ニューヨークからプロライター達がお送りする、「ここだけ」のおもしろ情報。

プラクティカルなアメリカ人が作るとってもプラクティカルでない料理とアメリカ人にも発音しにくかった「ウースターソース」

On: ヒトコの小径

オフィスの人たちと一緒にランチに行った時、みんなで、スピニッチクリームディップを注文した。


これは、その名の通り、ほうれん草がどーっと入ったクリームチーズのホットディップ。
アーティチョークが入っている場合も多い。

チップスにディップして食べるのだが、これがかなり美味しかった。


緑の野菜が嫌いな子どもたちも、こういう風に料理すれば、きっと喜んで食べてくれるかな?

と思って、オフィスに戻ったら、早速レシピをチェックした。




ほぉー。

なるほど。


結構簡単に作れそうだな(ほうれん草とクリームチーズとモッツァレラチーズを混ぜるだけ)。

今度作ってみようっと。

すると、
最後の方に見慣れないソースの名前がでてきて、それを入れると書いてあった。

ほぉ、隠し味か。

なんのソースかな?

そこにタイミングよくたまたま近寄って来たアメリカ人に、聞いてみた。


「ねえねえ、このWoooor… cesssss… terrrrr…ナンタラカンタラソースって何か知ってる?」


「え?どれどれ?」

と私のコンピューターを覗き込む。
すると、ニコニコしながら、

「ああ、それは、ウースターシャーショー#?!&*@〜よ」と教えてくれた。


は?


今、何て言った?


かれこれ20年もアメリカに住んでいると、さすがに英語がわからなくて聞き返す、ということは滅多にないのだが、
今回ばかりは、彼女がナニを言っているのかすっかりわからなかった。


だから、


「ウースターシャーショー#?!&*@〜% だってば」


と言い直しつつも、私が何回も聞き直すもんだから、彼女も


「意識すると言えなくなっちゃうわよ」


と言葉に詰まっていた。


その問題のソースは、「Worcestershire Sauce」で、彼女とのやり取りの間に気がついたが、
日本で言う「ウースターソース」のことだ。


そうかあ、英語では、そんなに長くて言いにくい名前だったのかあ。

どう発音するのかは置いておいてもこれは、アメリカにもウースターソースがあったとは知らなかった。


そして、彼女は


「私がこのソースを使うのって、チェックスミックス(chex mix)を作る時だけよ!」

と言った。


チェックスミックス?

私がイマイチピンと来ない顔をしていたので、彼女は引き続き教えてくれた。


「あなた、チェックスミックスって食べたことないの?

市販でも売ってるTVスナックよ(TV Snack=文字通りテレビを見ながら食べるスナックのこと)。


でも本来は、ホームメイドで作る伝統的アメリカのホリデイスナックでもあるのよ。

私のマムも子どもの頃よく作ってくれたわ。


ライスミックスとかいろいろなものを入れてね、ウースターソースをちょっとふりかけてオーヴンでベイクするのよ。
途中で、オーヴン開けて混ぜないとダメなんだけど、それが、私の役目だったわ。


とーってもヘルシーで、美味しいの〜!

あなたも子どもに作ってあげるといいわよ」


と言うことだ。


なるほど。

じゃあ、やってみようかな…



ということで、スピニッチディップを作るのにも、チェックスミックスを作るのにも、とりあえずは「Worcestershire Sauce」を買わないといけない、ということになった。

その日の帰りにグローサリーストアーに寄る事にした。
オフィスの同僚は、アメリカのウースターソースだったら、「Lea & Perrins」に限る、と教えてくれた。


「紙に包装されているから直ぐわかるわよ」


と言われていたが、なかなか見つけられなかったので、ストアーのおじさんに探してもらった。


これが「Lea & Perrins」のウースターソース。

1835年頃、薬剤師(John Lea & Williams Perrins)の二人が

このソースを開発し、その後商品化された。

「Lea & Perrins」は世界初のソースメーカーなのだそうだ。

今では他にもいろいろなメーカーが出しているが、

ソイソースの「キッコーマン」と同じで、

ウースターソースと言えばやはりこのメーカー、ということだ。

チェックスミックス(chex mix)のレシピもチェックした。


その写真を見たら、

なーんだあ、これのことかあ。
食べたことある、ある。


と、よくわかった。

百聞は一見にしかず、だな。

でも、これがそんな伝統的スナックだとは知らなかった。

普通のポテトチップスと似たような「ジャンク」だと思っていたけどね。

ふーん。




PHOTO : Elizabeth Wilk

しかし、コレ、わざわざ数時間もかけて作る価値があるのかなあ?



