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No.40 ミック・ジャガーとジーン・シモンズが放った強烈な一言

On: セレブの小部屋

中学生の頃から私が夢中で注目してた「2大スター」たちに会ったことがある。

1970年代から大人気のロックバンド「キッス」のジーン・シモンズ。
そして「ローリング・ストーンズ」のシンガー、ミック・ジャガーだ。

40年以上も前に結成された「ローリング・ストーンズ」は、いまだ現役。今年もコンサート・ツアーは完売。
ミック・ジャガーは相変わらずカッコいい。
若々しくビジネスマンとしても大成功し続け、世界の偶像的存在に。

そして、ジーン・スモンズも多方面で才能を光らせるビジネスマン。
アメリカで流行のリアリティ・テレビ番組に出演したりと、話題は絶えない。

学生時代に聞いていたミュージシャンたちが、自分が中年期に突入する年齢になっても第一線で活躍してくれていることは嬉しいことだ。
 
彼が率いる「キッス」に会いに、私は中学生の頃、 羽田空港に出向いたことがある。
“空港でお迎え“という日本儀式は、昔から存在していたのだ。

そこで、なんと私は死にそうになった!

空港に集まったキッス・ファンの群衆たちに揉まれ押され転んだが最後。
「キャーッ」という悲鳴の女性たちの下敷きになり、圧迫され心臓が2秒くらいとまった。怖い瞬間だった。
追いかけ群衆が駆け去ったあと、ゴミと一緒に私の脱げたハイヒール靴がちらばっていた。

それを「キッス」のクレイジーなシンガー兼ベーシストのジーン・シモンズに伝えると、

「でも、もういまは大丈夫ですね」

と、その話題はそこで断ち切られた。

死にそうな思いをしても会えなかったキッスのメンバーが、いま自分の前にいる。
それも、あのジーン・シモンズだ。
顔をカブキ・メイクで塗りたくり舌をペロペロ上下して火まで吐く不気味な奴が、素顔で落ち着いた紳士として、私との単独インタビューを受けてくれるなんて。

そう思うと、彼との面会は感慨深かった。
もう15年くらい前のことなのに、忘れっぽい私がいまでも鮮明に覚えている出会いだ。
 
そのときの私といったら、15ドルくらいの安物の黄色のパンツスーツを着ていた。パジャマに肩パットを入れたみたいなパジャマもどき格好でインタビューに出向いた私に

「お金持ちになるとね、着るものまで変わってくるんだよ」

と教えてくれたジーン・シモンズ。
そして、なにより強烈な彼のコメントといったら、これ。

「僕はケーキを見れば、食べたくなる。キャンディを見れば味見したい。
結婚すれば、そんな自分の欲しいものも味わえなくなるから、結婚しない」

女性をキャンディやケーキに例えて、素顔のジーン・シモンズは知的な物腰で真面目に語ったのだ。

「多くの女性と噂されているが真相は?」
と、聞いて返ってきたコメントだった。

「真実はね。僕は土に埋められる前に、できる限り多くの女性と寝続けるつもりだ、ってことさ」

「はあ……、そうですか」

まだ若くてウブだった私は、そのあと何のフォローもできず閉口してしまった。

そういえば私は10代の頃、好きなミュージシャンがドラッグをやっていると知っただけで傷つくような少女だった。

「ローリング・ストーンズ」のメンバーたちには落胆させられた。
バンドの元マネージャーが執筆した「ローリングストーンズ」のメンバーたちの暴露本を読んで、悪夢にうなされるほどの大ショックを受けたのだった。
17歳の私はDJをやっていたが、あまりの嫌悪に、ローリング・ストーンズをプロモートすることを拒否してしまった。

「私、ストーンズの曲はかけないことにしているので」
と、曲のリクエストがきても却下した。

夫婦交換セックスをしたりといった描写は、その頃の私には受け入れられない醜態だった。
その本は、ミック・ジャガーは「ドラッグ漬けの貞操ない不良男」というイメージを強烈に植えつけてしまったのだ。

ミック・ジャガーにインタビューすることになったのは、それから10年以上も経ってからのこと。

バッドボーイとは裏腹のイメージで、お行儀よくチョコンと椅子に腰掛けて知的に話す小柄な彼に、ただたただビックリした。

「映画の撮影は、アルバムのレコーディングに似ていた」

なんてことない一言だけど、私の質問に対して、ちゃんとした答えが、この男から返ってきたことが、なんだか感動だったので覚えてる。
それに彼のオーラときたら、普通の人間じゃなかった。

いまの私にとっては、もちろんミック・ジャガーはアーチストとして敬意を抱く偉大な人物だ。
まだDJをやっていたなら、喜んで彼の音楽をかけたことだろう。

その後、映画『アルフィー』の記者会見でミック・ジャガーを目の前にしたが、強烈なシワがしっかりと顔に刻まれた素敵なロックスターだった。

進行形でいる人は、いくつになっても素敵だ。

(c) 2005 Yuka Azuma

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