ニューヨークからプロライター達がお送りする、「ここだけ」のおもしろ情報。

少女漫画的イタイヒト伝説『ウォルター少年の夏の休日』

On: 夜の試写室

この作品の原題「セカンドハンド・ライオンズ」のセカンドハンドっちゅーのは「中古」って意味ね。セコハン、とか略されるアレ。
 
今の今になって日本で公開されてるコレ、アメリカじゃあ去年の秋に公開だったのヨ。
 
いや、だいたい、わたしは「王の帰還」のティーザー観に行ったのよ、本当はネ。
同じニューラインの作品であるコレの前にやるっちゅーからさ。
予告を観た段階で「こんなホンワカ映画マジで観ねえよ」って思ってたケド、予告観たさに必死の思いで観に行ったのヨ。
 
案の定、もう会場には年寄りと子連ればっかり。
 
それだけでもコレがいかほどのホンワカ映画であるかが客層からも伺い知れちゃってねえ。
そんな中で座ってるだけで、もうすっかり気分はアウトロー、やさぐれモード全開ですわ。
 
それでも予告の前のあのグリーンの画面が出てくるたんびにキッチリ姿勢を正して、目と耳をイヤっちゅーほどおっぴろげて束の間のラブたん(カール・アーバン)との逢瀬を楽しみにしてたのに。
 
その緊張をあざ笑うよーに出てくる出てくる、関係ないティーザー。
…ねえチョットアンタこれはどう言うコト?
そんなのを3本ほどやったらマジで本編に入っちゃったのは一体どう言うイミ? ハァ???
 
んー、えーっと、これはナニデスカ、わたしから6ドル程度をだまし取るっちゅー新手のプチ詐欺デースカー?
 
途方もない脱力感にドッブリしながら号泣したいのをこらえてしょーがなく観てたんだケド、ホント、つまらなかったら途中でいつでも帰ろうって思ってたわヨ。
 
結果、2時間あまり全部観ちゃったりして、図らずもわたしが今日出かける前に「そんなホンワカ映画でけっこう感動しちゃったりして、すげーイヤかも」とボヤいていた通りになっちゃってさあ。
いったいアンタ、わたしに何を要求してんのさ。
 
テキサスのくそ田舎にあるぼろ屋に住んでいる二人のイタイじいさん、ガースとハブ。
 
少年・ウォルターは、女手一つでかれを育てている母親から「イタイじいさんズが隠し持ってるお金の在処をさぐるのヨ」って言いつけられて、そのTVも電話もないぼろ屋に「預ける」っちゅー名目で置き去りにされちゃった。
 
犬とブタと鶏とイタイヒトタチ以外はナニもないその家で仕方なしに暮らし始めるウォルターは、その夜、ベッドルームにあてがわれた部屋にあった「色んな土地のホテルのステッカーがある長持」から砂に隠されてた綺麗な女性の写真を見つけちゃった。
 
TVや電話は買わないくせに、「楽しい」となったらクレー射撃の射出台だろうが生きたライオンだろうがさっくり現金で買ってしまうイタイじいさんズはもう、やりたい放題。
 
そんなある日、イタイじいさんズの遺産を狙う新たな親戚一家が現れたことで、ママに助けを求めるウォルター、電話に出た女性からママとは連絡がつかないことを知らされて「ガーン」。
 
んでも怪我の功名、不幸中の幸いってのはあるモンで、ぼろ家を飛び出したウォルターをイタイじいさんズは「(親戚一家の父ちゃんから)この子がここにいるのは遺産目当てだって言われて傷ついたんだ」って誤解しちゃった。
 
『強をくじき、弱きをたすける』じいさんズは、遠く離れた一件っきりのグローサリーの前で「ママに捨てられちゃった、ボクこれからどーしよ」って座り込んでたウォルターを迎えに来てくれちゃう。
 
嫌々ながらもぼろ家に戻ったら、なんとなくじいさんズと仲良くなったもんで、ウォルターもこれならとりあえず食い扶持には困らないかな、とそこで生活することに。
 
楽しい日々が過ぎる中、ほんでも「ボク寂しいよママン」とウォルターが毎夜ごと心の慰めに眺める写真のその女性と、夜中になると夢遊病のように川っぺりに出かけちゃあ、ぼーっとしているハブにはとっても深い因縁があるみたい。
 
実はかの女が北アフリカにある砂漠の小国のお姫様で、ハブと大恋愛の末に結ばれた仲ってホント?
 