「とってもヘルシースナックよ!」

と同僚は言っていたが、
どう考えても、私にとってはただのジャンクにしかすぎなかった。
これだったら柿の種ミックスの方がよっぽどいいじゃん。



ふーむ。



「チェックスミックスには、子どもの頃の思い出がたくさん詰まっているのよ〜」


と言う同僚の目は誇らしげで、嬉しそうにきらきらと輝いていたなあ。
アメリカに食文化なんてない、とずっと思っていたけど、実は立派に存在したんだ。

これからのホリディシーズンになると、母親が作ってくれたホームメイドのチェックスミックスを家族で食べる、これこそが、古き良き時代から受け継ぐアメリカの伝統の一つでもあるんだろう、と思った。

つまり、それがアメリカの文化。



しかし、申し訳ないけど、私はやっぱりチェックスミックスは作らないことにした。

子どもたちには、食べたかったら市販のもので、済ませてもらおうっと。


だって、子どもの頃にそんなもの作ってもらった思い出なんてない日本人の私には
イマイチ、そんなに時間をかけるその価値が見出せないから。

気のせいかもしれないが、ここに引っ越してきて以来、アメリカの食文化に対するこだわりというものを、感じる機会が増えた。

これには、なんだか感心している。

ファストフードを生み出したプラクティカルなアメリカ人でも、意外にも結構こだわるんだなと、かなり新鮮な驚きだ。



アメリカ人の食文化に対するこだわりと言えば、もう一つある。

これも、健康のため乳製品などあまり食べなかった人が(私の周りには)多かったニューヨークを離れこの土地に来てからよく目にするようになった食べ物の一つだ。

ポットラックパーティなどに行くと、必ず出てくる一品でもある。
それは、「devilled eggs」。




アメリカでは、これを入れる専用のお皿もある。

写真は、ファイヤーキングのMilk Glass Platter with Gold Edge

いわゆる、エッグサラダのようなもの。

しかし、アメリカ人は、わざわざ黄身の部分をきれいにくり抜いてマヨネーズやマスタードとあえてそれで、またもとのところに戻すわけ。勿論、きれいにデコレーションする。

その時々のホリディに合わせて、黄身に着色料を入れて例えばイースターだとパステル調に、クリスマスはグリーンや赤にしたりする時もある。


そして、ぱらぱらと上にパプリカをかける。
オシャレなアジア料理志向の人たちになると、そこに、スキャリオンなどを刻んでふりかけてみたりする。

何だか手が込んでるなあ。

うちでは、ゆで卵を半分に切ってその上にマヨネーズをかけて食べてたわよ。
できれば半熟が好きだけど、最近の卵は、しっかりと茹でないといけないと言われているので個人的いはやや残念だ。

コレ、わざわざ作るの面倒くさそーっ。

「口の中に入ると同じなんだから、卵の上にマヨネーズのせるだけでよくない?」

と思わずぽろっと口走ってしまったら、


「あなた、わかってないわね!」


とアメリカ人は、口を揃えて言った。


文化はどういうものであれ、尊重しないとね。

アメリカの皆様、大変、失礼いたしました~!



後日談)
「Worcestershire Sauce」が上手に発音できないのは、私だけかと思ったらそうじゃなかったようだ。ユーチューブでは「正しいウースターソースの発音の仕方」など、たくさんのチュートリアル動画(音声)が出てきます(w)。

お陰で、私も正しく発音できるようになったのだ~。
これは、アメリカのシットカムのワンシーン。



おまけ)

で、これが私が作ってみたスピニッチクリームディップ。
子どもたちにもとーっても喜んでもらえた。チーズたっぷりだからね。

しかし、ここまでしてスピニッチを食べさせる意味があるのか?
と作っていたら思えてきた(w)。

野菜1に対してチーズが5ぐらいだもの。
野菜食べて健康になる前に、チーズで不健康になるかも?

それに、ここに入れたはずのウースターソース、入ってるのか入ってないのか、まるでわからなかった。
それが隠し味というものよ、と言われればそれまでだが、何だかこれだったら、ソイソースでもよかったかも、と言う感じ。

わざわざ、買いに行ったのになあ。

ま、お陰で「Worcestershire Sauce」がきちんと発音できるようになった、ということで、このお話も善しということにしましょうか。

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