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No.33 嫌われミットの正体がどんどんバレる大統領選挙

On: 怒りの鉄拳! 紐育バガボンドが斬る!(更新終了)

年が明けて、11月の総選挙に向けた大統領戦が本格化した。

共和党の候補者たちがディベートを繰り返すのを観ていると、日本と同じで、人材不足なんですね、という残念な気持ちになる。
ミシェル・バクマン、リック・ペリー、ハーマイン・ケイン、ニュート・ギングリッチときて、しばらくリック・サントーラムの人気が出てきたと思ったら、全然大統領の器ではないことが表沙汰になってどの候補の人気も急速に衰えていった。

選挙運動期間がここまで長いと、どこかで候補者のアラ探しが徹底して行われるのがアメリカの選挙だ。
日本の首相みたいに、国民が直接投票で選べもせず、また、総理になってから「実は無能なヤツでした」という裏切りがなくて助かる。

そんな中で、大統領に立候補するのは今期が2回目というミット・ロムニー。
見た目は由緒正しいワスプの紳士、という雰囲気なのだが、ここまで「なんだかいけ好かない」人物も珍しい。


PHOTO from : SHINBONE STAR – Ralstonstar Edition

頭は切れる、見てくれも悪くない、選挙資金もタップリ持っている、そんなロムニーの支持率が20%台を超えないのは、ひとえに嫌われ者だからという理由以外に思いつかない。

そもそもマサチューセッツの州知事時代から、健康保険改革を推進したり、プロ・チョイス(女性の妊娠中絶権利を認める)というリベラルな面もあったのに、今やすっかり共和党の保守派やお茶会連中にも平気な顔で媚びを売るようになった。

そんな彼を見ていると「なるほど、考えが変わったんですね」ではなく、「支持されるためには何でも言えるんですね」と感心する。

8月の共和党大会で正式に大統領候補として指名されるまで、とても正気とは思えない他の候補とこの調子ですったもんだすることになるだろう。

その「すったもんだ」に含まれる、他候補への攻撃とはいえ、最近はさらにいけすかない発言が続いている。

マサチューセッツ州の上院議員選挙で、故テッド・ケネディー議員が資金繰りのため自宅を抵当に入れざるを得なかったのは痛快だ、とか、要らない人材をクビにできる立場にいるのはいいことだ、とか、企業だって人間なんだ、とか、生放送のディベート中に他の候補者に向かって、なんなら一万ドル賭けようか?とか、傲慢な上から目線の正体がバレている。

いかにも、「さっさと諦めて俺の味方になるんだ」とでも言いたそうだ。

彼のビジネスマンとしての実績も、アメリカの経済を立て直すのに役立つどころか、潰れそうな会社を買い取って大規模なリストラをして、仕事を減らして儲けたベインズ・キャピタルという組織でのものだ。

そんなロムニーも火曜日に行われるニューハンプシャー州での候補者選挙で大多数の票を獲得し、着々と共和党候補への道を歩むことになるだろう。
そして夏からはその攻撃の矛先をオバマ政権に向けていくことになるだろう。

今は共和党内だけで済んでいるが、こんなヤツが大統領になったりしたら、99%の国民の敵となり、そして世界でも嫌われ者として君臨できるだろう。

「ロムニーは大統領になれるのか?」という問いは、共和党の人たちが「心底嫌いな人間に一票を投じることができるか?」という問いに等しい。