そしてある夜からガースがウォルターに語り始めるハブの英雄伝はビックリ仰天、じじいの定番昔話の「わしも昔はゴイスーだったんじゃ」かと思いきや、映画の世界そのものの破天荒っぷりでまさにレジェンド・オブ・イタイヒト。
 
二人が隠し持ってる、親戚中から狙われるほどの金はどうやって手にしたのか、ハブがどうして夢遊病状態の時には見事な剣さばきを見せるのか(でも手にしているのはトイレで使うあの朝顔カッポン。笑)。
 
じじいのくせにそこらの若いイタイヒトよりも強いのか、その秘密が「これってマジなのかツクリなのか、まったくわかんねーけど、なぁ、もしかしてアンタどっかアタマでも打ってんの?」的イタイヒト伝説でみーんな明らかに。
 
そして、ついにウォルターは二人が隠し持っている金の在処をのぞき見しちゃった。
そこにはあるわあるわの50ドル&100ドル札の束・束・束。ママの言ってたことはホントだったみたい。
 
タイミングの神様ってのはいるもんで、そこへ夜中にボーイフレンドと一緒にウォルターを迎えに来るママ。「さあ、三人で幸せになるためにお金の在処を言うのよ」と迫るママにどーするウォルター、あのお金は貰っちゃう?
 
じじいとか変声期真っ盛りの「体型はオッサンだけど顔はガキ」っちゅー生物的にキモイ少年とかウルトラ怪獣みたいな化粧してるババアばっかりを観させされるんだったら、ホントマジで帰ろうと思ってたんだけど、なーんで最後まで観たかっちゅーと、このハブの回想シーン(つまり若いハブ)を演じている人が結構イケてたからなのよ。
 
かれが馬に乗りまくりの剣振り回しまくりで縦横無尽に活躍するもんで、別のC級映画を観てるみたいな気分になっちゃってついに席を立ち損ねたっちゅーのが真相だったりすんの。ハイ。
 
でもって馬にライオンにと好きなモンばっか出て来るしさあ。
もう、めっさ可愛いのヨ、ライオンが。あああ。
 
その、イタイじいさんズが「射撃の的にする」っちゅーて買ったケド、病気だった故に射殺されずに済んだ雌ライオンの活躍なんぞは不覚にもちょっと涙腺がゆるんじゃったりして、泣かせどころとギャグを適度に上手くおさえてある話よねえ。
 
ぜーったい激しくドキドキワクワクはしないけど、ま、ちゃんとエンタティンメントにはなってますよ、っちゅー。
正直、映画でこれやっていいもんかヨとは思うけど、ま、金があるってことはイイコトだネ。
 
作中のイタイじいさんズの人生のオチがまた、チョーーバカ丸出しイタイヒトそのもので「ほんと、最初から最後まで見事あっぱれなイタイヒト伝説でゴザイマシタ」っちゅーのもまた何とも。
 
…っちゅか、あのさ、こう言うのって結構親しみがあるんだけど、わたし?
 これってナンかに似てない? ちゅか、ナンかの雰囲気がない?
 
 
あ、わかった!
そうそう、こりゃ昔の少女漫画なんかによくあるパターンの話よ、違う???
キャラの配置とかもまんまそうだし。わたしなら、ぜひ、故・三原順先生に描いて頂きたいような話なんだわ。
 
あーーー、だからミョーに懐かしい感じするのねえ。
あーー、なるほどねえ。うーん、激しく納得。
 
そ、ナニからナニまでミョーーな漫画っぽさが全体に漂ってるのよね、この作品。
 
でもって全体にナマあたたか~い、ホンワカした感じが一昔前の少女漫画って感じを強調してるっぽいネ。80ページ特別読み切りで載ってそうな感じって言ったらわかるかしら。
 
ストーリーのオチとしてガースのイタイヒト伝説が全部本物だったのヨ、ってコトがわかっちゃうあたり、よく考えたらオチの付け方まで少女漫画だこりゃ(笑)
 
オマケにウォルターがへったくそな漫画を描いて、少年時代のおもひでを「生クリームでアイシングした上にイチゴ乗っけてついでに粉砂糖ふっちゃったけど、どうよ」的アマアマ・ストーリーにして生活してるってあたりもアイタタタタタタ。こらまた見事なイタイヒトっぷりってワケで。
 
要するにこの作品って『少女漫画風味「アメリカ版イタイヒト伝説」』ってことネ。
動物がたくさん出てくるアタリも、ちゃーんと少女漫画してるんだわ。
 
カップルで観るにゃあさすがにオススメしないけど、どうしても暇でやることがなくて、ちっと古めの少女漫画的ストーリーがお嫌いでない方だったらいいんじゃないかと。
 
意外にきちんとまとまってるんで「金返せ」って気持ちにはならないと思うわよん。
 
でもあの無駄にCG使ってるタイトルロールは「ゴースト・シップ」のイントロぐらい、はげーしくマッチしてないんでちょっとネ。ウヘー。
 
あとは変声期のミョーな少年なんぞがお好きなそっちのフェティストもどうぞ~。
相変わらず悲しそうな顔のウマイ子だけど、正直、アレは「シックス・センス」で見飽きたっちゅーのヨ。
 
あー、あの子もこれからどうなるのかしらねえ。
イライジャ・ウッドと同じ意味合いで心配よ、お姉さん。
 
 

イタイヒト度 ★★★★★
少女漫画度 ★★★

ブリス・アップルドアのブログはこちら:BliBlo

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