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カメラマンたちが団結して日本復興支援に貢献した「和フォトグラフィー・オークション」

On: ニッチなフォトログ

4月になってからも毎日のようにチャリティイベントが行われているニューヨーク。

なかでも注目を集めたのが、4月21日にマンハッタンで行われたWa Photography Auction(和フォトグラフィー・オークション)だ。

これは約60名ものフォトグラファーたちが作品を寄贈したチャリティ・オークションであり、それもニューヨーク・タイムズやタイム誌、ELLEなどで活躍する一流フォトグラファーたちが参加したのが特徴となっている。


「和 フォトグラフィー・オークション」を訪れて、作品を観る人たち。
PHOTO : Tom White


主催者のひとりである南しずかさんに、会の発端を尋ねてみた。

「自国が大変なことになっているのを知って、いてもたってもいられないというか、何か行動を起こさずにはいられないなかったというのがキッカケです

自分がそう思っていることを、フェイスブックやメールで呼びかけたら、同じように何かやりたいと思っているのを知りました。  

それでミーティングという形で集まって、方向性を決めて、「和オークション」を開催することにしました。 
企画者一人一人がこのイベントの発起人です」


オークションで売れた写真を梱包するスタッフ。
左が主催者のひとりである南しずかさん。
PHOTO : Tom White

企画者は9名。
全員がフォトグラファーであり、「」という自分たちの分野を生かして出来ることとして写真オークションを決めたという。 

「企画者の約半分は、アメリカ人であり、ICPという写真学校のドキュメンタリー及び報道写真学科の卒業生です。

だから社会問題、政治、時事的なことに関心があり、自国(アメリカ)の事じゃないけど、自分に出来ることがあるなら、喜んでやりたい、と」

主催者のひとりが雑誌タイム誌の編集者もかねていることもあって、フォトグラファー同士のコネクションにより写真のドネーションを依頼した。

おかげで著名なフォトグラファーたちの貴重な作品が続々と寄贈。

たとえば世界最高の報道写真家集団である、マグナムフォトに所属するエリオット・アーウィットやジャン・ゴーミー、ワーナー・ビショフ。

元ELLE雑誌のクリエイティブ・ディレクター/フォトグラファーであるジル・ベルシモン。

1993年よりアンコール遺跡の村に小児病院を建てるNPO活動「フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダー」で運動していて、メトロポリタン美術館にも作品がおさめられている井津建郎。

そして80年代からBeastie Boys, Run DMC, LLなどを始めヒップホップのアーティストやストリートカルチャーを撮影してきたリッキー・パウエル。

彼はこの会のために、NYらしいアンディ・ウォーホールとバスキアの写真を寄贈してくれた。


リッキー・パウエルによる寄贈写真、アンディ・ウォーホールとバスキアの2ショット。
持っているのは主催者のひとりであるカメラマンの川崎詩織さん。

こうした60点あまりの作品がオークションにかけられ、当日は多くの客が詰めかけて大盛況となった。

サイレント・オークションでは紙に自分が賭ける金額を書き込んでいって最終的にもっとも高い値をつけた人が競り落とすことになる。

当日の収益は総額$165,00。
いちばん高く売れた写真はエリオット・アーウィットの作品で、$1600だったという。

収益はすべてNPO法人の「Architecture for Humanity」に寄付された。

これは1999年に設立された非営利団体で、建物の建設計画から実際の工 事が終了するまで、都市の発展、復興、再興の為に、世界各地でボランティア活動を行っている。

大きな成果を出したイベントだったが、今回写真オークションという形のチャリティイベントをしてみての感想を尋ねてみた。

「ストリートで募金活動するのとは違って、自分の得意分野を活かせるという点でとても良かったと思います」

と主催者のひとりであるカメラマンの田中淳子さん。


日本への応援メッセージが書かれた布をパッチワークにした垂れ幕の前で。
主催者のひとりであるカメラマンの田中淳子さんは、元ニッチのメンバー。

「自分がイベントを起こす側に立つ事は今までほとんどなかったので、こうしてやってみて違う角度から物事が見えて勉強になりました」

そして同じく主催者のひとりであるカメラマンの柳川詩乃さんは、こうコメントを寄せてくれた。

「以前からFriends without borderという機関(カンボジアに病院を建てています)でボランティアをさせていただいていいますが、今回のお金の行き先は日本。

まさか自分の国に送るためにイベントをすることになるとは思ってもいなかったこと、そしてこのイベントに携わったフォトグラファーたちが、本当に一生懸命で、その姿に深く感動しました」


主催者のひとりであるカメラマンの柳川詩乃さんも寄贈作品が売れたという。
詩乃さんも元ニッチのメンバー。

自分の得意なことで貢献する。熱意あるフォトグラファーたちの力を結集させた日本支援イベントに拍手を贈りたい。