ニューヨークからプロライター達がお送りする、「ここだけ」のおもしろ情報。

No.30 整形なんて必要なしの熟年女優 ダイアン・キートン

On: セレブの小部屋

私の身近にいる女性が胸を大きくするための手術を受けるというニュースが飛び込んできた。
私は心からあきれてしまった。

そのままでパーフェクトで、きれいな彼女なのになぜ?
いつもお金に困っているし、幼い2人の子供がいるのに、豊胸整形に出すお金をなぜ他のことに使わないの?

いろんな疑問が頭を横切ってショックを受けていると、うちのダンナは
「彼女がそれでハッピーになるなら、それでいいじゃないか」
と寛容な態度。

「人それぞれなんだから」
「え、じゃあ、私が胸を大きくするって言い出したら、どうする?」
「ウィッピー!!(歓喜の一声)」
「・・・」

私は絶対、整形手術なんて嫌だね。
大きい胸が好きな男を喜ばせるために、なんで女が自分の体にメス入れなきゃならないのよ。
病気でもないのに、手術や注射でヘルシーな体を虐待して、なんになる?
そうまでして私たち、整形外科医を金持ちにさせる必要があるわけ?

そんなふうに考えてしまう私だから、女優ダイアン・キートンの発言は頼もしかった。

「整形手術の種類があまりに豊富なのには驚かされるわ。もう、ついていけない。
なにが美なのか、どんな姿が魅力的なのか、その概念のスタンダードを作りだしている人がいるってことね。それが誰なのか、ってことに私は興味をひかれるわ。個人個人の個性を取り除いて、まったく表情のない顔を作りだしてしまう人たちって何者?」

と、彼女は質問を投げかけた。

本当に、誰なんだ。ブ厚い唇がホットとか、小さめの鼻が良いとか、バレーボールのようなオッパイでもオーケーとか、そういうことを決めている人たちって。

整形のしすぎで顔の皮膚が麻痺してしまって、笑っても怒っても額だけまったく動かないとか、ミョーに不自然な顔が増えている。

だいたい「美」を追求する整形医が、なぜに、あのマイケル・ジャクソン顔を造りだす? 
マイケルの場合、整形しなかったらヨダレじゅるーの超ハンサムな男だったのに、なんてもったいないことをしてしまったのだ。

本当に「美」って、なんなんだろう。

いくら素が良くても自分で美しいと思えなければ「美」は存在できない。
内面に潜むコンプレックスが人々を「整形」という、すぐに問題を解決してくれそうな手段に走らせるのかも。

だけど内に潜む自信のなさは、少々のことでは満たされないから、一度、整形したら、また次の整形へと続いてしまう。
そして整形外科医はどんどん金持ちになっていく。結果がどうであれ。

でも、ヌード写真で有名になった女優パメラ・アンダーソンは、豊胸整形によって得た体で彼女らしいセクシーさを売り物にして成功をおさめられた。

デミ・ムーアだって何十万ドルもの大金を整形手術に注ぎ込んで、キャメロン・ディアスたちに負けないボディや美顔を映画『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』で披露し、うんと年下のアイドル俳優の心まで虜にした。

ドリー・パートンだって、あのどう見ても大きすぎる胸をトレードマークにして人々に愛されてきたカントリー・シンガーだ。

いまや政治家のアーノルド・シュワルツネッガーだって、アクション・スターとしての地位をぎりぎりまで整形手術で保持した感がある。

ショービジネス界では、整形がプラスになった例はたくさんある。ハリウッドでは何かしら矯正を受けていない人のほうが珍しいくらいだろう。

そんな中、ハリウッド大女優ダイアン・キートンが整形手術を受けていないとは驚きだった。

『恋愛適齢期』で主演女優部門のアカデミー賞にノミネートされたばかりの彼女だが、その作品でヌード姿まで披露したのに、だ。
それも彼女の年で、ジャック・ニコルソンとキアヌ・リーヴス相手に恋する女を見事に演じきったのだから凄い。

彼女は自分の年も隠したりはしない。

「この役で一番怖かったのは、恋する心を親密に暴露しなきゃならないことだった。57歳になって、そんなふうに心をあからさまにさらすことは、本当の恐怖よ」

と、聞きもしないのに、自分から自分の年齢をバラしてた彼女。
いくつになってもキュートな彼女の笑顔を目の前に、私は「いいな」って憧れた。

思えば誰でも年をとるんだもの。死なない限り、年はとっていく。だったら生きていることに感謝し続けて、年をとっていくしかない。
 
若々しい姿は魅力的だけど、それはただ若い年齢ってことじゃなくて、若い気持ちを持ち続けていることが素敵なのだと思う。

時折、20代ですでに自分のことをオバサンだと思っている日本女性に会うと「今からそんなじゃ、この先、どうやって生きていくつもり?」と、問い正したくなってしまう私だ。

いくつになっても、いまの自分が一番、魅力的だって思えるようになりたいなって願っている。
それは、この先、年を重ねるにつれて、大きなチャレンジになっていくと思うけど。
 
私もダイアンのように、いくつになっても自分の年齢に誇りを持ちたいし、年齢をさばよんだりもしたくない。

だけど、実際のところ、確かにお肌の曲り角ってもんは存在するのね、って実感してる今日この頃。
「あれ、何だ、このシワは?」って、たくさんの小じわを発見したときは確かにショックだった。

年をとることへの恐怖は、整形外科医にとっての商売道具だ。
ダイアンも語っていた。

「みんな変貌させることに取り憑かれていて、それぞれのファンタジーを実現させているんだけど、どうもみんな、過去の昔に戻ろうとしているのね。私の回りには赤ちゃんみたいな顔が増えてきて、なんだか変よ。私だって自分の顔はキライだから変えたいけど、そこまでやるべきかしら」

整形に頼らない彼女が自分の姿に満足している人かというと、そうでもないのが興味深い。

今年の第76回アカデミー・オスカー受賞式でも、みんなが肌露にドレスアップする場で、ダイアンは上から下まで黒のスーツに身を包み、手袋もはめっぱなしで、まるで鎧を被っているみたいだった。

私が会ったときも、彼女はまったく素肌を見せず、室内だったのに手袋さえはずさずにインタビューに応じた。
自分を人前にさらけ出すことに心地良く感じていないみたい。

そんな外観の自信のなさはともあれ、彼女は喋りだすと、ちゃんと自分の内面には自信ある女性だと察することができた。
しっかり自分の考えを持っていて、自分というものに居心地良く感じている心の平和が伝わってくる女性だった。

彼女の前向きな態度が、そばにいる人たちを気持ちよくさせる。
そう、過去ばかり振り返ってる人じゃないからこそ、ダイアンは若さをより戻すための試みにも興味を示さないのかもしれない。

いくらお肌がツンツンに張っていても、気持ちが過去に向いている人や、自分の内面に自信のない人には魅力は感じられない。
その点、ダイアンは表情がイキイキしていて、ため息がでるほど素敵だった。

特に彼女の笑顔は屈託がない。
その爽やかな微笑みに、思わず「かわいーい!」って叫びたくなってしまったほど。

57歳になったとき、私もこんな可愛い女性でいることができたらいいな。
そして彼女が『恋愛適齢期』で演じた女性のように、その年になっても恋心を持っていたい。

(c) 2004 Yuka Azuma

恋愛適齢期 恋愛適齢期
ナンシー・メイヤーズ

ワーナー・ホーム・ビデオ 2004-11-12
売り上げランキング : 14223

Amazonで詳しく見る by G-Tools