品は、日本の女の子向けアニメ「プリキュア」のキャラクターでした。

こちらは、古本をタワーのように組み上げ(高さ2m弱、直径1m弱)、中のページにある挿絵などを使ってシャドウボックスの要領で切り抜いたものを、更にコラージュした作品です。


全面がこの調子で、手の込んだものになってます。

他にも、雑誌を接着剤で固めてキューブ状にしたものから削りだした「彫像」、トレーシングペーパーに幾何学模様を切り抜いて何十枚も重ねることで奥行きを出した作品など、手仕事系の作品が目立っていました。

この立体作品は、ストックホルムのギャラリーから出展されていた日本人アーティスト、Haruko Maedaさんの作品。


床から天井までもある大型の油彩作品もあり、見応えのある展示でした。

他には、このように壁にも作品を描いて展示する作家さん、大型のプロジェクターを使用して部分的にアニメーションを映し出す作品を展示する作家さんもいました。



中でも、今年わたしが最も気に入ったのは、この作家さん、Steven Tabbuttさんです。
メインの壁を、他のブースでは決して見ない柔らかい薄紫で塗って飾っている作品は、雰囲気もピッタリ。

それもそのはず、こちらの作品群は、パリに拠点を置く日本人キュレーター・Yukiko Kawaseさんのギャラリーからの出展なのです。
この壁の色には強くヨーロッパの雰囲気を感じ、感嘆しました。


中央の作品は、NYのSociety of Illustratorsの年鑑ショウにて、銀賞を獲得した作品です。


制作に3ヶ月もかけるという、緻密かつ丁寧な作業によって仕上げられる作品は、大きさこそありませんが、圧倒的な画力と神秘的な雰囲気、そして何より心惹かれる世界観を持っています。

出展はパリのギャラリーからですが、作家さん本人はメイン州出身で、現在はNY在住です。
これからが楽しみな作家さんが、またひとり増えました。

VOLTAには、こんな出会いがあるのが楽しいのです。
来年もまた、必ず時間を作って行こうと思ってます。

残念ながら、大きなアートショーは既に終了していますが、アート月間ということもあって、個別のギャラリーではまだ引き続いて展示を行なっているところがあります。

アート月間ならではの力の入ったものになっていることが多いので、ご興味のある方はぜひ、訪ねてみてください。

フリーペーパー等にも情報は掲載されていますが、こちらのウェブサイト、「NY ART BEAT」で探すのも手です。iPhoneアプリもあって便利ですよ。

ブリス・アップルドアのブログはこちら:BliBlo