ニューヨークからプロライター達がお送りする、「ここだけ」のおもしろ情報。

No.13 壁画プロジェクト

On: 絵本画家ママのブルックリン日記(更新終了)

ある日、PS58(Public School 58の略。PSというのは公立の小学校の事、中学校となるとMSになる)というキャロルガーデンにある小学校より、Eメールがきた。このPS58は私の住んでいる所から、1分もしない所にある。

PS58で子供達に壁画を描かせる事になったので、そのコンサルタントをして欲しいという内容だった。私の自著「I LIVE IN BROOKLYN」を見て、地元の絵本作家だからと、依頼してくれたらしい。
公立の学校なので、私への支払いの予算はなく、私が関わるのはボランティアとして、ということだった。

完成した壁画

私は最初、何を描かせるかはもちろん、壁画への下書、使う絵の具など、すべてを指導するのかと思い、「壁画の経験はないので、なにを描かせるかという助言ぐらいしかできないけれども、それでも良いのか?」という返事をメールでした。

それに対しての返事で、何を描くかを決めてからは、あとはすべて壁画の専門家がやってくれるので、私は関わらなくてもよいということがわかった。

考えてみればその通りだ。よくこちらの小学校の壁や校舎に壁画を見かけるが、それは子供達の描いた絵をプロジェクターか何かで壁に写し、それを壁画として仕上げるのは子供達ではなく、壁画の専門家だ。

打ち合わせの日にPS58に行くと、校長先生、美術の先生、壁画プロジェクトに関わっている、母親数人が何人かいた。

私は、楽しい絵、老若男女、すべての人種、身体障害者もみんな入れ、NYとわかるものも何か、またキャロルガーデンとわかるものも何か入れたらよいのでは?とアドバイスした。

いろいろ話し合っていくうちに、私が下絵を描いて、学校側で全校生徒に描かせた絵から良さそうなのを選んで、下絵を元に構成していくという事になった。

私と子供達の絵のコラボレーション、なんとも楽しいではないか?胸がわくわくしてきて、その日は家に帰るやいなや、下絵にとりかかり、数時間後には添付ファイルで、PS58に送っていた。

こんな風に取り付かれたように絵を描くというのは滅多にない。初めての試みで私も興奮していたのだろう。

打ち合わせをして、2週間後には壁への下書が始まり、1ヶ月後には、壁画が仕上がっていた。壁画を描く人達もボランティアが多く、絵の具も寄付によって、まかなわれているらしい。

窓には鉄のフェンスが貼ってある殺風景な校舎の壁に、子供達のほのぼのとした絵が描かれ、子供達はもちろん、通り過ぎる人々も楽しい気持ちになるだろう。

Mari Takabayashi : ILLUSTRATION