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海外生活ビフォー・アフター ~TOEICで感じたこと~

On: 特出しコラム とびこみくん

私は今日本にいるのだが、先日英語力を測定するTOEICを受けてきた。アメリカではTOEICスコアはほとんど使われないので、ニューヨークへ行く前、8年前に受けて以来だ。

普通、海外生活を経験したら、もうテストは受けないんじゃないだろうか?しかし、たまたまスコアが必要になることがあって、受けたのだった。

海外生活で私の英語力や英語に対する考えがどう変わったか、留学などで渡米を考えている方、英語を勉強中の方の参考になればと思う。

別物に感じたTOEIC

海外留学・生活のあとだから当然だろうが、TOEICは、以前受けていたものとは全く別なテストに感じた。

渡米前の私の語学力はゼロに近く、TOEICは難しすぎて雲をつかむようなテストだった。リーディングなんて、最後まで行き着けずに、ラスト1分で適当にマークシートをがーっと塗っていた。(←テストの意味無し!)

でも、今回は、アメリカでの自分の生活や経験から、驚くほどスラスラ解けた。


PHOTO : purplepick

いやはや、テストの1週間前に、すっかり忘れていた問題様式を確認するために問題集を開いてみたのだが、あまりに簡単でびっくりしたほど。

アメリカ生活ではいたって普通のフレーズが出てくるから、「こんなものが問題になるのか」と驚きさえあった。

だから、テキストブックで勉強し、単語やイディオムを一生懸命暗記するようにしていた以前の自分が、なんだか空しく可哀相な気がした。

これは本当に今だから言えるのだが、全く見当違いなところで必死に勉強していたような気がするのだ。きっとそれは、本来の語学の勉強でなく、「TOEICのための」勉強だったのだろう。

テストを受けながら、「これって、頭で無理に記憶するものじゃなくて、使って覚えるものだよな」と、しみじみ感じた。前の自分と今の自分では、回答するときに全然違う脳の場所から答えが出てきていると思うほど。

裏を返せば、やはり日本にいるまま勉強するのは難しいということだ。

学校では限られたことしか習わないし、社会人になっても「よし、英語をやるぞ」と構えてしか使わない。英語の量が圧倒的に少ない。

当然ながら、語学習得においては、その言語圏で生活するのが効率がいいと実感。アメリカの実社会で苦労して恥かいて覚えた英語は、テキストブックで詰め込んだ英語とは別物だった。

TOEICスコアの意味

それで、海外生活後に私が受けたTOEICのスコアがどうだったかと言うと…990点満点中、905点だった。

私が初めてTOEICを受けたのは10数年前で、その時は315点。(問題を解いたというより、四択でたまたま当たった得点だ。)

そして、ニューヨークに行く直前で480点。(←こんなんでよく行ったな、無謀だな、と言われる。)

当時の私から見たら、900点台なんて、まるで別世界。一生かかっても届くところじゃないと思っていた。

でも7年半も英語圏にいたら900点台は当然なんだと思う。いや、本当は満点取って当然なんじゃないか?

確かに私はリスニングの途中、次の問題を待つ間2,3回ボケッとしてしまったのと、リーディングの前半ゆっくりやりすぎたから、本当はもう少しできたんじゃないかと思う。

しかし。
今回アメリカ生活のあとでTOEICを受けてみて感じたことは、これで満点取ったところで、英語の実力があるとは全く言えない、ということ。基礎能力は測れるのかもしれない、でも実際的に使えるかどうかは別問題だ。

だって、だって、自分の英語力を見ればわかる。

実際の仕事や生活では困ることだらけ。ニューヨークでは、毎日自己嫌悪でいたし、今も「もっと勉強しなきゃ」と焦っている。これは謙遜でも何でもない。前置詞なんていまだにきちんと使えていない。

だから、渡米前はTOEIC満点=ゴール、英語をマスターした証明、なんてイメージがあったけど、実は単なる通過点で、ここからがさらに難しい「応用編」の始まりなのだと気づいた。

あるいは、TOEICは、ごくごく限られた部分での偏った測定だ。

従来のTOEICは、日本人が得意とするリスニング・リーディングの「インプット」のスキルを測るだけで、スピーキング・ライティングの「アウトプット」用のテストは別なのだ。

でも日本の多くの企業がいまだリスニング・リーディングだけのスコアで英語力を測る。スピーキング・ライティングも同じくらい重要なのに。特に世界に向け自分の意見を主張するためには!

使えなければ意味がない

TOEICで、315点→480点→905点と、自分の英語力が伸びたことは測れた。もちろん力がなければスコアアップだってしないから、それは素直に喜ぼう。特に渡米前の私の英語力のなさを思えば…。

でも上記で述べたように、それは長い長い語学習得の途中で、たまたま日本社会で採用されているモノサシに合わせて測ってみただけのことだ。

やはり実社会で使えなければ意味がない。また、本当に使うとなると、言語のスキルだけでは足りず、その歴史、文化、社会の理解も必要だ。とても深い。

事実、私はアメリカの会社にいたとき、会議資料は読めても、同僚との世間話についていけないことが多々あった。そこにはテキストブックにない、さまざまな表現や文化的な共通意識があるし、文法的に完全な文章がいつも話されるわけではないからだ。

今日本にいる私は、仕事で英語を使う機会がまだあるが、生活で使うことがない。この状態で、さらに英語力を伸ばしたいとなると大変だ。

テレビや本、ネットなどで英語には触れられるが、やはり、実際の「コミュニケーション」をしないと。

テキストブックにあることをすべて理解しているわけでもないのだが、今私が課題にしたいことは、スムースなコミュニケーションや自分の主張において、使える英語や表現を身につけていくこと。

海外生活を数年しても、語学習得への道はまだまだ長い。


PHOTO : eSeL.at

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